札幌市教委など　防災教育セミナー　子自身の判断力育成を　文科省の森本調査官が講話

（札幌市 2022-01-12付）

森本調査官

　札幌市教委と札幌市危機管理対策室は７日、札幌コンベンションセンターで３年度防災教育セミナーを開催した。市内の教職員など、約６０人が参加。文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室の森本晋也安全教育調査官が「自ら考え主体的に行動する力を育成する防災教育」をテーマに講話。防災教育における国の方向性や東日本大震災で被害を受けた中学校の当時の状況などを紹介した。

　開会に当たり、市教委の長谷川正人児童生徒担当部長があいさつ。「日本は地震や津波など、大規模な自然災害が発生する可能性が高い。各校等での防災教育の推進につなげてほしい」と呼びかけた。

　講話では、森本調査官が「自ら考え主体的に行動する力を育成する防災教育」をテーマに、国の防災教育の動向や東日本大震災を経験した中学校での防災教育などについて解説した。

　文科省が今後目指していく防災教育として、「ルーティンな訓練ではなく、失敗する訓練。“まさか”を発見する訓練を行い、想定外に柔軟な対応ができるような訓練」「災害を自分事化する学習」「災害時に正しい情報を取捨選択するための教育」など８項目を挙げ、災害時に生きる能力の育成を強く求めた。

　その上で、従来の避難訓練では、災害発生時に校庭に集合し、集団で待機する事例が多いことを指摘。「重要なのは周囲の安全を確認して安全な場所を確保すること。火災等が発生していないなら、屋外に避難することが最優先ではない」とし、各校での避難訓練の見直しの必要性も挙げた。

　また、市の地震防災マップを引用し、震度７や６強が多くの地域で発生する可能性があることを指摘。「災害の発生は、子どもが学校にいるときだけではない。社会や理科、総合的な学習の時間など、教科等横断的に防災について学ぶ機会を設け、子ども自身が判断できる能力を身に付ける教育課程を編成してほしい」と求めた。

　このほか、岩手県釜石市立釜石東中学校における東日本大震災当時の生徒の行動や、学校での防災教育の内容などを紹介した。

(札幌市 2022-01-12付)