札幌市立高・特校長会 2年度事業報告 研究紀要から 第7回(札幌市 2021-06-09付)
◆教育相談・特別支援 教育推進委員会④
◆活動報告2 スキルアップ研修(令和3年1~2月に動画共有サイトYouTubeで配信)
▼講演「新型コロナウイルス感染症対応にかかる生徒支援の取組」=道教育大札幌校教授・学校臨床心理専攻長・佐藤由佳利氏
▽新型感染症にかかる基本的な考え方
病気や死ぬことへの過度の恐れや、保護者が感染して隔離されるのではないかなどの不安を抱く子どもたちの不安、医療や介護等を職業にもつ保護者や、経済不安等の家族関係の悪化の影響など。
▽感染者が学校で出たら
感染そのものへの対応・感染した生徒やその家族へのケア・学習や相談の保証の大切さ・感染した教職員へのケア・教職員と管理職とのコミュニケーション・つながりが安心を与える・全校対応・お知らせ・保健所の指導で万全の対策を講じていること・相談先など。
▽児童生徒の心のケア
不安対応・発達への対応・SC(スクールカウンセラー)の活用・登校再開時のケア・アンケートの実施など。
▽IASC
新型コロナウイルス流行時の心のケア、メンタルヘルスと心理、社会的支援の介入。
▽教員が子どもたちにできること
子どもたちが相談しやすい環境づくり、年齢に合った方法で情報を伝える、落ち込みがみられる生徒やスタッフをサポートするためにSW(ソーシャルワーカー)やSCとの連携など。
▽保護者が子どもにできること
子どもたちの声に積極的に耳を傾け、近しい態度を奨励する、感情表現を見守るなど。
大人が冷静に落ち着いた態度でいることが子どもへの安心感につながる、遊ぶ、リラックスできるようにすることで回復力を助ける。
▽教職員は新型コロナウイルス感染症への対応に欠かせない存在
あなたの取組、支援によって子どもたちは安心して学校に来ることができているという有用感。
▽大人の方がストレスを貯めてしまいがち
子どもや保護者の役に立ったことをリストにしてみる、他の人に働きかけたことや感謝の気持ちを知ると得られる感情、リラックスするためのストレッチなども役に立つ。
▽自分でコントロールできること、できないことについて、現実的に考えてみる。コントロールの輪の視覚化はこのことに役立つ
▽青森市の事例
小・中学校でオンライン授業を開始、オンライン環境がない子は学校で授業を受けることを可能にして取り組んだ試みを紹介。
その結果、青森市では、5月末には96・8%がオンライン授業に参加しており、不登校の生徒も74・6%が参加。
受講した生徒の92・5%が登校を再開した。
登校再開後も不登校生徒にはウェブ会議システムZoomによる授業配信を継続。SCがZoomでカウンセリングを実施した。
▽なぜ学校に来るのか、SCの聴き取り
①みんなが休んでいるので自分が登校しないことが苦にならない②オンライン授業という新しいことへ興味③周りの生徒の目が気にならなかった④勉強するのは嫌ではない―実は一般的には休校明けに不登校が増えたという事例の方が多いと言われている。
青森市の実践は、つながりを切らさなかったことが効果的だった。
コロナ禍での適切なコミュニケーションを継続することが大切。その中でも教師のかかわり方として、すべきこととすべきでないことを、対応者の所作などで具体的に明示した。
〈すべきこと〉
開放的でリラックスした姿勢を保つ、適度な声の大きさ落ち着いた口調。
〈すべきでないこと〉
腕を組まない、足を組まないなど。声が大きく早口になりがちなど。
マスクによって声が大きくなりがち。それにおびえる子もいる。動作は大きめに。表情が見えづらい分、動作で伝えるようにする。
▽コロナ禍だからこそ密なコミュニケーションを
家での過ごし方(例・家での様子はどうか)、就寝時間と起床時間(例・生活リズムはどんな感じか)、食事、様子の変化、心配な点―など具体的な様子がみえる姿。欠席している生徒にも、保護者にも同様に聞いてみる。
▽リラクゼーションの勧め(呼吸法)
呼吸をゆっくりすると、緊張がゆるむ。そして、人は呼吸をコントロールすることができる。
▽リラクゼーションの勧め(斬新的筋弛緩法)
緊張からくる身体のこわばりをほぐす方法の紹介。
(札幌市 2021-06-09付)
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