北斗市上磯中 土曜授業でハイブリッド学習 少人数できめ細かに指導 不登校生支援体制構築にも効果 
(学校 2021-09-03付)

リポート・北斗市上磯中土曜授業取組
数学の土曜授業は習熟度別に分かれて実施

 【函館発】北斗市立上磯中学校(村上篤校長)は本年度、年間6回の土曜授業で分散登校とオンライン学習を組み合わせたハイブリッド学習を試行している。チーム・ティーチング(TT)を交えることで、さらなる少人数・習熟度別学習にも力を入れている。教職員からは「一人ひとりに目が届きやすく授業に集中しやすい」、生徒からは「先生に質問したり発言したりしやすい」などと好評だ。また、カメラをオフにするミュート機能を活用し、不登校生徒が抵抗なくオンライン授業に出席できる支援体制の構築にも取り組んでいる。成果を挙げる一方で、登校する生徒とリモートで参加する生徒の振り分け方や、多人数での同時オンライン学習時のアプリ機能など、課題もみえてきた。

 市内の小・中学校では、平成27年度から土曜授業を実施。北斗市教委によると、多くの中学校が、学力向上に向け主要5教科の授業を中心に行っているという。

 上磯中は、前年度からGIGAスクール構想推進に向けた取組を年間計画に掲げ、校内ICT推進担当教職員が中心となって「GIGAスクール実現と充実に向けたロードマップ」を作成。年間6回の土曜授業で一部の端末の持ち帰りによるリモート学習や、不登校生徒に対する支援体制の構築を計画した。

 1人1台端末が配備された本年度は、2年生を中心に学年全体の半数の生徒に端末を持ち帰らせ、ハイブリッド学習を計画。不登校生徒の希望者も参加し、出席扱いとした。

 学習には、Microsoft Teamsを活用。端末を持ち帰る生徒は各学級で出席番号による振り分けや希望制で決め、午後から部活動に参加する生徒を主に登校させるなど、様々な対応を行っている。

 例えば数学の授業。TTによる習熟度別学習でハイブリッド学習を試行した。1クラス35人の生徒を習熟度別に2つに分割。さらに2分割したグループの各半数の生徒がリモートで授業に参加することで、約4分の1の生徒が2つの教室にそれぞれ集まることになる。

 7月中旬の土曜日に行われた数学の授業。35人のうち、2つの教室で授業を受けている生徒は各10人。「この問題、どうやって解くんだっけ」。少人数の環境で、積極的に教諭に質問する生徒たち。担任教諭とTTは、教室の生徒と自宅から参加する生徒を交互にみながら、丁寧に時間をかけて指導していた。

 授業後、担当教諭らは「一人ひとりに目が届きやすく授業に集中しやすい」と手応えを。生徒たちも、「いつもの4分の1の人数なので、先生に質問しやすい」などと、きめ細かな支援を実感していた。

 今回は、不登校の生徒がリモート学習に参加しやすい環境も整備。これまで放課後の1~2時間、教職員が授業を行うなどの支援に当たっていたが、業務時間の延長など、働き方改革の観点から課題もみられた。そこで、カメラのアクセスをオフにし、ミュート状態にすることで、生徒の精神的不安の軽減を図った。名生達也教頭は「不登校の児童生徒も気軽かつ積極的に授業に参加できるのでは」と期待する。

 試行の結果、様々な課題もみえてきた。名生教頭は「アプリは上限が250人ほどのため、全校生徒530人が同時にリモート学習に参加することは難しい」「不登校の生徒に対するリモート学習は、ほかの生徒も家庭から授業に参加したいなどの声が上がるため、慎重な判断が必要」と明かす。

 ICT推進の中核を担う太多諒教諭は「リモート学習と学級にいる生徒への対応が異なるため、リモート学習をサポートする教員がいるとより効果的」と話す。

 同校は今後、こうした課題解決に向けハイブリッド学習を修正していくほか、長期欠席者への端末の貸し出しも検討。他校との実践交流や道外の視察なども視野に、GIGAスクール構想を推進していく考えだ。

 取組を見守った市教委の永田裕教育長は「同校の実践が呼び水となり、各校に浸透していけば」と期待している。

(学校 2021-09-03付)

その他の記事( 学校)

建設業は暮らし豊かに 広尾町豊似小 現場見学会

豊似小現場見学会  【帯広発】広尾町立豊似小学校(長谷川充校長)は8月26日、地元建設企業・拓殖工業(株)が主催する現場見学会に参加した。1・2年生11人が大樹町内で高規格道路の工事現場を見学。重機への試乗や...

