道議会質疑 予算特別委員会(6月29日)(道・道教委 2021-10-01付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼植村真美委員(自民党・道民会議)
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼池野敦教育部長兼教育職員監
▼鈴木淳学校教育監
▼山本純史総務政策局長
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼伊賀治康教職員局長
▼山下幹雄総務課法制・公務管理担当課長
▼岸本亮施設課長
▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長
▼行徳義朗義務教育課長兼ICT教育推進担当課長(義務教育)
▼金田敦史特別支援教育課長
▼山﨑義一教職員育成課長
▼泉野将司健康・体育課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
▼奥寺正史教職員課長
◆教員の確保
Q植村委員 教員採用選考検査の志願状況について、本年度の教員採用選考検査の1次検査の志願状況が発表された。
前年度から志願者数が大幅に減っているとのことだが、直近3年間の志願者の状況はどのようになっているのか、受検区分別に伺う。
A奥寺教職員課長 教員採用選考検査の志願状況について。北海道の選考検査を出願した人は、小学校教諭の区分では、令和元年度が614人、2年度が623人、3年度が576人、中学校教諭では、元年度が959人、2年度が966人、3年度が881人、高校教諭では、元年度が1041人、2年度が986人、3年度が787人などとなっている。
特別支援学校教諭や養護教諭、栄養教諭などを含め、合計すると、元年度が3213人、2年度が3176人、3年度が2736人であり、本年度は元年度から477人減少している。
Q植村委員 本年度、志願者が大きく減少した要因をどのように分析しているのか、今後の登録にどう影響すると考えているのか伺う。
A奥寺教職員課長 志願者数が減少している要因について。東京会場は、道内会場に比べ大きな減少となっており、前年度までは、他都府県と日程で競合することがなかったが、本年度、茨城県の選考検査と日程が重なったことが影響したものと考えている。
また、道内会場は、新卒者よりも既卒者で減少数が多く、近年の採用増によって既卒者の受検者が減少していることなども影響していると考えられる。
なお、各受検区分において採用予定数を上回る志願者があることから、現時点では、登録に当たって大きな影響が生じることはないと考えている一方、教員の質の確保のためには一定の倍率が必要という指摘もあり、教員の質の確保が懸念される。
Q植村委員 業務の多忙化などが教員の道を回避する原因と言われて久しい。道教委では、教員の魅力発信にこれまでどのように取り組んできたのか、具体的な取組について伺う。
A山﨑教職員育成課長 教員の魅力発信の取組について。道教委では、北海道の教員を志す人材の確保育成のため、教職の魅力を発信する動画や教員採用に向けた様々な情報などをまとめた教員採用ポータルサイトを開設している。
また、前年度からは、高校生が小・中学校などでの職業体験を通じ、教員の仕事や子どもとふれあう楽しさなどについて体験することによって教職に魅力を感じ、教員養成大学への志望を促す高校生インターンシップを実施するなどの取組を行っている。このほか、道内の教員養成大学や市町村および市町村教委と連携しながら、教員を目指す学生が過疎地等に暮らし、教職の魅力を体感する草の根教育実習システムを新たに構築し、本年度はさらに実施規模を拡大することとした。
D植村委員 草の根教育実習システムは、大学生が実際に教育の現場に行く実習システムだと聞いている。昨年は、コロナの影響で半分ぐらいの希望者が実現できなかったと聞いている。
ことしは、希望する学生たちが行けるような状態をつくっていただきたい。
Q植村委員 厳しい勤務実態を改善するため、道教委では、平成30年にアクション・プランを作成し、学校における働き方改革を進めている。
取組の成果をどのように認識しているのか、また、3月には第2期アクション・プランを作成し、新たな段階における改革を進めるとしているが、教員の魅力向上に特に期待する取組として、どのようなものが掲げられているのか、併せて伺う。
A伊賀教職員局長 学校における働き方改革の取組について。道教委では、教員確保のためには、教員が心身のゆとりややりがいをもって業務に従事できる環境の整備が重要と考え、学校閉庁日の実施、働き方改革手引の作成と活用、在校等時間の客観的な計測、記録等に取り組んできた。その結果、元年度の調査では、教諭の1週間当たりの時間外在校等時間が28年度に比べ2時間23分減少するなど、一定の縮減がみられるものの、道教委が目標としている月45時間を超過する教員はいまだ多く、さらなる対策を講じていく必要があると考えている。
