札幌市立高・特校長会 2年度事業報告 研究紀要から 第6回
(札幌市 2021-06-08付)

◆教育相談・特別支援教育推進委員会③

▼マスク着用の日常化やソーシャルディスタンスの確保などの感染症対策を講じたことによる生徒への短期的な影響と、長期化する中で新たにみえてきた課題

▽コロナ不安による欠席なのか、不登校傾向による欠席なのかグレーな生徒がいる。校内ではソーシャルディスタンスを守れる生徒が少なく、指導してもすぐに忘れてしまうため徹底が難しい(市立札幌豊明高等支援学校)

▽マスク着用が日常化しつつあるが、夏季は、マスク着用は暑く苦しい様子が多くみられた。1学年は、入学時からマスク着用で教師目線でも生徒間でも互いの顔を覚えるのに苦労している(市立札幌みなみの杜高等支援学校)

▽短期的には、マスクの清潔について、学校では把握しきれなく多少の心配が残る。マスクによる肌荒れ。危機感の薄れはあるように感じる。長期的には、マスクを外すことへの抵抗感が強まる恐れがある。登校のリズムにのれなくなる、足が向かなくなる。不安の増長(市立札幌みなみの杜高等支援)

▽そもそも学校生活でソーシャルディスタンスを確保することは困難。密にならないような対策や声かけもするが休み時間や食事の際に完全なソーシャルディスタンスの状態にはなっていない。保健室ではなるべく長居をさせないよう時間を区切って対応した。単位制でありピアプレッシャーが少ないような学校生活が組まれているため困っていない生徒もいる一方、食堂やラウンジの座席を減らしたために居場所がないと訴える生徒もいた(市立札幌大通高校)

▽短期的には、コロナ禍前からマスクを常時着用していたり、他人の表情によって過大に影響を受けたりする生徒にとっては、過ごしやすいと感じているのではないか。ただ、多くの生徒にとってクラスメイトの顔をはっきり覚えたり、コミュニケーションをとったりする上では支障になっていると思う。長期的には、形骸化してきている感染症対策を生徒自身が見抜いていて、学校や大人の対応に疑問や不満をもつことや、それを言えずにため込むストレスが出るのではないだろうか(市立札幌啓北商業高校)

▽人とのかかわりが固定化・希薄化されることで、児童生徒に育てたい力(コミュニケーション全般)を付けるための指導が十分に取り組めないことが懸念される(豊成養護学校)

▽マスクの着用は定着したが、ソーシャルディスタンス(生徒同士、生徒と教師)の確保については、徐々に後退している感がある。お互いを大切にする観点を児童生徒に意識させ距離を保つことの大切さを継続して指導していく必要性を強く感じている(札幌山の手支援学校)

▽短期的には、様々な制約で生徒に元気がないと感じたが、生徒はそれなりに適応しながら生活しており新たな課題は感じられない。(市立札幌新川高校)

▽短期的な影響では、「マスクで顔が見えない不安」「名前を覚えられない」。長期化での課題では、「先のみえない不安(一方、感染症対策への意識向上)」「教育活動への影響(グループワークができず、新しい学びからの逆行)」(市立札幌清田高校)

▽マスク着用については、聴覚に障害を抱えた生徒がコミュニケーションの面で困難さを感じていたようだ。そして何よりも、あらゆる集団的行事が中止になったことが、生徒に対する影響が大きかったと感じる(市立札幌旭丘高校)

▽短期的には、新しい生活様式をどのように学校生活に落とし込むかの対応に混乱が生じたが、分掌、学年等の協力で対応を行った。長期的には、マスクをした状態では表情が見えづらく、特に新入生の人間関係の構築に少なからず影響したと感じている。また、ソーシャルディスタンス確保のため、授業形態も講義形式にならざるを得ず、その点でも影響があった。行事、授業においてはソーシャルディスタンスの確保を強く求められているが、日常生活の中ではそれが緩む面が発生してしまうことも避けられず、対応に苦慮している。熱中症への懸念からマスクを適宜外すことも推奨された。影響が長引く中で、マスクを着用しない生徒も増加する中で、感染への強い不安を感じている生徒も多い。今後も早期の解決がみえず、コロナの影響が長引く中での心理的なサポートをどのように実施できるかが課題である(市立札幌平岸高校)

▽児童生徒はマスク着用が厳しいので、かかわる教職員が意識している。距離を保つこと自体が難しい本校の実態(抱っこをしての全介助を伴う支援)は本当にシビアで、教職員はよく頑張っていると感じる。児童生徒の気持ちになって考えてみると、みんなマスクをして大人の表情が分からないと思っていると考えたりもする(北翔養護学校)

(札幌市 2021-06-08付)

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