【視点】“前向き”な再編要望 地域に寄り添った計画を(道・道教委 2022-06-08付)
公立高校配置計画案が示されると、例年、再編統合や募集停止、学級減の対象となった地域から計画の見直しを求める多くの要望が道教委に寄せられる。しかし近年は、伊達高校と伊達緑丘高校の再編統合などをはじめ、生徒たちの教育環境確保に向けた地域主導による“前向きな”再編を求める流れに変わりつつある。
道教委が7日に示した公立高校配置計画案に盛り込まれた、岩見沢東高校と岩見沢西高校、富良野高校と富良野緑峰高校の再編統合案の背景も、こうした流れの一つ。地域が熟慮の末に導き出した、高校生き残りへの思いが詰まった一手と言える。
特に、100年以上にわたり空知管内の代表校としてあり続けた岩見沢東高を含めた再編統合案。取りまとめた岩見沢市高校適正配置連絡会議の関係者らは、複雑な思いを抱きつつも、岩見沢全体の高校の在り方を考えた結論に一定の理解を示す。
道教委は、地域主導による再編統合の要望に「地域が考えた末の結論」と重く受け止める。地域トップ校を含めた再編に「前例がない出来事で、新たな高校づくりに対し大きな責任を感じる」と気を引き締める。
岩見沢市内の3年度における中卒者数は618人。このうち、市内進学は465人で、75%程度にどどまる。一方で、空知南学区全体の他管内への流出は、中卒者数963人に対し221人。石狩管内へは172人となっており、このうち78人が私立学校に入学しているという。
岩見沢は札幌圏の通勤圏内として、JRをはじめとした交通機関が充実。近年の少子化に加えて、札幌市内私立高校による特進クラスの充実をはじめとした教育環境整備の影響によって、難関大学を志望する学力上位の市内中学生が札幌圏に流出する傾向が顕著に。札幌一極集中の余波が近郊の都市に及んでいることを示す象徴となっている。
新設校の学科は今後、検討を進めることになる。国は高校の普通科改革を打ち出し、学際的な学びや地域社会に関する学びなど実情に合わせた特色ある高校づくりを推進する。道教委は岩見沢市内における例として、現段階で「新設する道立校は進学に比重を置くとともに、市立校は多様な進路選択に対応できる学科を」と、それぞれの役割を明確化したい考えを示す。
数合わせによる統合ではなく、地域の要望に最大限寄り添った再編を―。高校生き残りへ地域が苦渋の決断を示す中、新設校の在り方は今後の高校再編の行方を占う試金石と言える。地域と共に高校の未来を形づくる道教委の手腕に大きな期待がかかる。
(道・道教委 2022-06-08付)
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