5~7年度末を目標に スポーツ庁 運動部活動移行で提言
(国 2022-06-10付)

 スポーツ庁の運動部活動の地域移行に関する検討会議は6日、提言「少子化の中、将来にわたり我が国の子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会の確保に向けて」を室伏広治長官に提出した(7日付1面既報)。休日の運動部活動の地域移行の目標時期を5~7年度末をめどとした上で、改革の方向性や4~6年度における各地域の取組例のほか、7つの具体的課題に対する考えを整理して示している。

 提言の概要はつぎのとおり。

◆改革の方向性

 まずは、休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことを基本とする(目標時期、5~7年度末を目途)。

 平日の運動部活動の地域移行についても視野に入れ、休日の運動部活動の地域移行とともにできるところから取り組むことが考えられ、地域の実情に応じた休日に関する地域移行の取組の進ちょく状況等を検証し更なる改革を推進すべき。

 移行の在り方や方法については地域の状況に応じ様々な形となることが考えられ、柔軟な体制づくりを進めることが必要。あわせて地域移行の受け皿となる地域におけるスポーツ機会の確保、生徒の多様なニーズに合った活動機会の充実、地域スポーツの振興についても着実に取り組むことが重要である。

 特にスポーツに関する団体の役員をはじめとする関係者においては、各々がこれまで取り組んできた事業の分野にとどまらず、児童生徒の心身の健全育成やスポーツ振興に広く目を向け、地域におけるスポーツ機会の確保や生徒の多様なニーズに合った活動機会の充実等に積極的に取り組むことが期待される。

◆新たなスポーツ環境の在り方

▼参加者

 運動部活動に所属している生徒だけを想定するのでなく、文化部活動に所属している生徒や運動が苦手な生徒、障がいのある生徒など希望する全ての生徒を想定する必要がある。

▼実施主体

 特定の団体等に限定してその整備充実を図るのではなく、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、クラブチーム、プロスポーツチーム、民間事業者、フィットネスジム、大学など多様な実施主体を想定しながら対応する必要がある。上記のスポーツ団体等に加え、地域学校協働本部や保護者会、同窓会、複数の学校の運動部が統合して設立する団体など、学校と関係する組織・団体も想定する必要がある。

▼活動内容

 現行の運動部活動のように競技志向で特定の運動種目に継続的かつ長期間にわたり専念する活動だけではなく、青少年期を通じて幅広いスポーツ活動に親しむため、休日や長期休暇中などに開催されるスポーツの体験教室や体験型キャンプのような活動、レクリエーション的な活動、シーズン制のような複数の運動種目を経験できる活動、障がいの有無にかかわらず誰もが一緒に参加できる活動など、生徒の志向や体力等の状況に適したスポーツの機会を確保し、体験の格差の解消にもつなげていく必要がある。

▼活動場所

 地域の中学校をはじめとして小学校や高校、特別支援学校、廃校となった施設なども積極的に活用することが考えられる。その際、指定管理者制度に基づき民間等の活力を生かした公共施設の管理運営を取り入れて学校教職員の負担軽減を図るなど、多様な実施主体が中学校等の体育施設等を活用しやすい環境を整備していく必要がある。

▼構築方法

 まずは休日について着実に進めた上で、つぎのステップとして平日に取り組むことを基本とする。地域の実情等に応じて平日と休日を一体として構築するなどもあり得る。市町村において、地域スポーツ担当部署や学校の設置・管理運営を担う担当部署、地域スポーツ団体、学校等の関係者からなる協議会を設置し、活動の実施主体やスケジュールなどを検討し実行する。

▽4年度の取組例

・各中学校等において運動部に入っていない生徒も含めた生徒・保護者のニーズや教師の意向をアンケート等で把握するとともに、体力、運動習慣上の課題等を踏まえて今後のふさわしいスポーツ活動内容について検討する。その際、小学校においても5年度以降中学校に入学する児童・保護者を対象として上記アンケート等を行い、学校設置者である市町村や中学校等と情報共有していくことが重要である

・各市町村や地域において地域スポーツ担当部署、地域スポーツ団体、教育委員会、小・中学校等の関係者による協議会を設置し、地域における新たなスポーツ環境の構築の在り方やスポーツ団体への支援等の整備充実方策、教師等の兼職兼業の仕組み等についての具体的な検討を開始する。その際、前述の学校における情報を共有し、学校の実情や児童生徒・保護者のニーズや教師の意向を踏まえて検討を進める