(2021-09-08)  全て読む

福島小3年児童 卒業生とも交流 タイヤ上手に描けたよ キリンクレーン写生会

福島小キリンクレーン写生会  【函館発】福島町立福島小学校(大山真由美校長)は2日、同校で写生会を行った。町内の中塚建設(株)のキリンクレーンがことしも小学校の写生会でモデルを務めた。3年生の図画工作の時間に行われたも...

(2021-09-08)  全て読む

天塩小で建設関連団体出前授業 建設業の役割とは 5年生21人理解深め

天塩小WEB出前授業  【留萌発】天塩町立天塩小学校(山田閑子校長)で8月30日、留萌建設協会に所属する若手経営者で組織する萌志会(堀口哲志会長)によるオンライン出前授業が行われた。5年生21人が参加。工事の内容...

(2021-09-07)  全て読む

下川小 町内企業課外授業参加 建設業への理解深め ダム見学や重機試乗等で

下川小ほんわか教室  【旭川発】下川町立下川小学校(井川健校長)の4年生が8月30日、地域の建設企業・(株)谷組による課外授業「ほんわか教室」に参加した。町内のサンルダムを見学。ダムの整備効果を学んだほか、ドロ...

(2021-09-07)  全て読む

高校教員対象に19日 札幌学院大オープンキャンパス

 札幌学院大学は、9月19日午前10時30分から札幌市厚別区の新札幌キャンパスで、高校教員対象のオープンキャンパスを開催する。  河西邦人学長の講演「札幌学院大学による地方創成への高校魅力...

(2021-09-07)  全て読む

岩農高 建設業界団体と連携授業 ICTの有用性知る GNSS 種類など学習

空知建協・岩農高連携授業  【岩見沢発】岩見沢農業高校(鎌田一宏校長)は8月25日、同校で空知建設業協会との連携授業を開いた。農業土木工学科2年生28人と農業科学科3年生39人が参加。GNSS(全地球測位衛星システム...

(2021-09-02)  全て読む

留萌局 道外出身新採用教職員交流会 仲間は大切 適度に休息も 先輩から仕事等の留意点学ぶ

留萌局道外出身新採用教員交流会開催  【留萌発】留萌教育局は18日、オンラインで管内小・中学校における道外出身の新採用教職員による交流会を開いた。初めて開催したもの。6人が参加して交流を深めたほか、道外出身の先輩教員から仕事や...

(2021-08-30)  全て読む

教育環境改善に尽力 岩見沢市教委 建設業2社に感謝状

岩見沢市教委から西江・植村JV感謝状  【岩見沢発】岩見沢市教委は25日、市立南小学校(菅原伸介校長)のポプラなどのせん定・伐開作業を行った建設業者・西江建設(株)(帯広)と植村建設(株)(赤平)に感謝状を贈呈した。三角光二教育...

(2021-08-30)  全て読む

旭川北高理科研究部 総文の生物部門 初出場で最優秀賞の快挙 28日 ウェブで世界に発信

旭川北高校理科実験研究部総文最優秀賞  【旭川発】旭川北高校(鈴木淳校長)理科実験研究部は、7月31日から3日間かけて和歌山県で開催された全国高校総合文化祭の自然科学部門における研究発表生物部門に初出場し、最優秀賞を受賞する快挙...

(2021-08-27)  全て読む

札幌国際情報高英語部 第総文英語部門 最優秀賞受賞の栄誉 全員の頑張りが結実

札幌国際情報高校英語部・全国大会最優秀賞  札幌国際情報高校(阿部穣校長)英語部の部員9人は、第45回全国高校総合文化祭英語部門で最優秀賞を受賞した。本番までに積み重ねた練習や前日リハーサルの様子を笑顔で振り返る生徒たち。「全員の頑...

(2021-08-27)  全て読む