札幌市宮の森小 実践研究発表会 仲間と考え深める授業 6年社会 伊能忠敬題材に
(札幌市 2021-10-27付)

宮の森小・実践研究発表会
町村教諭は発問を工夫し、児童の理解を促した

 札幌市立宮の森小学校(附田裕哉校長)は19日から2日間、同校で令和3年度実践研究発表会を開いた。研究主題「子どもが仲間と“知”を創る学習」のもと、国語科や社会科、体育科など24授業を公開。うち、町村康武教諭による6年1組の社会科「町人の文化と新しい学問」では、日本地図をつくった伊能忠敬の行動の意図を考察。江戸時代の蘭学者たちの真理を追究する姿勢が現代にもつながる学問の発展に貢献していることに気づかせる授業を展開した。

 同校は研究主題に「子どもが仲間と“知”を創る学習」を掲げ、自ら問題意識をもち、友だちの考えにふれることで自らの考えを深めたり、変容させたりすることを目指して研究を進めてきた。

 研究の視点には、①子どもの主体性を育む問題意識の醸成②ともに学ぶことを通して目標にせまる教師のかかわり―の2点を設定。 

 ①では、子どもの主体性を生むために、単元のはじめに「どのようなねらいをもって学習していくのか」「どのようなことをできるようにしたいのか」など、単元の学習課題を設けた。

 ②では、子どもが自らの考えによって自信をもてるようにしたり、ほかの意見を取り入れ、自己の考えを見直したりする場を意図的に構成した。

 19、20日は、国語科や社会科、体育科など24授業を公開。うち、6年1組の社会科「町人の文化と新しい学問」は、町村教諭が指導した。

 児童たちは前時までに、伊能忠敬が作成した日本地図「大日本沿海輿地全図」のつくり方と同様に伊能の69㌢㍍の歩幅で歩き続け測量する活動を行い、その大変さを実感してきた。

 5時間扱いの4時間目に当たる本時では、伊能が17年間で3万5000㌔㍍を歩いて地図づくりに取り組んだことに着目。日本地図をつくる意図を考える活動を通して、伊能の探究心が社会全体に寄与したことに気づくとともに、江戸時代の蘭学者たちの真理を追究する姿勢が現代にもつながる学問の発展に貢献したことを考えることをねらった。

 町村教諭は、伊能がどのようにして地図をつくったのか確認した上で、「そこまでして地図をつくる必要があったのか」と発問。児童たちにこれまでの活動を想起させながら、伊能の行動の大変さをあらためて実感させた。

 その上で、「どうして伊能忠敬はそこまでして日本地図を完成させたのか」と問いかけた。児童たちは「最初は正確な地図をつくりたい、地球の大きさを知りたいなどと自分のためにつくっていたが、いつしか地図をつくることが日本全体のためになると気づきつくった」と答えた。

 続いて、町村教諭は大日本沿海輿地全図と同時期に発行されたフランスの一般地図帳と比較し、伊能による地図の精度の高さを伝えた。

 このあと、解体新書を著した杉田玄白と伊能の共通点を見つける活動を展開。江戸時代の蘭学者たちの学問に向かう姿勢が今の学問の発展につながっていることに気づかせた。

 公開授業後には、全体会、分科会を行い、今後のより良い授業づくりに向け意見を交わした。

(札幌市 2021-10-27付)

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