専門高校フューチャープロジェクト 高大接続事業など加速 札幌工業高 4年度実施計画書
(学校 2022-06-06付)

 札幌工業高校(太田潤一校長)は、道教委の実践的職業教育推進事業「専門高校フューチャープロジェクト」の4年度実施計画書をまとめた。3ヵ年計画の最終年度を迎え、室蘭工業大学との高大接続事業を加速化するとともに岩見沢農業高校との連携を本格的に推進。地熱利用やビニールハウスのスマート化など、農業分野における課題解決に向けた実践研究を進める。

 概要はつぎのとおり。

【研究主題】

 専門高校における産業教育の充実と人材育成~イノベーションを起こす「多角的ものづくりスキル」を身に付けた人づくり

【研究の内容等】

▼地域の現状と課題等

▽現状

 北海道においては、その豊かな自然環境を生かした様々な産業が盛んであるが、近年、少子高齢化や若者の都市部流出によって全国を上回るスピードで人口減少が進んでいる。また、一部都市を除いた地方産業では、AIやIoTといった技術革新への対応も進んでいない。

▽課題、高校に対するニーズ等

 本道の産業界においては、技術の継承や後継者の育成とともに、これまで重視してきた専門的な知識・技術を身に付けることに加えて、多様な課題に対応できる課題解決能力と新しい事業を創造できる人材の育成が求められている。

 本校は工業教育の基幹となる学科を全て有し、さらに道央圏における大規模な工業科単置の工業高校として、実践的な知識・技術の習得と農業高校と協働で関係機関と連携して研究を進める中で地域産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力の育成を目指すとともに、高校生によって地域社会の活性化の一助とする。

▼研究目的

 本校の特色を生かし、本道産業が抱えている課題の解決に向けた取組を通して、将来、地域社会を支える高い創造性と知識・技術を持った工業技術者の育成に、学校と地域社会が協働して取り組む。

▼研究目標

 生徒が北海道の産業や社会に対する理解を深め、地域社会と密接に関わりを持つ中で工業高校の特色を生かしながら、北海道の基幹産業に貢献できる実践的な知識・技術を身に付ける。また、大学や地域関係者等との連携によって工業に関する先端技術や高度な知識・技能に触れる機会を通して、将来の本道産業をけん引する高度な専門性(技術士等)や多角的なものづくりスキルを身に付けた高い創造性を持ったイノベーション人材の育成を目指す。

▽ICT技術を活用した効率的な作物の維持管理についての実証

▽リモート技術を活用した遠隔臨場の実証

▽センシング技術やAI等によって作業の省力化の実証

▽高大接続事業によって高度専門キャリアパスの構築

▼研究内容

 セルフブランディングプログラムでは、企業における実際の取組から、社会の変革に対応し就業先を広く捉え、新たなイノベーションにチャレンジしていく資質・能力を育成する。

 先端技術講義では、関係機関等と連携し生徒が大学から専門性の高い講義を受けるほか、企業の技術者から先端技術に関する技術指導を受けるなど、産業社会で活躍できる実践力を育成する。

 アントレプレナーシップ教育における教員の指導スキルを高めるため、専門家を講師に招き、教員向けの指導力向上セミナーを開催することで、指導スキルの向上を図る。

 岩見沢農業高校とのコラボレーションチャレンジにおいては、グーグル・ワークスペース等を活用した生徒・指導教員同士のリアルタイムな情報共有と意見交換によって実証研究から探究を進め、創造的なものづくりに発展させるとともに、岩見沢農業高が推進しているGAP(Good Agricultural Practices)にならい、グローバルな視点から先進的な研究を行っている企業や大学等の関係機関の指導を受け、研究成果を科学的・論理的に検証する具体的な手法について修得させる。

 高大接続事業では、これまで実施してきたセルフブランディングプログラムや先端技術講義に加えて、大学とのコラボレーションチャレンジや高校から大学への学びの移行を支援するためのコーディネート事業を大学と連携して進める。

 本校に導入された施設、設備を活用し、地元の小学生を対象とした環境教育や本校生徒によって技術ボランティア活動等の取組を推進するとともに、設備を地域の産業関係者に開放するなど地域の学びの場としての役割を担い、地域産業と学校双方にメリットが享受される仕組みを構築する。

▼教育課程上の位置づけ

 本校全ての設置学科において、取組内容と関連性の深い専門教科、実習・課題研究にて実施する。

▼実践研究の規模

 設置学科全てが参加し、全校規模で実施する。

▼研究成果の普及方法

▽施設・設備を活用した産業関係者対象の技術交流イベント

▽学校ホームページを活用した広報活動や生徒成果発表会等での研究発表

▽研究内容の知的財産化

▼3年間の研究計画

▽2年度

・関係機関との連携強化

・先端技術に関する講義

・地域産業の理解と現場実習

・農業高校と協働によって農業課題の解決に向けた調査・研究

・地元小学生への環境教育や本校生徒の技術ボランティア

・アントレプレナーシップ指導力向上セミナー

▽3年度

・先端技術に関する講義

・地域産業の理解と現場実習および、関係資格の取得

・農業高校と協働によって農業課題の解決に向けた調査・研究

・地元小学生への環境教育や本校生徒の技術ボランティア

・アントレプレナーシップ指導力向上セミナー

・産業関係者対象の技術交流イベント

▽4年度

・研究成果を活用した産業関係者対象の技術交流イベント、学校ホームページを活用した広報活動や成果発表会など研究成果の普及

・本事業で連携した関係機関と調整を図り、持続的なプラットフォームを構築し、事業の継続に向けた体制を構築

・各専門学科の研究会等にて、研究の成果や本校が構築した持続的なプラットフォームについての普及

(学校 2022-06-06付)

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