運動部活動の地域移行検討会議 室伏長官に提言提出 新たな環境を構築へ
(国 2022-06-07付)

 スポーツ庁の運動部活動の地域移行に関する検討会議の友添秀則座長は6日、提言「少子化の中、将来にわたり我が国の子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会の確保に向けて」を室伏広治スポーツ庁長官に提出した。5月末の第8回会議で示した提言案どおり概ね決定し、運動部活動改革の方向性や課題への対応を明記。スポーツ庁は本年度早期に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を改訂し、各都道府県では具体的な取組やスケジュール等を定める推進計画を策定する。

 第1章で現状と改革の方向性、第2章で地域における新たなスポーツ環境の在り方とその構築方法、第3~9章で具体的課題と対応の方策を示した。

 改革の方向性では、中学校等のスポーツ機会を着実に確保するためまずは休日の運動部活動から段階的に地域へと移行することを基本としつつ、平日の地域移行も視野に入れて休日の地域移行とともに可能な部分から取り組んでいく。

 改革の目標時期は5~7年度末をめどに設定。今後のスケジュールも例示し、4年度は小・中学校における児童生徒や保護者を対象としたアンケート調査の実施、関係者による協議会の設置・検討などを挙げている。

 5年度からは、すでに活動しているスポーツ団体・組織を活用できる地域から、まずは休日の運動部活動から段階的に地域へと移行。各市町村で必要な経費や人員の措置を図っていくほか、希望する教師が円滑に兼職兼業の許可を得て指導できるよう運営を開始するなどの具体的な方向性を示している。

 新たなスポーツ環境の実施主体は、地域の実情に応じた様々な組織・団体を想定し、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、クラブチーム、プロスポーツチーム、民間事業者、フィットネスクラブ、大学、地域学校協働本部、複数の学校の運動部が統合して設立する団体などを挙げている。

 スポーツ団体の整備・充実に向けた対応として、スポーツ振興くじ助成を含めた多様な財源の確保による国の支援や市町村・地域における支援体制の整備、参考事例の周知などを図っていく。

 指導者の確保に向けては、指導者資格の取得や研修の促進、地域における人材バンクの整備、兼職兼業の許可を得る具体例の周知、を挙げている。

 スポーツ施設の確保方策では、学校体育施設の利用を促進するために自治体やスポーツ団体等による協議会を設立するほか、学校の負担軽減のため指定管理者制度を活用するなどの方策を示した。

 提言を受け取った室伏長官は、子どもたちのためのより良いスポーツ環境の整備と、教員志望者が増えるようワークライフバランスの改善に取り組んでいく考えを示した。

(国 2022-06-07付)

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