札幌市社会教育委員会議 地域課題に対応する 社会教育の在り方第1回(札幌市 2021-06-25付)
札幌市社会教育委員会議は、「地域課題に対応する社会教育の在り方について~災害の経験から考える」をテーマにした報告書をまとめた。平成30年9月の北海道胆振東部地震に伴い、全道でブラックアウトが発生。市民の生活に多大な影響を与えたことで防災・減災の重要性と危機管理への意識が高まっていることなどを踏まえ、災害を切り口に地域課題の対応について協議を進めてきた。報告書は、①協議テーマ②災害の経験から見えてきた現状と課題③課題解決に必要な視点と方向性④提言~地域課題に対峙する明日の地域のために―の4項目で構成。災害に対する中でみえてきた社会教育の課題と解決に向けた方向性などを示している。各項目内容を連載で紹介する。
◆協議テーマについて
近年は全国各地で様々な自然災害が起きており、26年9月11日の豪雨の際には、札幌市にも初めて大雨特別警報が発令され、道路の冠水や床下浸水などの物的被害が発生した。さらに、30年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震では、市内においても観測史上初めての震度6弱を記録し、その後に発生した道内全域の停電は市民生活に大きな影響を及ぼした。
これまで、札幌市は比較的災害が少ないまちというイメージだったが、昨今の全国的に大規模な風水害が頻発している現状から、災害はいつどこででも起こり得るという意識が市民の間に醸成されてきている。地震などの自然災害の発生を防ぐことはできないが、被害を最小限にとどめるための「防災・減災」の重要性があらためて認識されてきている。
令和2年1月には、国内において新型コロナウイルス感染症の最初の感染者が確認されるなど、新たな災害に直面した。この感染症拡大に伴う甚大な影響は人々の生命や生活のみならず、経済、社会、国際政治、経済秩序、さらには人々の行動・意識・価値観にまで多方面に波及している。
新型コロナウイルス感染症が急激な勢いで世界にまん延する中、札幌市においても2年2月14日に市内最初の感染例が発生して以来、市民、事業者、医療機関をはじめ、全市を挙げて感染拡大防止に取り組んでいる。
さらに、社会教育の分野においても、この新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今まで行ってきた取組を見直さざるを得ない状況となり、今後コロナ禍において、「新しい生活様式」の定着が進む中、「新たな日常」の実現に向けた、地域社会づくりが求められ、これまで対面を主としていた社会教育の在り方が問われていると言わざるを得ない。
一方、地域に目を転じると、社会的変化を背景に地域が抱える課題も以前に比して多様化しているといえる。こうした地域課題に対して、社会教育行政はもとより、その他の行政分野においても課題解決へ向けた多様な施策に取り組んでいる。
また、地域においては、行政以外にも、課題解決に意欲的に取り組むPTA等の社会教育関係団体やNPOも存在している。さらには、学校や企業なども地域貢献・社会貢献として様々な活動を展開している。
社会教育行政は、地域課題の解決に向けて主体的に行動する人材の育成を通して、より安全で住みよい地域づくりを実現していくため、「人づくり」「地域づくり」を重要な責務として貢献してきた。
北海道胆振東部地震を経験したことで、市民には防災・減災などの災害に対する意識が高まっており、多様化・複雑化する地域課題に対して、地域住民自らが向かい合うことの重要性も指摘されている。災害に対峙する人や地域をいかに育てるか、まさに社会教育の責務である「人づくり」「地域づくり」といえる。
そこで、今期の協議テーマは「地域課題に対応する社会教育の在り方について~災害の経験から考える」と設定した。災害はあくまでも地域課題の一つだが、災害の経験からみえてきた様々な課題やそれへの対応策は、他の地域課題においても重要かつ有用なことであるといえる。社会教育によって災害の発生を未然に防ぐことはできないが、人や地域が災害とどのように向き合うか、災害による被害を最小限に抑え、さらなる人災を起こさないために、社会教育として何ができるのかを協議することにした。
(札幌市 2021-06-25付)
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