・各市町村において次年度以降の地域における新たなスポーツ環境の構築に向けて必要な経費や人員等を検討・措置する

・各市町村において地域でのスポーツ指導を望む教師が兼職兼業の許可を得て指導に携われるよう兼職兼業の運用の考え方等の整理を進める

・国から生徒が参加する各種大会の主催者である日本中学校体育連盟や各競技団体、体育・スポーツ協会等に対して生徒の志向等を踏まえた大会の在り方や参加資格、引率規定の見直し等の検討とともに、各団体において4年度中に結論を出すよう要請する

▽5年度の取組例

・既に活動しているスポーツ団体・組織を活用できる地域等から、まずは休日の運動部活動に関し段階的に生徒の受け入れ、あるいは学校施設を活用して新たな活動を始めるなど当該地域の実情に適した地域移行の取組を開始する

・各市町村において次年度以降の地域における新たなスポーツ環境の構築に向けて必要な経費や人員等を引き続き検討・措置する

・休日の地域でのスポーツ指導を希望する教師が円滑に兼職兼業の許可を得て地域で指導できるよう運用を開始する

・各種大会の主催者である日本中体連や各競技団体、体育・スポーツ協会等は、参加資格の緩和等を行った大会を開催する

▽6年度の取組例

・地域におけるスポーツ環境の整備充実を本格的に進め、生徒にふさわしいスポーツ活動を着実に増加させていく

◆課題への対応策

【地域におけるスポーツ団体等の整備充実】

▽国は各地方公共団体における取組の参考となるよう先進的に取り組んでいる地域の事例を資料としてまとめ提供する

▽運動部活動の地域移行に向けて中学生向けの活動を実施する組織・団体等について、必要な予算の確保やJSCのスポーツ振興くじ助成を含めた多様な財源の確保による国の支援もできるよう検討する

▽地元の企業などによるスポーツ用具の寄附や地域スポーツ振興のための基金の設立なども想定され、市町村や地域において当該地域の実情に応じて支援体制を整備する

【地域におけるスポーツ指導者の質の保障・量の確保方策】

▼指導者の質の保証

▽生徒の指導に当たる指導者について指導者資格の取得や研修の実施を促進する

▽日本スポーツ協会(JSPO)は国の支援を受けつつ競技団体等が主催する大会において監督・コーチの公認スポーツ指導者資格の取得を義務付ける指導者が公認資格を取得することの意義を高めることで、より多くの指導者が自ら資格取得を目指すような制度設計に取り組む

▼指導者の量の確保

▽スポーツ庁において各地方公共団体における取組の参考となる事例を資料としてまとめる

▽部活動指導員の活用

▽都道府県単位でのスポーツ団体等との連携による人材バンクの設置

▽企業関係者、大学生、高校生、保護者の競技経験者への指導者資格の取得、研修の受講等を経てのスポーツ指導や高校生との合同練習等の促進

▽ICTを活用した遠隔指導体制の整備

▼指導を希望する教師等の在り方(兼職兼業等)

▽教師等の兼職兼業の対象となりうる例の国から教育委員会等への周知

▽各教育委員会等における兼職兼業の運用に係る考え方等の整理

【地域におけるスポーツ施設の確保方策】

▼想定されるスポーツ施設

▽公共のスポーツ施設や地域のスポーツ団体・民間事業者等が有するスポーツ施設のほか、中学校の体育館やグラウンド、武道場等の体育施設、小学校や高校、特別支援学校、廃校となった施設などの利用の促進

▼円滑な学校体育施設の利用の促進

▽地域スポーツ担当部署や教育委員会の担当部署、各スポーツ団体等が連絡・調整するための協議会の設立、団体向けの利用ルール等の策定、指定管理者制度や業務委託の活用

▼学校体育施設の利用・管理の在り方

▽学校の負担を増大させないため、放課後や休日の時間帯の学校体育施設の管理は指定管理者制度を活用するなどスポーツ団体等に委託する

【大会の在り方】

▼地域のスポーツ団体等に所属する生徒の大会参加機会の確保

▽国から大会主催者に対し、学校単位だけでなく地域のスポーツ団体等の参加も認めることを要請する

▽国は5年度以降の中学校等の生徒を対象とする全国規模の大会について支援の在り方を見直し、地域のスポーツ団体等も参加できる大会に対し引き続き開催経費の補助や後援名義、杯・賞の授与等を支援する

▼全国大会をはじめとする大会の在り方

▽地域において自分なりのペースでスポーツに親しみたい生徒や一つの運動種目だけでなく複数の運動種目のスポーツを経験できる活動に参加している生徒等の成果発表の場としてふさわしい大会の整備を進める

