文科省　いじめ防止対策協議会　重大事態　対応体制調査へ　１２月　都道府県・政令市対象に

（国 2021-11-24付）

　文部科学省の設置するいじめ防止対策協議会は２２日の第１回会議（ウェブ開催）で、全国の都道府県・政令指定都市教委を対象に、いじめの重大事態調査の体制・運用状況を調査する方針を決めた。マニュアルの策定状況や市町村教委への支援の在り方などを想定。ことし１２月から調査を開始し、早ければ来年２月に結果をまとめる予定。

　いじめの重大事態について、いじめ防止対策推進法では「いじめによって児童等の生命、心身、または財産に重大な被害があると認められる場合。また、いじめによって相当期間欠席している場合」と定義している。

　文科省によると、令和２年度におけるいじめ重大事態の発生件数は前年度比２０９件減の５１４件。内訳は、小学校が１９６件、中学校が２３０件、高校が８４件、特別支援学校が４件となっている。

　発生件数が大きく減少した一方で、昨今、いじめ重大事態への対応に関して「事案が発生したにもかかわらず、学校がいじめとして認知できなかった」「重大事態の疑いのある事案が生じていたが、迅速な調査組織の設置や調査の開始に至らなかった」などの課題が指摘されている。

　このため、文科省は、いじめの重大事態に対応する学校・学校設置者の体制・運用面の課題について検討を開始。初会議では、いじめの重大事態調査における初期対応と委員の人選・人材の確保、被害児童生徒・保護者等への対応を重点事項とし、調査の円滑かつ適切な運用の改善・充実を図るため、アンケート調査の実施を決定した。

　調査内容は、マニュアルやフロー図の作成、第３者委員会など体制面の準備、児童生徒や職員に対する調査・ケアに関するマニュアルの策定状況、市町村教委への支援の在り方などを予定している。

　会議で委員からは、インターネットによるいじめを把握する困難さ、コロナ禍による人間関係の希薄化やストレスなどの課題を指摘。被害児童生徒・保護者との信頼関係の構築など、重大事態に至る前の対応・体制が重要とした。

　また、いじめ対策担当教員を配置する自治体の例を挙げ、組織的に対応するための人員確保の必要性を指摘。教育委員会における私立学校の把握状況も検討する方針を確認した。

(国 2021-11-24付)