ことし3月に策定したアクション・プランでは、教員が本来担うべき業務に専念することができるよう、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員の配置に加えて、法的専門性を要する事案に対応する教職員の負担を軽減するため、スクールロイヤーによる法務相談を開始するほか、部活動の地域移行に関する実践研究とその成果の普及に取り組むこととしている。
Q植村委員 今回の志願者の減少は、小学校における少人数学級の拡大や教科担任制の導入を計画的に進める上で大きな不安材料であり、今後の教員確保に向けて、取組を再構築する必要があると考える。
的確な選考検査の実施はもとより、道内の教員養成大学と緊密な連携のもとで、教員養成の段階から各教員研修の段階までを計画的に進める取組が求められている。
道教委は、優秀な人材の確保に向けて、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A池野教育部長 教員確保に向けた今後の取組について。社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となる中、子どもたちの資質・能力を確実に育成するためには、直接かかわる教員の人材確保と資質の向上が重要である。
このため、道教委では、選考検査について、日程や会場の設定など、さらなる改善を図るほか、草の根教育実習システムや高校生インターンシップなど、教職の魅力を伝える取組を一層充実するとともに、学校における働き方改革の手引『Road』を有効に活用し、職場環境の改善にも積極的に取り組んでいく。
さらに、教員養成大学や市町村教委等で構成する教員育成協議会において、本道が求める教員の確保や育成に関する新たな取組について検討するとともに、連携協定を結んでいる道教育大学と養成、育成のプログラムの在り方について協議を進めている。
大学や地域との連携を深めながら、教員の養成、採用、研修の一体的な取組に努めていく。
◆いじめ問題
Q植村委員 道内の公立学校におけるいじめについて、発生件数や解消した割合なども含めて、どのような状況になっているのか。これまでの推移から、道教委はこの現状をどのように受け止めているのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの現状について。国の令和元年度を対象とした調査では、いじめ認知件数は、小学校が1万8525件、中学校が3209件、高校が749件、特別支援学校が91件で、全体では2万2574件で、前年度と比較し2488件増加した。
また、学校において、いじめを解消したとしているいじめ解消率は、小・中学校とも約97%、高校が約88%、特別支援学校が約91%であり、前年度と同程度だった。
さらに、生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあるいじめ重大事態の件数は、小・中学校合わせて14件で、前年度と比較し8件増加した。
道教委としては、認知件数の増加は、学校がいじめの初期段階も含めて積極的に認知し、解消に向けて取り組んでいるものと肯定的に受け止めているものの、早期解決が図られず、いじめ重大事態の件数が増加したことは、極めて憂慮すべき状況と受け止めている。各学校が引き続き緊張感をもち、すべての児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、いじめ根絶に向けた取組の徹底が重要と考えている。
Q植村委員 先の文教委員会では、各市町村教委の教育長や校長会との緊急会議を開催し、いじめ問題への対応について協議すると答弁されていたが、緊急会議の概要や今後の取組はどうなっているのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ問題への対応にかかる緊急会議について。道教委では、市町村教委や各校長会と一体となっていじめ問題に対応するため、5月20日に緊急オンライン会議を開催し、市町村教委が所管する学校に対して、いじめ防止基本方針を踏まえ、いじめと疑われる事案を抱え込まず、組織的な早期発見・対応を徹底するよう指導助言することや、校長は、学校のいじめ対策組織を機能させ、早期発見・対応等の具体策を見直し、全教職員が徹底することなどについて速やかに実行することを確認し合った。
道教委としては、今回の会議を受け、各市町村や学校が確実に取り組むよう、ただちに指導通知を発出した。
現在、各教育局において管内の市町村教委との連携を一層強め、各学校の実情に即したきめ細かな指導助言に努めており、引き続き、いじめ根絶に向けた取組を徹底していく。
