【解説】国研　学校空間等に関する調査

（解説 2021-08-16付）

　国立教育政策研究所文教施設研究センターは、児童生徒の安全・安心と学校空間に関する調査結果をまとめた。

　調査は、全国から無作為に抽出した１８８自治体の公立小・中学校の教職員と児童生徒を対象に、教職員８７校３９６人、児童生徒８４クラス２３５９人から回答を得た。調査時点は令和２年７月１日。

　調査結果をみると、児童生徒、教職員が危険と感じる度合いが最も高い日常事故は「廊下の曲がり角での衝突」だった。

　防犯に関する教職員の危険認識が最も高かったのは「門や玄関の多さなど、外部からの不審者の進入」。防災では「天井のずれ、ひび割れ、しみなどの異常」だった。

　約８～９割の学校が月１回以上定期の安全点検を実施しており、すべての管理職が学校内の不具合を「十分に把握」「ある程度把握」していると回答した。

　学校で執行可能な修繕額に関しては、約６割の管理職が「十分でない」「あまり十分でない」と回答。年間の十分な修繕額は「５０～１００万円未満」が３分の１を占めた

　児童生徒が校内安全マップを作成している学校は約２割。マップを作成している学校では、教職員と児童生徒が危険と感じる項目などに共通認識を得る効果があると分析している。

　日本スポーツ振興センターの災害共済給付状況をもとに、実際の事故件数と学校利用者の危険への認識の関係を分析した結果、危険と感じる度合いが比較的高く、かつ実際の事故件数が多かったものは「階段での転倒」「廊下での衝突」「遊具等への衝突」。

　一方、危険への認識度が比較的低く、実際の事故件数が多かったのは「階段での衝突」「床の段差などつまずきによる転倒」となった。

(解説 2021-08-16付)