道教委 次期教育推進計画骨子案 ICT活用など22施策 教員養成等改革、地学協働も
(道・道教委 2022-02-18付)

 道教委は、次期教育推進計画の骨子案をまとめた。計画期間は5年度から9年度までの5ヵ年。現計画の基本理念「自立」と「共生」を引き継いだ上で「生きる力を引き出す教育」「質を高める環境」「地域と歩む教育」の3つを施策の柱に設定。SDGs・ESDの推進、キャリア教育、道徳教育、ICTの活用推進、教員養成等の一体的な改革、地学協働など22の施策項目を設けた。次期計画は8月にも素案を決定し、来年3月の計画決定を目指す。

 道教育推進計画は、本道が目指す教育の基本的な理念や目標を設定し、今日的な課題の解決や地域創生の実現に向けた教育の全体像を示すもの。現行計画が4年度で完了することから、5~9年度を計画期間とする新たな計画を策定する。

 次期計画の骨子案をみると、現計画の基本理念「自立」と「共生」を継承。その上で、人口減少社会やSociety5・0の到来、グローバル化の進展など、社会情勢の変化に伴う様々な教育課題に対応するため、施策の柱を①生きる力を引き出す教育②質を高める環境③地域と歩む教育―の3点に再編・整理し、10年後を見据えた22の施策を設定している。

 生きる力を引き出す教育では、「SDGs・ESDの推進」や「幼児教育の充実」、小・中学校、高校別に「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」、教科等横断的な教育「STEAM教育」など12項目を設定。ICT環境を適切に活用した個別最適な学びと協働的な学びの充実や授業改善、理数教育の充実、家庭や地域と連携した指導の充実などを盛り込んだ。

 質を高める環境は、「ICTの活用推進」「いじめ防止」「教員養成等の一体的な改革」「働き方改革の推進」など6項目。教員の効果的なICT活用に向けた指導助言および研修の充実、いじめの早期発見・早期対応に向けた生徒指導体制および教育相談体制の充実、不登校児童生徒への支援体制強化やICTを活用した支援推進などを挙げた。

 また、質の高い教員の養成・採用・研修の一体的な改革とともに、部活動指導の負担軽減や勤務時間を意識した働き方の推進などを示している。

 地域と歩む教育には、「地域と学校の連携・協働の推進」「安全・安心な教育環境」など4項目を設定。主体的に地域に関わる児童生徒の育成や、学校と地域をつなぐ人材の配置・育成の推進、コミュニティ・スクールなどの一体的推進の支援、安全教育の推進や学校安全計画等のPDCAサイクルに基づく見直し・改善などを盛り込んだ。

 今後、8月下旬の素案決定、9月のパブリックコメント、来年1月の道教育推進会議の答申を経て、3月下旬の計画決定を目指す。

 文部科学省は4年度から、飛び入学した大学生に高校卒業資格を付与する高校卒業程度認定審査(仮称)の創設を検討している。飛び入学制度の活用を図るため、大学における一定の単位の修得をもとに、高校課程の修了者と同等以上の学力を有することを認定するもの。高校卒業と同等の法的地位や社会的評価を得る仕組みを構築する。

 現行制度では、飛び入学者は高校等を中途退学して大学へ入学することとなっている。しかし、入学後に退学し進路変更する場合は高校卒業の扱いとならないため、就職や資格試験等の受験で困難が生じ、活用が促進されない一因ともなっている。

 このため、政府が設置した教育再生実行会議が昨年6月にまとめた第12次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」では、大学における一定の単位の修得状況を踏まえ、高校の3年間の課程を修了した人と同等以上の学力を有することを認定し、高校卒業資格を付与する制度の創設を提案した。

 大学入学後に入学者本人が文部科学大臣に申請。高校、大学関係者を委員とする審査委員会において認定可否を審査し、合格者に高校卒業程度認定審査の合格証書を授与する。合格者を大学に入学できる人に加え、高校卒業と同等の法的地位を与える。

 認定の基準は、①高校で50単位以上の修得②大学で16単位以上の修得③修得した単位の分野が著しく偏っていないこと―とし、実施要綱で詳細を示す予定。高校以外の学校種の場合、高校における50単位以上の修得に相当する学修の成果を有することとする。

 現在規則案のパブリックコメントを実施しており、施行・公布時期は4月を予定。

 意見の募集期間は3月16日まで。

(道・道教委 2022-02-18付)

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