Q植村委員 旭川市の事案では、第三者調査委員会に臨床心理士や弁護士が委嘱されていると聞いている。いじめ被害が深刻化し、長期化が予想される場合などに、学校では、臨床心理士や弁護士のアドバイスを受けて対応することが効果的と考える。
こうした取組について、道教委では、これまでどのように学校を指導してきたのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 専門家を活用した対応について。いじめ問題が深刻化し、学校や教育委員会だけでは解決が困難と想定される事案に対しては、専門家と連携し、早期に対応することが重要と考えている。
こうしたことから、道教委では、弁護士や臨床心理士の資格を有する学識経験者などで組織する道いじめ問題等解決支援外部専門家チームを道内4ブロックに設置し、市町村教委や学校の要請に応じて専門家を派遣し、いじめ対応に関する専門的な見地から助言してきた。
専門家の派遣を受けた市町村教委から、弁護士からは、いじめ被害を受けた生徒、保護者の要望に応じたきめ細かな対応に関する助言、臨床心理士からは、被害児童の特性に応じた解決方法に関する助言を得るなど、いじめの深刻化、長期化を防ぐなどの成果があったとの報告をいただいている。
Q植村委員 いじめの問題は、これまでも、全国的には滋賀県大津市の事案や、道内では滝川市の事案など、重大で深刻な事態がいくつも起きている。
それぞれの学校や教育委員会では、その都度、対応を検証し、改善が図られているとのことだが、ある程度期間が過ぎてしまうと、どうしても取組に緩みが出て、深刻ないじめが繰り返されるのではないかと危惧している。
今回の旭川市の事案では、学校、教育委員会ともに、いじめとして認知していなかったとのことで、これでは、いじめの対応すらしていないことになる。
こうした事案の再発防止に向け、道教委は各学校におけるいじめ問題への対応をしっかりと把握し、いじめ根絶に向けて取組を徹底する必要があると考える。今後の取組について伺う。
A倉本教育長 いじめ根絶の取組について。いじめは、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題であるということを、教育委員会、学校が共通に認識し、各学校において全教職員が一体となって、日ごろからいじめの芽を決して見逃さず、積極的に認知し、初期段階から指導することによって、いじめ問題を早期に解決する取組を徹底し、いじめを許さない学校づくりを進めることが重要と考えている。
道教委としては、すべての市町村と学校において、道いじめ防止基本方針に基づき、いじめの問題への組織的な取組をまとめた、いじめ防止等に向けた取組プランが着実に実施されるよう、今後、各教育局と市町村教委との連携を一層強化し、各学校等の取組状況を把握しながら、より実効性ある取組の実現に向けて指導助言するなど、いじめ根絶に向けた取組が緩むことのないよう取り組んでいく。
◆ヤングケアラー
Q植村委員 ヤングケアラーに関する国の調査結果で、特に注目すべき点としてどのようなものが挙げられているのか、調査結果を道教委としてどのように受け止めているのか伺う。
A中澤指導担当局長 ヤングケアラーに関する調査結果等について。国の調査では、「世話をしている家族がいる」と回答した生徒は、中学2年生で5・7%、全日制高校2年生で4・1%であり、その中には、「世話をしていても自分のやりたいことへの影響は特にない」と回答した生徒が半数いる一方で、家族への世話をほぼ毎日している生徒は5割弱、そのうち、世話をすることについて相談していない生徒は約6割だった。
また、学校において「ヤングケアラーに該当する子どもがいる」と回答した中学校、高校は、ともに5割弱であり、そのうち、外部の支援につながらなかった学校は、中学校で4割弱、高校で約6割を占めている。
道教委としては、こうした調査結果から、家族の世話などを日常的に行っている生徒の中には、重い責任や過度な負担によって子どもらしい生活を送ることなどに影響があることがうかがわれることから、各学校がこうした生徒の状況を早期に把握し、関係機関と連携し、適切な支援につなげていくことが重要と受け止めている。
Q植村委員 ヤングケアラーの基準を道教委はどのように考えているのか、今後、実態把握や対応を検証する上で、どのような点を重視していくのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 ヤングケアラーの基準等について。ヤングケアラーについての法令上の定義はなく、子どもたちは、家事の分担をしたり、幼いきょうだいや祖父母の世話をするなど、家族の一員としての自覚をもち、生活することは大切なことである。
一方で、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や過度の負担によって子ども自身がやりたいことができないなど、日常生活や学業などに影響があると考えられる事例があり、国の調査では、こうした子どもをヤングケアラーとしている。