▼全国大会の意義についての検討

▽スポーツ関係団体等において中学校等の生徒向けの全国大会は生徒にとってどのような意義があるのかを改めて議論。意義が認められる場合には生徒にとってふさわしい全国大会の在り方や適切な大会の運営体制などを検討する

▽全国大会の開催回数は生徒の心身の負担や保護者による金銭等の負担が過重にならないようにするとともに、学校生活との適切な両立を前提として、運動種目毎に適正な回数に精選する

▼大会に参加する生徒の安全確保

▽国からJSPOや各競技団体、日本中体連等に対して、中学校等の生徒向けの大会の開催時期について夏季であれば空調設備の整った施設を会場として確保することや、そのような環境を確保できない場合には夏の時期を避けるよう要請する

▼大会参加の引率

▽ガイドラインを改訂し、部活動指導員の配置部については原則として部活動指導員が単独で担うなどできるだけ教師が引率しない体制を整える旨を規定する

▽日本中学校体育連盟主催大会において教師の負担軽減のため集団競技においても外部指導者による引率を可能とすることが望ましい。個人競技においても校長・教師・部活動指導員が引率できない場合に限定するのではなく、適切な外部指導者がいる場合には校長が認めた上で引率を可能とすることが望ましい。そのため国は日本中体連に大会参加資格の緩和と併せて引率規定の見直しを要請する

▼大会運営への従事

▽大会運営は大会主催者である団体等に所属する職員によって担われるべきであり、国から日本中体連や各競技団体等に大会運営の体制について適切なものになるよう見直すことを要請する

▽教師の中には、競技団体の役員等に就任して日ごろから競技団体等の活動に意欲をもって従事している人もおり、そのような人が大会運営に従事することが生徒の成果発表の場となる大会を開催する上で不可欠な場合もある。競技団体の役員等に就任して日ごろから競技団体等の活動に従事している教師が競技団体の役員等の立場で適切な報酬を得て大会運営に従事することを希望する場合は兼職兼業の許可を得る必要がある

▽国はガイドラインを改訂し、このような役員等である者を含め教師が報酬を得て大会運営に従事する場合、教育委員会は本人の意思、学校における業務への影響の有無、教師の健康への配慮から学校での職務負担や大会運営に従事する日数等をしっかりと確認した上で、兼職兼業の許可を判断すべきことを示す

【地域スポーツにおける会費の在り方】

▼適正な額の会費の在り方

▽保護者にとって大きな負担とならないよう、中学校等の生徒を対象とするスポーツ活動を行う団体等に対して学校等の施設について低廉な額での利用を認めたり、送迎面で配慮したりするなど、地方公共団体や国からの支援を行う

▽地方公共団体からの支援の財源については企業版ふるさと納税を活用している事例もあり、企業等からの支援を受けることも考えられる。また、地域のスポーツ団体等が、地元の企業等の協力を得て、企業等が有する運動施設の利用やスポーツ用具の寄附等の支援を受けられる体制を整備することなども考えられる

▼運動部活動に要する費用の徴収方法等

▽保護者の理解が得られるよう適切なものとするため、特にPTA会費から充当する場合には保護者に対し事前に説明し理解を得るとともに、運動部活動に参加していない生徒の保護者には返金などの対応を行う

▼経済的に困窮する家庭の生徒への支援

 例えば、各地方公共団体において家庭に対するスポーツにかかる費用の補助や地元企業からの寄附等による基金の創設などが考えられる。このような各地方公共団体での取組に関し、国による支援方策についても実現に向け検討する

【保険の在り方】

▼保険の加入

▽国は、JSPOや各競技団体を通じて、地域のスポーツ団体等に対して、指導者や障がいのある生徒を含む会員の保険加入を強く促す。その際、自身のけが等を補償する保険だけでなく、個人賠償責任保険にも加入するよう促す

▼保険の補償内容

▽地域でスポーツを行う生徒やその保護者が安心できるよう、災害共済給付制度と同程度の補償が受けられるスポーツ保険を整備するため、国からスポーツ安全協会に対して補償内容の充実を要請する

【学習指導要領を含む関連諸制度等の在り方】

▼中学校学習指導要領の次期改訂における見直し

▽今後、地域におけるスポーツ環境の整備が進められ、地域においてスポーツや文化活動に参加していく生徒が増えていくことが見込まれる状況を踏まえ、そのための体制整備の状況も見据えながら、次期改訂のサイクルに合わせ、中学校学習指導要領の総則における部活動にかかる規定を抜本的に見直すことも検討

