檜山管内特別支援教育FSPセミナー 子の考え引き出すには 江差中2教諭が授業公開
(道・道教委 2021-12-15付)

 【函館発】道教委は13日、檜山管内特別支援教育ファーストステッププログラム(FSP)オンライン授業改善セミナーを開催した。檜山教育局主管。江差町立江差中学校(福井順一校長)の鈴木皓子教諭(特別支援教育リーダー教員)と平泉優香教諭による2つの授業をもとに、研究協議を行い、特別な支援を要する生徒の考えを引き出すための工夫について理解を深めた。

 セミナーは檜山管内の特別支援教育推進に向け、中核の役割を果たす特別支援教育リーダー教員の授業公開や研究協議によって、特別支援教育にかかる経験の浅い教員の専門性の向上に資することがねらい。檜山・渡島管内の市町村教委職員のほか、教職員、道教育大学の学生など約20人が参加した。

 授業公開では、事前に収録した江差中の鈴木教諭と平泉教諭の2授業を公開。

 鈴木教諭による3年生4人を対象とした自立活動の授業では、眼鏡であることがコンプレックスに思う主人公を題材としたプリントで学習。自身の悩みについて交流する活動を通して、生徒の共感性を育む授業を展開した。

 情緒学級を担当する平泉教諭は3年生の生徒1人を対象に国語科の作文の授業を実施。授業に対する気持ちの切り替えが難しい生徒に向けて、分刻みの学習スケジュールをパワーポイントで見通しを詳細に提示するなど、生徒が集中して授業を受けられる環境整備に努めた。

 今後は、自己評価の方法について、生徒が作文の表現力が身についたことを確認できる手立てを考えていくとした。

 研究協議では、道教委特別支援教育課の吉田卓郎主査が生徒の実態把握で大切にしていることについて質問。鈴木教諭は「困り感を伝える生徒が多く、1対1の時間を設けて、コミュニケーションを育む活動を心がけている」と回答。会話の中で選択肢を示しながら、生徒の考えを引き出せるよう努めているとした。

 吉田主査は「丁寧な実態把握があるからこそ、一人ひとり異なった声かけや見取りができている」と評価した。

 参加者から今後の活動内容などについて質疑。鈴木教諭は「生徒に自身の悩みについて無記名で書き出させ、交流し合う活動を計画している」とし、「考える時間を確保する学習内容を通して、励ましの言葉や共感の気持ち、アドバイスを考えることができるのではないか」と述べた。

 道教育大学函館校の細谷一博教授は2授業について助言。鈴木教諭の自立活動に関する授業をもとに、学年や発達段階が異なる生徒を受けもつ際に生活年齢と精神年齢を整理する必要があると分析。その上で、教員が生徒と同じ役割を果たし、見本で示す環境設定が重要とした。

 平泉教諭の授業については、「生徒の仕草や表情に着目し、できるようになった部分を分析するとよい」などと助言した。

(道・道教委 2021-12-15付)

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