道教委としては、今後、知事部局と連携して行う調査の実施に当たって、子どもたちの家庭での状況はもとより、ヤングケアラーが学校や大人から受けたい支援など、子どもの思いや悩みなどを把握し、子どもたちに寄り添い、その状況に応じた必要な支援に生かしていく考えである。
Q植村委員 ヤングケアラーと思われる子どもがいた場合、学校ではどのように対応しているのか、学校の現状について伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 学校の現状について。学校が日常の教育活動全体を通して、ヤングケアラーの可能性も含めて、該当する児童生徒を把握した場合には、学級担任や養護教諭などはもとより、スクールカウンセラーによる教育相談を通して、家庭や家族に関する思いや悩みをより丁寧に受け止め、子どもの実情に応じた対応を検討するとともに、必要に応じて、スクールソーシャルワーカーを通して市町村福祉部局による必要な支援につなぎ、福祉、介護、医療、教育等が連携して組織するケース会議などにおいて支援体制を整えるなど、ヤングケアラーに対応する校内体制の整備に努めている。
Q植村委員 ヤングケアラーの問題は、親の介護や家事の分担など、家族の在り方を考え、支援が必要な子どもたちに社会全体で手を差し伸べる、社会福祉上の重要な課題と考える。
このため、学校や教育委員会だけでの対応には無理があり、行政全体での対応が求められている。
道教委として、ヤングケアラーの問題に、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A鈴木学校教育監 今後の対応について。ヤングケアラーの問題は、家庭内の問題として表面化しにくいことや、社会的認知度が低く、支援が必要な子どもがいても、子ども自身や大人が気づくことができないという課題があり、ヤングケアラーを早期に発見して適切な支援につなげるためには、福祉、介護、医療、教育等の関係機関が密接に連携し、対応することが重要と考えている。
道教委としては、まずは、ヤングケアラーを発見しやすい場所である学校において、教職員一人ひとりがヤングケアラーへの理解をより一層深めることができるよう研修機会を充実させるとともに、関係機関や関係団体等と緊密に連携し、スクールソーシャルワーカーの派遣など、組織的な支援体制の充実を図り、ヤングケアラーを適切に支援できるよう取組を進めていく。
P植村委員 本人もヤングケアラーだという実感がないということもあるので、基準をどういう形で設けるのかが大変だと思う。教員も、そういったことを判断しなければいけないということで、また仕事が増えてくる可能性もあり、今後、そういった環境をどういうふうに是正していくか。
ヤングケアラーに対する校内体制の整備のために、市町村の福祉部局とのつながりをつくるということだが、ここの連携についても、必要だと思っている市町村は割と早く進むと思うが、そういった体制を含めて、市町村によって温度差が出てくるのではないか。
栗山町は、ケアラー支援条例をつくった全国で初めてのまちである。そういった地域にもしっかりと聞き込みをしながら、最善の方法を取っていただきたい。
◆学校の安全・安心
Q植村委員 道内の全公立学校1931校のうち、豪雨や台風で被災の恐れがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地しているのは363校、全体の割合は18・8%で、そのうち、浸水想定区域に319校で16・5%、土砂災害警戒区域に54校で2・8%、両方に該当するのは10校で0・5%であることが文部科学省から公表された。
豪雨や台風で被災の恐れがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地している公立学校の319校の幼稚園、小学校、中学校、高校および特別支援学校の内訳について伺う。また、道立学校の内訳についても併せて伺う。
A岸本施設課長 浸水想定区域等への立地状況について。文科省が実施した浸水想定区域、土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査によると、令和2年10月1日現在における道内の公立学校の状況として、浸水想定区域には、幼稚園および幼保連携型認定こども園が7園、小学校が186校、中学校が90校、義務教育学校が3校、高校が19校、特別支援学校が14校が立地している。土砂災害警戒区域には、幼稚園および幼保連携型認定こども園が1園、小学校が29校、中学校が18校、高校が5校、特別支援学校が1校、いずれにも該当する学校は、小学校が5校、中学校が2校、高校が2校、特別支援学校が1校である。
