旭川市中連と市教委 Actサミット 差別のない学校へ協議 コロナ禍のいじめ未然防止
(市町村 2021-08-25付)

旭川市中連・市教委Actサミット
自校の取組に生かそうと、積極的に交流した

 【旭川発】旭川市中学校連盟と旭川市教委は7月下旬、旭川市民文化会館で生活・学習Actサミットを開いた。市内中学校27校から生徒会役員60人が参加し、「コロナ禍におけるいじめの未然防止」をテーマに協議。交流を通して、今後各校で取り組むいじめのない学校づくりに向けた具体的な方策を考えた。

 サミットは、市中連生活部の夏季研修会の1つとして開催。市内中学校の生徒会役員を中心に、身近な問題について関係機関、専門家などの意見を参考にしながら、よりよい生活や学習の在り方について協議することを目的に、平成28年度から始まった。

 前年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によってオンライン形式で交流。コロナ禍におけるいじめの未然防止に向け、代表3校が道外の中学校と取組を遠隔交流したほか、全校で医療従事者などへの応援メッセージや、感染者への差別や偏見をなくすシトラスリボン運動の2本柱によるチャイルドパワープロジェクトに取り組んだ。

 6年目となる本年度の当番校は、東鷹栖中学校。コロナ禍におけるいじめの未然防止に向けた取組をさらに進め、新たな具体策を協議した。

 開会式では、東鷹栖中生徒会副会長を務める髙橋ひよりさん(3年)が西川将人市長のメッセージを代読。西川市長は感染症拡大による人権侵害が社会問題となっている現状を示した上で、「普段かかわりの少ない他校の生徒や講師と話すことのできる貴重な機会。相手を思いやる心をもち、いじめについて議論を深めてほしい」と求めた。

 つぎに、市教委の黒蕨真一教育長があいさつ。コロナに関連したいじめや誹謗中傷の防止に向け、サミットを機に生徒主体の取組がますます充実することを期待した。

 東鷹栖中生徒会長を務める佐藤優維さん(3年)は、自分たちの生活をよりよくするため、各校の代表として積極的に話し合うよう呼びかけた。

 異なる学校の生徒6~7人で構成される9グループで協議。1つ目のテーマを「コロナ禍におけるいじめの未然防止に向けて、差別や偏見、いじめをなくすための具体的な取組および期待される効果について」と設定した。

 協議に先立ち、東鷹栖中が当番校からの提案として「2学期に各中学校区でチャイルドパワープロジェクト第2弾に取り組んでほしい」と呼びかけ、自校で企画している取組を紹介。これを踏まえ、グループで取組内容を交流した。

 各グループからは、「コミュニケーションをとるゲームでクラスの雰囲気づくりを行う」「標語などを掲示して全校で意識向上を図る」「リモートで他校と交流して意見を取り入れる」「コロナについての知識を付けることで関心を深め、考え方を変える」「校区内の学校で共通のリボンなどを作成し、身に付けることで一体感を生む」などの意見が寄せられた。

 発表を受け、市教委学校保健課の相川奈生課長補佐が講評。「皆さんの取組が差別のない温かい社会につながる」と伝え、真剣に考えて協議する姿勢を評価した。

 2つめの協議では、市総合政策部政策調整課の清原英数主査による説明から仮称・旭川市いじめ防止条例の役割等を理解した上で、条例に記載したい児童生徒の役割について意見を交わした。

 東鷹栖中生徒会長として運営・進行に尽力した佐藤さんは「大変よい経験ができた。いじめの未然防止に向けた協議では、小・中学校での交流の機会を増やすことや、いじめを撲滅するためにステッカーを作成することなど、参考になった意見がたくさんあった」と振り返った。また、「参加者から出された様々なアイデアについて、夏休み明けにもう一度生徒会メンバーで話し合い、2学期に取り組むチャイルドパワープロジェクト第2弾の内容をよりよいものにしたい」と今後の展望を話していた。

 午後からの夏季研修会では、アナウンス講習を実施。旭川市内をはじめ全道各地でイベントMCなどを務めている(株)オフィスユーの林ゆかりさんが講師を務めた。生徒たちは発声や敬語の基礎知識、式典等の進行などを学び、今後の学校行事等の運営に役立てた。

(市町村 2021-08-25付)

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