道研 3年度研究所運営懇談会 遠隔研修への期待多数 双方向や学び合う形式に(道・道教委 2022-02-16付)
オンラインで意見聴取。多くのアイデアが寄せられた
道立教育研究所は9日、オンラインで研究所運営懇談会を開いた。学識経験者等から「これからの道研に期待すること」をテーマに意見を聴取。本道の広域性や小規模校の多さから遠隔研修を求める声が多数出されたほか、「一方的な講義形式ではなく、双方向の研修を」「グループなどで学び合える研修に」など、知識伝達ではなく、受講者自らが能動的に学び取る研修を期待する声が多く上がった。
懇談会は、道研の事業の運営に関し、学識経験者等から意見聴取を行い、参考とするもの。前年度、研修事業等で導入したウェブ会議システムを使用。構成員の教育長、小中高校長、特別支援学校長、保護者、学識経験者計7人とつないで実施した。
冒頭、鈴木淳所長があいさつ。「当研究所も築後52年を経過し、移転整備等の動きもあることから、あらためて令和の時代における役割や機能などについて再整理・再確認していく必要がある」と述べ、「道研が担うべき役割、求められている役割について率直な意見をいただきたい」と求めた。
構成員には、事前に道研の概要や本年度の主な取組、今後の研修事業の方向性を説明した動画を配信。動画では、施設が老朽化し、管理研修棟が長寿命化不可と診断され、移転新築に向け今後の在り方を定める時期に来ていることを説明。
また、遠隔型研修、オンデマンド型研修、自己研修、集合型研修を組み合わせ、移動負担や新型コロナウイルス感染リスクを軽減させつつ研修効果を向上させる試みや、講師からの知識伝達ではなく、参加者同士が対話しながら学びを深める研修など、時代の変化に合わせ、工夫改善を図ってきた本年度の研修等について説明。
また、今後の研修の方向性として、本物に触れ、感動を味わい、授業改善に直結する集合研修や、興味・関心に応じ、いつでも短期間で学ぶことができるオンデマンド研修、多様な知識や経験を有する第一人者から新たな知見や教育の本質を学んだり、自身の学習指導案や実践などの現場経験について他者との対話を通じて本質までさかのぼるような気づきを提供したりするオンライン(遠隔)研修などを示した。
このあと、「これからの道研に期待すること」をテーマに意見交換。委員からは、
「管内では小規模校がほとんどで離島も抱えているため、リモート会議やオンデマンド研修などをぜひ増やしてほしい」
「ICT機器をどのように活用し、個に応じた指導につなげていけるのか、深く掘り下げた研修を」
「コロナの影響で対話的な学習が難しい中、ICTでどのようなことができるのか提示してほしい」
「新採用の若手は、通知表の所見欄を書けない、基本的生活習慣を指導できない、朝・帰りの会の立ち位置が分からないなどで悩んでいる。講演ではなく、悩みを拾い上げながら講師が回答するような研修を」
「保護者への対応を学ぶ場がほしい。関わりの難しい子への言葉がけや支援を学ぶ場もあれば」
「ライトでタイムフリーで、ちょっとした時間に気軽にできる短い研修を散りばめておくと、本格的な研修を受けてみようと思うきっかけになると思う」
「メールなどで、今こんな研修をやっているので、参加してみてはどうか。といったプッシュも必要」
「研修はインプットで終わっては意味がなく、アウトプットが大切。管理職と教職員が一緒に研修を受ければ、新しく学んだことをどんどん実践し、失敗を恐れずチャレンジできる」
「小規模校では、教科の先生が一人ずつしかいない。誰かに聞きたくても聞けない。研修で何日も学校を空けるわけにもいかない。そこを道研と上手く連携していければ。また、同じ教科の先生とつながる場をつくっていただければ」
「北海道は非常に距離があり、一ヵ所に集まる対面では移動時間がかかり過ぎる。オンラインでの研修は大切。ただ、一方的な講義形式ではなく、双方向の研修を進めてほしい」
「知識はウェブ上で検索し学べる時代。学び合う研修がほしい。オンラインでも、小グループをつくって議論させるなど、仲間意識を養えると良い。地域ごとにグループ化するのも手だと思う」
「時間が長い研修だと、若い人が食いつかない。なるべく短い時間の研修を散りばめておくと、研修を受けるきっかけになる」
など、活発な意見が出さた。
最後に、鈴木所長があいさつ。「かつての道研は、集合型研修でリーダーを育成し、その学びを全道に広げていこうという目的があった。しかし、現在はウィズコロナの形式を模索しており、アドバイスに感謝する」「道研は教育研修の羅針盤的役割。皆さんの意見を踏まえながら、道のファシリテーターとして、また受けたい、もっと受けたいと思われる研修を行っていきたい」などと述べた。
(道・道教委 2022-02-16付)
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