また、これらのうち、道立学校については、浸水想定区域に、高校が16校、特別支援学校が11校、土砂災害警戒区域に、高校が5校、特別支援学校が1校、いずれにも該当する学校は、高校が2校、特別支援学校が1校である。
Q植村委員 浸水想定区域等に立地する道立学校について、今後どのようにハード面の対策を講じていくのか伺う。
A山本総務政策局長 学校施設における対策について。近年における水害や土砂災害の激甚化、頻発化を踏まえ、国が作成した対策事例集では、学校教育活動の早期再開等に支障が生じないよう、施設の老朽化対策時期に合わせ、建物への浸水対策や、受変電設備の浸水防止対策等を検討するよう示されている。
道教委としては、学校をただちに移転させることは困難であることから、取り急ぎ実施可能な対応として、学校に対し、施設設備の点検や重要書類などの保管場所を検討するよう指導している。今後も、国の事例集を参考に、市町村の防災担当部局などと連携し、想定されるリスクに応じた学校施設の安全性の確保を検討していく。
Q植村委員 該当校のうち、避難計画の作成、避難訓練の実施はどのようになっているのか伺う。
また、避難計画が未作成、避難訓練が未実施の高校は、避難計画の作成、避難訓練の実施に向け、今後どのように取り組む考えなのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 道立学校の計画作成等の状況について。浸水想定区域または土砂災害警戒区域に立地する道立学校30校のうち、2年10月の調査実施時点では、避難確保計画を作成済みの学校は19校、避難訓練の実施済みの学校は14校だった。ことし6月時点では、計画作成済みは24校、訓練実施済みは17校となっている。
今後、道教委としては、児童生徒等の安全確保の観点から、未作成、未実施の学校に対しては、市町村防災関係部局との連携を一層強めて、国の危機管理マニュアルガイドラインの活用を働きかけ、速やかな計画作成と本年度中の訓練実施について取り組むよう指導していく。
Q植村委員 市町村の幼稚園、小学校および中学校について、避難計画の作成、避難訓練の実施はどのようになっているのか伺うとともに、学校運営に関する指導助言、援助を行う道教委として、どのような取組をする考えなのか伺う。
A中澤指導担当局長 市町村立学校の計画作成等の状況について。浸水想定区域または土砂災害警戒区域に立地する市町村立学校がある56市町村のうち、避難確保計画がすべての学校で作成されているのは29市町村、避難訓練がすべての学校で実施されているのは26市町村である。
道教委としては、道内すべての学校に対して、本年度中に計画を作成し、訓練を実施するよう指導するとともに、実施方法等について好事例を提供するなどの支援を行い、学校の防災体制の構築や防災教育の推進を着実に進めていく。
◆コロナ対策
Q植村委員 トイレの洋式化について。新型コロナウイルス感染症対策に関し、より感染リスクの低いトイレの洋式化への改修について、道教委では、道立高校の現在の整備率の40%から80%をめどに整備するとのことであった。
本年度においてどの程度の整備率となるのか。また、市町村の整備率はどれほど進んでいるのか、併せて伺う。
A岸本施設課長 トイレの洋式化について。道教委では、新型コロナウイルス感染症対策として、道立高校における衛生環境改善としてのトイレの洋式化について、本年度中に、必要とする便器の80%を目途に改修整備を進めている。
また、道内公立小・中学校の洋式トイレについては、文部科学省が実施した公立学校施設のトイレ状況調査によると、令和2年9月1日現在、全便器数の63・5%が整備済みとなっている。
Q植村委員 手洗い場の蛇口の自動水栓化について。道教委では、新築、改築などの機会での導入を図ってきたとのことだが、今後どのような計画で導入を推進していくのか伺う。
A岸本施設課長 自動水栓について。道教委では、道立学校の新築や改築を行う際には、手洗い場の蛇口を自動水栓化してきた。
今後は、国の学校保健特別対策事業費補助金を活用し、電池式の自動水栓を一部導入するなど、道立学校における感染症予防と衛生環境の改善に努めていく。
Q植村委員 学校における新型コロナウイルス感染防止のために整備した、サーキュレーターなどの整備状況について伺う。
A泉野健康・体育課長 サーキュレーター等の整備状況について。道教委では、道立学校の教室における換気等を徹底するため、2年度の国の補助金や臨時交付金を活用し、学校の要望を踏まえ、サーキュレーターを83校に、扇風機を163校に、空気清浄機を94校に、加湿器を70校にそれぞれ設置した。
本年度においても、前年度と同様に、国の補助金等を活用して、サーキュレーターなどの感染症予防に必要な備品を設置することとしており、今後も、児童生徒や教職員が安全・安心に教育活動を継続できるよう、学校の実情に応じて感染症対策に取り組んでいく。
