函館市 実践的安全教育モデル事業 10月に1日防災学校 恵山中拠点に災害安全教育
(市町村 2021-08-16付)

 【函館発】函館市は本年度、道実践的安全教育モデル構築事業に取り組んでいる。道教委からモデル地域の指定を受け、様々な事業を展開。恵山中学校を拠点校に災害安全教育に重点的に取り組み、8月に児童・保護者・教職員等に対するアンケート、10月に地域合同避難訓練(1日防災学校)を計画。事業終了後は拠点校およびモデル地域各校の中核教員と取組を共有するとともに、モデル地域以外の市内各校へ周知する場を設定。継続した取組の推進体制構築を目指す。事業の概要はつぎのとおり。

【モデル地域の概要】

▼重点的に取り組む領域=災害安全教育

▼学校数

▽小学校1校、中学校1校

▼拠点校=恵山中学校

【事業目標】

 恵山は恵山道立自然公園に指定されており、活火山の中でも噴火の可能性が比較的高く、監視・観測を他の火山よりも強めている常時観測火山である。噴火に伴う火山現象(噴石、火山泥流、火砕流等)が生じた場合、短時間で居住地域などに影響が及び、生命に対する危険も高い。

 このことから、児童生徒が火山について理解し、地域住民の一人として日ごろからの備えや工夫をもとに、噴火時に安全に行動し、被害を軽減する能力を身に付けさせ、防災意識を高めることを目標とする。

 また、主体的に命を守り抜く行動ができる児童生徒の育成を目指し、モデル地域の教職員が連携し、安全教育の充実に向けた体制づくりを推進する。

【事業概要】

▼今回の拠点校を設定した理由

 拠点校は、火山の麓に立地し、過疎化が進む当該地域では、中学生は災害時において体力・知力などを望まれる立場として、自助のみならず共助の視点からの行動が求められ、非常時における準備や行動などの知識を備えることで減災につながると考え設定した。

▼拠点校と拠点校以外のモデル地域内の学校との連携

 系統的に防災教育を推進するため、モデル地域内の学校において防災教育に関連する指導内容を整理するとともに、拠点校での公開授業、各地域での地域安全マップ作成や地域合同避難訓練の取組成果を実践委員会において共有し、防災教育の充実を図る。

▼拠点校の取組の活用方法(モデル地域全体への普及方法など)

 公開授業・地域合同避難訓練における学校安全アドバイザーからの指導助言などを各小・中学校に周知する。各学校で作成した地域安全マップを地区に配布するなどして地域への啓発活動に活用する。

▼各校の中核教員が担う役割について

 実践委員会などを通して、各校の防災教育の取組の情報共有を図りながら、学校安全アドバイザーや教育委員会などからの指導助言を受け、自校の学校安全計画の見直し、改善を図る。

▼中核教員の資質向上にかかる取組

 学校安全アドバイザーによる研修会を通じ、視野を広げるとともに、災害に関する知識の取得や防災意識の向上に向けた効果的手法などの理解を深める。

▼拠点校を中心とした安全教育・安全管理にかかる取組

 防災教育にかかわる公開授業および地域合同避難訓練(1日防災学校)や地域安全マップの作成、防災にかかわる講演会を実施する。

▼有識者等の専門的知見の活用方法

 学校安全アドバイザーによる研修や地域合同避難訓練などの事業、危機管理マニュアルの改善に向けた指導助言を受ける。

▼委託事業終了後、取組を継続して実施するに当たっての見通し

 市教委が中心となって、事業の成果を拠点校・モデル地域の各学校の中核教員と共有するとともに、モデル地域以外の学校に周知する場を設定し、事業終了後も継続して取組を進める体制を確立する。

【実施計画】

▼市教委

▽8月=実践委員会の開催

(取組の方向性や実施内容、中核教員の役割の確認)

▽9月=児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(1回目)、モデル地域内の中核教員による研修の実施(公開授業に向けた協議)

▽10月=地域合同避難訓練(1日防災学校)の実施

▽11月=学校安全アドバイザーの派遣(拠点校の実践に対する指導助言)、実践委員会の開催(各学校の取組の共有)

▽12月=地域への事業の取組内容の周知、学校安全アドバイザーの派遣(公開授業への助言、講演講師)、児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(2回目)

▽令和4年1月=学校安全アドバイザーの派遣(危機管理マニュアルの改善に向けた助言)、第2回推進委員会への参加(取組成果・改善策などの発表)、全国成果発表会への参加

▽4年2月=取組の検証、実践委員会の開催(取組の検証結果の共有成果の普及と今後の取組の方向)、成果普及資料の作成・配布

▼拠点校(恵山中)

▽8月=児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(1回目)

▽9月=モデル地域内の中核教員による研修の実施(公開授業に向けた協議)

▽10月=地域合同避難訓練(1日防災学校)の実施

▽11月=地域安全マップづくりを活用した授業の実施、実践委員会への参加(各学校の取組の共有)

▽12月=地域への拠点校の取組内容の周知(地域合同避難訓練、公開授業など)、公開授業の実施、講演会の開催、児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(2回目)

▽4年1月=危機管理マニュアルの改善、第2回推進委員会への参加(取組成果・改善策などの発表)、全国成果発表会への参加

▽4年2月=取組の検証、実践委員会への参加(取組の検証結果の共有成果の普及と今後の取組の方向)、次年度の学校安全計画の見直しと改善、成果普及資料の作成

▼モデル地域内共通の取組

▽8月=児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(1回目)

