道小 3年度広域人事調査 「授業力向上」8割 定期的な支援体制充実必要(道・道教委 2021-10-05付)
道小学校長会(吉田信興会長)は、令和3年度広域人事に関する調査の集計と考察をまとめた。制度に参加してよかった点(複数回答)として、3年目終了者の80%が「学力向上への関与」「自身の授業力の向上」などと回答。3年間勤務した学校の校長の83%が学校への貢献を感じている。課題・改善点として、3年間を通した定期的なサポート体制の充実、生活面での不安解消に向けた赴任先の情報提供、異動者に対する精神的・経済的な負担軽減を挙げている。
道公立小中学校教職員広域人事は平成23年度から開始。教職員の適正配置を促進し、学力向上や生徒指導など、地域における教育課題の改善に資することで、全道的な教育水準を高めることを目的としている。
平均年齢の高い管内の中堅層の教諭が平均年齢の低い管内の学校に異動し、原則3年間勤務。異動先で教育実践の中核を担ったあと異動前の管内に戻り、その経験を生かしていく。また、若年層の教諭は、平均年齢の高い管内の学校で力量を高めたのち、異動前の管内でその知見を還元する。
調査の対象は、①異動3年目終了者本人、異動先校長と異動元校長②1年目対象者本人、異動先校長と異動元校長③広域人事終了後2年経過した本人とその学校の校長。対象者76人のうち、69人から回答を得た。調査時点は6月1日現在。
集計、考察の概要はつぎのとおり。
▼3年目終了者
制度に参加してよかった点(複数回答)として、80%が「学力向上への関与」「豊かな人間性育成への関与」「授業力向上への関与」「(自分自身の)授業力の向上」「職場の仲間とのかかわり」と回答。
一方、保護者・地域とのかかわりや経済的負担に困りを感じる回答が多く、道小は、教育局・市町村教委などの実務担当者の訪問面談などサポート体制の充実が精神的な支えとなっていると分析している。
3年間勤務した学校の校長の83%が「大いに貢献した」「貢献した」「貢献した部分がある」と回答。内容(複数回答)は「学力向上」(50%)、「授業力向上」(33%)、「職場の仲間とのかかわり」(33%)など。道小は、他管内との人事交流が教育活動に対する見識を深め、授業や校務改善の活性化に影響を与えたと分析している。
▼1年目対象者
回答者全員が自ら異動を希望。75%が学校規模、着任先、校務の内容などが「希望どおり」だったと回答。準備段階で困った内容は「異動までの期間」「引越しに伴う費用や住居探し」が多い。
▼終了後2年経過者
全員が「よい変化があった」と回答。変化したこと(複数回答)として、「授業力向上への関与」「(自分自身の)授業力向上」が82%、「教育課程改善への関与」が73%と高かった。
▼成果
多くの教員が教育者としての意識の変化や成長を実感し、元の管内で力を発揮していると指摘。授業力向上や教育課程改善への関与など、場によい刺激を与え、学校活性化にも大きく寄与していると分析している。
▼課題・改善点
教育局・教育委員会による3年間を通した定期的なサポート体制の充実が求められるとし、赴任先の地域の様子や住宅のあっせんなど多くの情報があれば対象者の生活面での不安が解消されると指摘した。
制度運用に当たっては、希望者を確保するため対象地域の見直しと優遇措置の明確化、異動者に対する精神的・経済的な負担軽減、広域人事経験者による一般教諭向けの研修会の開催などの必要性を示した。
(道・道教委 2021-10-05付)
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