札幌市児相　３年度虐待件数速報値　被害認定２４０２人　一時保護は８２９人で過去最多

（札幌市 2022-06-21付）

　　札幌市児童相談所は、３年度の市内の児童虐待発生状況（速報値）をまとめた。児相が虐待被害を認定した子どもは２４０２人で、過去最多だった２年度（２５６２人）に次いで多かった。虐待などを理由に保護者から一時的に子どもを引き離す「一時保護」は、前年度比１２人増の延べ８２９人で過去最多となった。

　被害認定した子ども２４０２人のうち、虐待の種別で最も多かったのは、言葉による脅しなどの心理的虐待で、１３２９件（前年度比１４８人減）と半数を占めた。内訳は、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前ＤＶ（ドメスティックバイオレンス）」が多い。

　虐待種別で２番目に多いのは、ネグレクトが５４３人（４０人減）、身体的虐待が５０５人（２４人減）、性的虐待が２５人（４人減）だった。

　市児相によると、虐待の認定件数は、元年６月に札幌市で当時２歳の女児が衰弱死した事件以降増加し、高止まりの状態が続いているという。

　また、虐待の通告は１８４５件あった。警察からが９５８件と最も多く、近隣・知人からが５６４件と続いた。

　近隣・知人からの通告について、事件前は４００件未満だったことから、市児相は「虐待が疑われる際の通告義務への意識が高まってきた」と分析する。学校からの通告も１１９件で年々増えている。

　一時保護は、児童虐待を理由とするケースや家出や非行の恐れがある１８歳未満の子どもを、保護者から一時的に引き離す措置。児相が運営する保護所で受け入れるほか、里親や児童養護施設などに委託する場合がある。

　一時保護した延べ８２９人のうち、一時保護所で受け入れた子どもは延べ４９４人（３５人増）で過去最多。満員状態が続いており、市児相は昨年１１月に定員を５０人から７０人に増やした。里親や児童養護施設で保護した子どもは延べ３３５人（２３人減）だった。

(札幌市 2022-06-21付)