▼高校入試

▽入試全体を通じて多面的に評価する前提のもと、調査書に学校部活動等について記載する際には、単に活動歴や大会成績だけではなく活動からうかがうことのできる生徒の長所、個性や意欲、能力に言及するなど記載を工夫する

▽高校入試の実施者である都道府県教育委員会等に対してはこれらのことを踏まえ、学校部活動等の学校内外における活動の高校入試における評価の在り方について、こうした課題も踏まえて検討するよう国から指導助言する。併せて、高校入試において学校部活動等の諸活動をどのように評価するのか、評価の観点や配点等について入学者選抜実施要領や各高等学校のホームページ等において明示し、生徒や保護者の正しい理解を促進することを指導助言する

▼スポーツに関する能力を評価する推薦入試

▽中学校等においてはスポーツの能力が卓越しており大会での成績を重視する生徒や保護者から、学校の運動部活動に対して様々な要望があっても、学校の運動部活動の趣旨・目的に照らして十分応えられないことがあることを理解してもらう必要がある

▽スポーツ推薦入試を経て入学した生徒が、けが等の理由によってスポーツを継続できなくなった場合であっても、高校はその生徒が卒業まで高等学校で学習を続けられるよう学習面や精神面でのケアなどをしっかりと行っていく

▼中学校等の教師の採用選考・人事配置等

▽学校における運動部活動の状況や地域におけるスポーツ環境の整備状況等も踏まえ、面接等に際して教師が部活動の指導をすることを前提として部活動指導の意欲や能力等を評価している場合は今後見直す

▽国から各都道府県および政令市教育委員会に対して、公立中学校等の教師の採用選考に当たり部活動指導にかかる意欲や能力等について評価していることがあれば適切に見直していくよう指導助言する

▽教師の人事配置において部活動指導にかかる能力や意欲、実績等を過度に評価しないようにしていく必要がある。そのため公立中学校等の教師の人事配置に当たり、部活動指導にかかる能力等を過度に評価していることがあればそれをあらためていく

▽教師の人事配置に当たり部活動指導に係る能力等を過度に評価せずにすむよう、部活動指導員の配置を進めるとともに、生徒が地域でスポーツ活動に参加できる環境の整備充実を積極的に進めていく

◆地域移行間の運動部活動見直し

▼誰もが参加しやすい運動部活動

▽つぎのような取組を各教育委員会や学校において実施していく必要がある

・運動が苦手な生徒や障がいのある生徒が参加しやすいよう、スポーツに親しむことを重視し、一人ひとりの違いに応じた課題や挑戦を大切にすることや過度な負担とならないよう活動時間を短くするなどの工夫や配慮をすること

・生徒の多様なニーズに応えるため、複数のスポーツを経験できる活動や体力づくり、あるいは楽しみを目的とするレクリエーション的な活動など、多様な活動を設置すること

・地域にある学校種を超え、特別支援学校などとの合同練習等を実施するなど連携を深めること

▼複数の活動を経験できる活動日数や時間

▽教育委員会や学校においては、学校の運動部活動について保健体育科の教育課程の考えにのっとり、例えばシーズン制の導入など、運動部活動でも複数のスポーツ等を幅広く経験できるようにする必要がある

▽運動部の活動日数や活動時間を見直し、生徒が希望すれば、特定の運動種目だけでなく、文化や科学分野の部活動や地域での活動も含めて様々な活動を同時に経験できるようにする必要がある

▼活動時間の適正化

▽つぎのような取組を国や教育委員会、学校において実施していく必要がある

・国においては、あらためて各都道府県教育委員会等に対してガイドライン順守を強く要請すること

・国においては、ガイドラインの時間を大きく超過している教育委員会には個別に指導助言すること

・教育委員会、学校においては、競技志向の強い一部の生徒や保護者の意見等が重視され、活動時間が長時間化している実態もある中、運動が苦手な生徒や障がいのある生徒などでも参加しやすい活動とするため、競技志向ではない生徒や保護者の意向も十分に尊重して休養日や活動時間を設定すること

▼指導体制の見直し

▽つぎのような取組を教育委員会や学校において実施していく必要がある

・部活動指導員を確保するとともに、教師を伴わず部活動指導員単独による指導を行うことによって、各中学校等において教師ではなく、部活動指導員が顧問となり指導や大会引率を担える体制を構築すること

・部活動指導員が確保できない場合には、教師を顧問とするものの外部指導者を配置し、教師が直接指導や大会引率に従事しない体制を構築すること

・指導を望む教師が指導に従事する場合「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康および福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」に基づき、時間外在校等時間が月45時間、年360時間の上限を超えることがないよう外部指導者も配置することや活動時間の見直しなどの必要な環境を整備すること