Q植村委員 道教委は今後、学校における新型コロナウイルス感染症対策にどのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。道教委では、コロナ禍においても児童生徒の安全を確保していけるよう、学校施設の衛生管理や室内環境にかかる整備を進めているほか、各学校において、学校医や学校薬剤師などと連携を図りながら、国の衛生管理マニュアルに基づき、徹底した取組を進めている。
今後も、こうした取組の徹底はもとより、その対策の実効性を高めるため、先般、各教育局に編制した感染症対策支援チームを中心として、各学校の状況をきめ細かく把握しながら、取組をより一層後押しするとともに、6月24日には、緩みなく切れ目ない感染症対策の徹底などに向けて、これまでの幼稚園から大学までの教育機関や行政機関に、新たにPTA3団体を加えた28団体による共同宣言を発出した。
引き続き、こうした取組を通して、学びを止めない教育の推進に向けて、学校、家庭、地域、行政が一体となった感染症対策の徹底に万全を期していく。
◆教育の機会均等と質向上
Q木葉委員 緊急事態宣言下で行われた道立高校での同時双方向のオンライン学習について、約4割の学校で実施とあったが、この点に関する評価について伺う。
併せて、オンライン学習の実施に向けては、教職員の研修が必要であると考える。そのためには、業務の縮減や精選が必要と考えるが、所見を伺う。
A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 高校でのオンライン学習について。昨年4月に出された緊急事態宣言下における一斉休業時の同時双方向によるオンライン学習の実施状況は1割に満たなかったものの、今回の緊急事態宣言による特定措置区域となった道立高校においては約4割の学校で実施しており、道教委としては、コロナ禍において、各学校が生徒一人ひとりの学びを止めない教育の推進を図るため、学校全体で創意工夫ある取組に努めているものと受け止めている。
また、オンライン学習の実施に向けた研修については、内容の精選やオンデマンドの活用など、手法の見直しなどを行い、より効率的なものになるよう努めるほか、道教委のポータルサイトに校内研修の参考となる資料を掲載するなど、短い時間を効果的に活用して、教職員が心身にゆとりをもって必要な資質・能力を伸ばすことができる取組を、引き続き進めていく。
P木葉委員 昨年の1割からことしは4割まで増加した。これは、ひとえに現場の教職員が努力をした成果であると感じる。
道には、双方向のオンライン学習を実施できなかった6割の学校、実施できた4割の学校の状況の把握にしっかりと努めていただきたい。何より大事なのは、現場の声を丁寧に聞くことである。そのことが子どもたちの学びの質の向上につながる。
また、業務の縮減については、今ある業務の総体の中で、どうやってスクラップ・アンド・ビルドを徹底できるかということが時間外の業務縮減につながる。
一方で、オンライン学習については、あくまでも緊急時の代替の教育手段であり、児童生徒の多くは、対面の授業を望んでいることを忘れてはいけない。
Q木葉委員 教員の学習用端末について、道立高校では、8割が整備されているという。小・中学校ではどのような状況になっているか。併せて、道教委としての評価と今後の支援について伺う。
A行徳義務教育課長兼ICT教育推進担当課長(義務教育) 教員用端末の状況について。国の調査によると、道内の小・中学校において、指導者用PC端末の整備状況は、コンピューター教室等にあるPC端末も含めて、令和2年3月現在で、授業を担任する教員に必要な台数の約5割となっている。
教員が児童生徒用に整備された1人1台の端末を活用して学びの質を高める授業を行うためには、国が4年度までに目標としている、教員1人につき1台の指導者用PC端末の整備が必要と認識している。
道教委としては、これまでも、市町村教委に対し、指導者用PC端末の整備を働きかけてきたが、本年度、GIGAスクール構想を円滑に推進する観点から、あらためて強く働きかけるとともに、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、ソフトウェアの経費や大型提示装置などと合わせ、必要な財政措置を講じるよう、引き続き国に要望していく。
Q木葉委員 教員志願者の減少について。本年度の状況とこれまでの取組、評価について伺う。
A奥寺教職員課長 教員採用選考検査の志願状況について。本年度、北海道の選考検査を出願した人は、小学校が576人、中学校が881人、高校が787人、特別支援学校が137人、養護教諭が276人、栄養教諭が79人であり、道全体としては2736人で、昨年に比べて440人、13・9%の減となっている。
