リポート 石狩管内 夏季休業中の端末持ち帰り 調理実習・健康管理など 2学期以降 円滑な活用見据え(市町村 2021-08-31付)
野菜炒めの調理過程を動画で確認する教諭たち
国のGIGAスクール構想によって、小・中学校における1人1台端末の配備が進む。各市町村が、端末の家庭への持ち帰りルールづくりなど、使用環境の整備に知恵を絞る中、石狩管内では夏季休業期間中に端末を持ち帰り課題に取り組ませた学校があった。家庭科の調理実習について、各家庭での実践を課題とし、動画での提出を求めたり、日々の健康管理への活用を求めたりするなど、様々な活用がみられた。いずれも2学期以降のさらなる円滑な活用を見据えたもの。夏季休業期間中の取組を紹介する。
管内公立小・中学校においては、本年度から1人1台端末の授業等での本格運用が始まった。各市町村で様々な端末を導入しているが、いずれもクラウドや教育支援アプリなどを使用しながら実践を重ね、教育効果の検証を続けている。
夏季休業期間中にも、学校現場では、児童生徒が端末を持ち帰り、家庭での学習に生かす試みがみられた。
千歳市は、末広小学校と青葉中学校をモデル校に指定。末広小では、6年生家庭科で実施する予定だった調理実習を夏休みの課題に設定した。
コロナ禍においては、調理実習の際に、児童同士が密になったり、調理した料理を集まって試食したりすることが困難な状況となっている。このため、同校は、野菜炒めの過程で行うにんじんの短冊切りに家庭で取り組み、その様子を動画で撮影して提出する課題を設定。保護者には、休業前にあらかじめ課題内容を説明し、動画での提出に協力を呼びかけた。
夏休みを終え、提出された動画を確認した教員は、「包丁を使ったり、野菜を押さえたりしている手元がしっかり映っている」「一人ひとりの技能面の評価がしやすい」などと、動画提出の効果を実感。保護者からも「学習内容を間近でみることができた」「家庭内でのコミュニケーションが深まった」などと好評で、中には感謝の手紙を寄せる保護者もいた。
今後、他校にも実践の成果を紹介し、校内の他学年での実践につなげていく考え。
石狩市は、全校一斉に持ち帰りを実施。石狩八幡小学校が7月下旬に全学年で夏のオンライン学習会を開催した。遠方からスクールバスで通学する児童も在籍しているため、オンラインで教員とリアルタイムに交流することで登下校の負担軽減につなげた。児童が学習会に参加しやすくなるなどの効果もあり、今後も端末を活用した補充学習の在り方を検討するという。
新篠津村では、全小中学生の健康管理に活用。児童生徒は起床時の体温と体調を毎朝、クラウドに送信し、養護教諭が確認して教職員と情報を共有。
また、新篠津中学校は、英文音読の録音提出を生徒たちに求めるなど、端末を活用した課題を設定した。
教育活動における端末活用の機会が増えることで、「教職員への負担が増えるのでは」(教育委員会関係者)と懸念する声もあり、実際、機器の使用に困り感を抱える教員が少なくない。
一方、学校からは、夏季休業期間中における成果とともに、アンケートや連絡・周知事項での活用、提出物のオンライン活用など、業務が簡略化されたという声も多く出された。
ある学校では、教員間で端末の活用方法や授業での実践について話し合う場面や、空いた時間に他教員の授業を参観することが日常的に行われている。
端末の効果的な活用に向けた体制整備が、児童生徒の学習の充実につながっている。「端末活用に向けた教職員の学習は負担ではなく、むしろ必要なことととらえている」と、今後のさらなる有効活用を見据えた意見も聞かれる。
石狩教育局の吉村公孝教育支援課長は、各校の創意工夫に基づく取組を高く評価。「学びの保障の観点からも、児童生徒にとって大きなメリットになる」とし、好事例を管内全体に周知していく考えを示した。
(市町村 2021-08-31付)
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