▽部活動指導員や外部指導者の配置ができず、指導を望む教師もいない運動部活動については、適切な指導者がいる他の学校との合同部活動の実施などによって生徒にとって適切なスポーツ環境を確保する

▽行政や小・中学校等、地域スポーツ団体等の関係者で今後の対応を協議し、中学校等の実情を踏まえて、まずは休日の地域におけるスポーツ環境の整備充実を速やかに進めるなど対応

▽部活動指導員や外部指導者を確保しやすくするため、地方公共団体において域内におけるスポーツ関係団体等の協力を得ながらスポーツ指導者の発掘・登録に努め、中学校等からの求めに応じてスポーツ指導者を紹介する人材バンクを整備するなどの支援が必要。また、スポーツ関係団体等において、生徒の多様なニーズに応えられる指導者の養成や資質向上の取組を進める

▼地域のスポーツ団体等との連携・協働

▽各市町村や地域において行政、中学校等、スポーツ団体等が現状や課題を共有し、今後の地域におけるスポーツ環境の在り方等について話し合う場を設ける

▽中学校等と地域のスポーツ団体等との連携・協働を進め、生徒のスポーツに親しむ機会を確保するため、つぎのような取組を教育委員会や学校において実施する

・中学校等では、運動部活動だけでなく、地域で実施されているスポーツ活動の概要も生徒や保護者に周知し、生徒が興味・関心に応じて自分にふさわしい活動を選べるようにすること

・地域で実施されている運動種目と同じ運動種目の運動部活動については、将来的には地域の活動に統合していくことが十分考えられることから、休日の練習を共同で実施するなど連携を深めること

・休日に限らず、平日においても、できるところから地域のスポーツ団体等と連携して地域のスポーツ団体等が主体で活動する日を増やしていくこと

◆達成時期の目途

 中山間地域や離島等は、地域でのスポーツ環境の整備充実に向けて他の地域と比べて時間を要することが見込まれるが、こうした地域を除き休日の運動部活動の地域移行を概ね達成する目標時期を示すことが望ましい。

 目標時期は、少子化の進行や学校の働き方改革の進展を踏まえ、できる限り早期とすることが望ましいが、地域におけるスポーツ環境の整備充実には一定の時間を要することから、5年度の休日の運動部活動の段階的な地域移行開始から3年後の7年度末を目途とすることが考えられる。

 国は、この目標時期を踏まえ、ガイドラインを本年度早期に改訂し、休日の運動部活動の段階的な地域移行を開始する5年度から3年間を運動部活動の改革集中期間として位置づけ、全ての都道府県において休日の運動部活動の地域移行に向けた具体的な取組やスケジュール等を定めた推進計画を策定し、それを基に各市町村においても推進計画を策定することを規定することが適当である。

 各地方公共団体においては、この計画に基づき改革集中期間に地域スポーツ環境整備のための取組を重点的に行っていくことが必要である。

 なお、地方公共団体によって合意形成や条件整備等のため地域移行の実現に更に時間を要する場合にも、地域の実情等に応じて可能な限り早期の実現を目指す必要がある。

 改革集中期間においては、国として各地方公共団体における取組に対して特に積極的に支援し、着実に取組が進められるようにすることが必要である。また、国および都道府県は、各地方公共団体における進ちょく状況を定期的に調査し、課題のある市町村等に対しては、その原因や対策などについて指導助言する必要がある。

 改革集中期間終了後、国は各都道府県を通じて休日の運動部活動の地域移行の取組の成果や課題を集約するとともに、その結果を適切に評価し、必要な対策を講じていく必要がある。

 なお、こうした休日の運動部活動の地域移行が概ね達成された後、平日の運動部活動についても地域移行を進めていくことが想定されるが、今後、休日における地域移行の進ちょく状況等を検証し、さらなる改革を推進する必要がある。

 その際、今回の運動部活動の地域移行の目的および目指す姿と照らし合わせて、適切な枠組みのもとで検証を行うことにも留意する必要がある。

 国および地方公共団体は、改革集中期間終了後において、運動部活動の地域移行に関する進捗状況等の適切な評価・分析結果に基づき、継続して地域のスポーツ環境の充実に取り組む必要がある。そのため、引き続き国、都道府県および市町村ならびにJSPOをはじめとしたスポーツ団体等においては、それぞれの役割を明確にした上で持続的に取り組むことが可能となるような体制を整備する必要がある。

(国 2022-06-10付)

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