▽9月=モデル地域内の中核教員による研修の実施(公開授業に向けた協議)

▽10月=地域合同避難訓練(1日防災学校)の実施

▽11月=地域安全マップづくりを活用した授業の実施、実践委員会への参加(各学校の取組の共有)

▽12月=公開授業の参観、児童・保護者・教職員などに対するアンケート実施(2回目)

▽4年1月=危機管理マニュアルの改善

▽4年2月=取組の検証、実践委員会への参加(取組の検証結果の共有成果の普及と今後の取組の方向)、次年度の学校安全計画の見直しと改善

【成果の検証】

▼成果指標

◇必須項目

▽各学校において危機管理マニュアルの見直しや内容の周知などを行い、日ごろの安全教育・管理や危機発生時における各教職員の役割について、共通理解を図っている学校の割合=100%

▽学校安全を推進するための中核となる教員(管理職以外)を校務分掌に位置付けている学校の割合=100%

▽学校安全に関する校内会議や研修等を実施している学校の割合=100%

◇任意設定項目

▽火山・津波に関する児童生徒の知識の習得・理解の割合=80%以上

▽火山・津波に関する保護者の知識の習得・理解の割合=70%以上

▽地域と連携した地域合同避難訓練において主体的に行動する意欲が向上した児童生徒の割合=80%以上

▽地域と連携した地域合同避難訓練に対して理解を示す保護者の割合=70%以上

(市町村 2021-08-16付)

その他の記事( 市町村)

江別市教委 小中一貫で北翔大と連携 5年度全校導入へ研究 ICT活用優良事例を調査

 江別市教委は本年度、北翔大学と連携し、令和5年度の市内全校への小中一貫教育導入に向けて研究を開始する。同大教育文化学部の横山光教授の協力のもと、学びの連続性に着目し、小中一貫教育における有...

(2021-08-26)  全て読む

旭川市中連と市教委 Actサミット 差別のない学校へ協議 コロナ禍のいじめ未然防止

旭川市中連・市教委Actサミット  【旭川発】旭川市中学校連盟と旭川市教委は7月下旬、旭川市民文化会館で生活・学習Actサミットを開いた。市内中学校27校から生徒会役員60人が参加し、「コロナ禍におけるいじめの未然防止」をテ...

(2021-08-25)  全て読む

北広島市3年度教育行政執行方針 小中一貫教育 全国サミット11月配信 教育環境等 多角的に検討

北広島市吉田孝志  北広島市教委の吉田孝志教育長は、20日開会の第3回市議会定例会で令和3年度教育行政執行方針を説明した。小中一貫教育全国サミットin北広島について、新型コロナウイルス感染防止の観点から、オン...

(2021-08-25)  全て読む

縄文ガイド本100冊届く 帯広市 市内小・中、南商に配布

帯広市に縄文遺跡ガイドブック寄贈 縄文ガイド本100冊届く 帯広市 市内小・中、南商に配布  【帯広発】帯広市は17日、市内の建設会社・宮坂建設工業(株)からガイドブック『北海道・北東北の縄文遺跡群を旅するガイド』の...

(2021-08-25)  全て読む

紋別市教委 開かれた教育行政へ 時間等工夫し傍聴者増加 一部審議を初公開 参加容易に

 文部科学省の教育委員会の現状に関する調査(平成30年度間)によると、教育委員会会議の年間傍聴者数の平均は、市町村では5・7人。年間傍聴者ゼロの市町村の割合は65・4%にのぼる。  また、...

(2021-08-25)  全て読む

当別町 地域部活動推進事業 教員の兼職・兼業検証 企業に所属し指導員 9月から

 当別町は本年度、地域部活動推進事業の推進地域として、持続可能な部活動と学校における働き方改革の実現に向けた取組を開始する。教員が民間企業に所属する地域指導員として、休日の指導に従事する兼職...

(2021-08-11)  全て読む

斜里町教委が日本HPと協定締結 共同実証実験事業を展開 端末の利活用環境整え

斜里町教委日本HPと共同実証実験事業  【網走発】斜里町教委は、(株)日本HP(東京)と協定を締結し、児童生徒が主体的にICTを利活用するための環境づくりを目指す共同実証実験事業を実施する。日本HPから、教室用プリンターやChr...

(2021-08-06)  全て読む

通学路の危険個所点検 千葉県の事故受け美唄市教委

美唄市教委通学路点検  【岩見沢発】美唄市教委と美唄警察署などは7月中旬、中央小学校と東小学校周辺の通学路を点検した。6月下旬に千葉県八街市の路上で下校途中の小学生が大型トラックにはねられ死傷した事故を受けて実施...

(2021-08-05)  全て読む

紋別市教委 地域部活動推進事業 持続可能な体制を構築 取組共有へ検討 運営会議

 【網走発】紋別市教委は、持続可能な部活動の体制づくりに取り組んでいる。国の新規事業である地域部活動推進事業のモデル地域として取り組んでいるもの。文化部活動では、6月から地域文化倶楽部を開始...

(2021-08-04)  全て読む

松前町 12~18歳児ワクチン接種 約8割140人希望 9月完了 福島町も中学生対象に開始

 【函館発】松前町は7月中旬から12歳以上を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種を開始した。町によると、7月10日時点で対象者の約8割を占める140人ほどの児童生徒が接種を希望。9月末ま...

(2021-08-02)  全て読む