【解説】ICT活用し自殺予防を
(解説 2021-07-02付)

 文部科学省は、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議での審議のまとめを公表した。コロナ禍における児童生徒の自殺の現状・課題を整理。SOSの出し方に関する教育の充実、児童生徒の状況を多面的に把握するためのICT活用など、今後、講じるべき施策を示した。

 文科省の調査によると、令和2年における児童生徒の自殺者は前年比100人増の499人。原因・動機は、進路に関する悩み、学業不振、親子関係の不和が多く、特に女子中高生の自殺者数が増加した。

 コロナ禍の学校環境の変化として、運動会、遠足、修学旅行の中止・延期、部活動の中止など達成感を得られる場所が減少したこと、休み時間や放課後での友人、担任との交流といった息抜きの場所が失われたことを指摘している。

 精神疾患の影響による自殺者が特に女子中高生で顕著だったことから、メンタルヘルス問題を抱えた児童生徒を精神科治療につなげるとともに、学校と医療機関、民間と連携した支援の必要性を指摘した。

 さらに、SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育プログラムの構成要素の明示、心の健康の保持に関する教育の実施時間やマンパワーの確保など、今後早急に講じるべき施策を示した。ICTを効果的に活用し、悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・対応につなげるよう求めた。

 関係機関の連携体制の構築に向けては、各機関の役割や限界性を互いに理解した上で協働意識をもつことや、合同ケース会議などの実際の活動を通して連携可能な体制の在り方を絶えず点検・補強することなどの留意点を示した。

 文科省は6月29日付で通知を発出。審議のまとめを踏まえ、自殺予防教育を推進するよう求めた。

(解説 2021-07-02付)

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