道教委では、これまで、道外の志願者が受検しやすいよう東京会場を設置するほか、教職のやりがいを体感する草の根教育実習システムや、高校生インターンシップといった教職の魅力を伝える取組を進めるとともに、学校の働き方改革を推進して、職場環境の改善に取り組んできた。
本年度は、他県と日程が重複する中、志願者の減少がみられているが、引き続き、これまでの取組を積み重ねて、教員の確保が図られるよう努めていきたい。
P木葉委員 問題は、教員養成系の学生が教育実習に行った際に、教員の長時間労働、過酷な労働環境を目の当たりにして、「自分にはとても無理だ」と話している人がいて、受検しない、教職に就かない人にどうやって対応するかではないか。
今回、道教委は、教員確保のためにチラシもつくっている。そうしたチラシは、思いだとか、願いだとかがしっかりと込められたものを作成するべきではないか。教員確保は、本道教育の根幹にかかわること。働き方改革、職場環境の一層の改善を指摘する。
Q木葉委員 教員志願者が減っている中で、せっかく正規の採用となったにもかかわらず、校内でのパワーハラスメントによって休職を余儀なくされている若手の教員がいると伺った。
道教委は、学校におけるパワハラ事案に対し、どのように対応しているのか伺う。
A山下法制・公務管理担当課長 パワーハラスメントへの対応について。教職員からパワーハラスメントを受けたと相談があった場合は、パワーハラスメントの防止等に関する指針に基づき、相談者の心情等に十分配慮しながら、相談者および行為者とされる人、さらには、他の教職員などの第三者から話を聞き、事実認定を行うこととしている。これまで、学校職員に関し、過去10年においては2件のパワーハラスメントを認定している。
道教委としては、職務に関する優越的な関係を背景として行われる業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的、身体的な苦痛を与え、職員の人格、尊厳を害し、職員の勤務環境を害するパワーハラスメントは、あってはならないと考えている。今後も、各種会議や学校経営指導、様々な研修において、管理職を対象に指導や注意喚起を行い、パワーハラスメントのない職場環境づくりを進めていく。
Q木葉委員 人口10万人以上の自治体で、職業学科をもつ知的障がい特別支援学校高等部のない自治体は、全道でいくつあるのか、また、そうした地域に対する特別支援学校高等部設置に対する所見を伺う。
A金田特別支援教育課長 特別支援学校高等部の設置について。道内で人口10万人以上を有する9つの自治体のうち、4つの自治体には、職業学科をもつ知的障がい特別支援学校高等部が設置されていない状況である。
道教委では、特別支援学校の設置に当たっては、障がいのある児童生徒の在籍状況や今後の推移のほか、圏域内における特別支援学校の配置状況、空き校舎をはじめとする既存施設の状況などを勘案するとともに、地域における実習先や就労先の確保など、学校への支援の在り方も含めて検討することとしている。
Q木葉委員 来年4月、札幌市に道内初となる公立夜間中学が開校する。札幌市のみならず、近郊の自治体からも入学を希望する方がいるかと思うが、各自治体との調整役である道教委として、現状と今後の取組について伺う。
A鈴木学校教育監 公立夜間中学の星友館中学校について。道教委では、これまで、近隣市町村に在住する方々の潜在的ニーズを把握するため、札幌市と共同でアンケート調査を行うとともに、近隣市町村を含めて生徒の受け入れが円滑に進むよう、札幌市とともに説明会を実施するなど、連携した取組を進めてきた。
今後、受け入れに向けて、近隣市町村と様々な意見交換を行いながら、札幌市が実施する予定の夜間中学説明会や学校見学会の開催などについて、道内市町村への周知に協力することとしており、引き続き、札幌市や近隣市町村のニーズを踏まえて、円滑な開校に向けて一層連携を図っていく。
Q木葉委員 道は、基礎疾患を有する児童生徒が多く在籍する特別支援学校を所管している。
希望する学校職員への新型コロナウイルスワクチンの優先接種は、子どもたちの学びを継続、保障する上で有効と考えるが、教育長の所見と各自治体への要請を考えているのか伺う。
A倉本教育長 ワクチン接種について。ワクチン接種は、重症化リスクの高い高齢者や感染リスクの高い方々に一日も早く受けていただくことが大変重要である。一般住民の中で、どなたを優先的に接種するかについては、地域の実情を踏まえて市町村が判断するものと考えている。
その一方で、道教委としては、子どもたちの学びを保障するためには、学校を安全・安心な場にすることが大切と考えている。市町村の状況に応じたすべての人へのワクチン接種の円滑な実施を前提として、子どもたちに直接指導を行う学校教職員に対するワクチン接種が早期に実施されるよう、市町村教委との連携に努めていく。
(道・道教委 2021-10-01付)
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