投票すれば声は届く　フィンランドの主権者教育

（札幌市 2022-06-21付）

オンラインを交え３人で討論。フロアからも参加した

　フィンランドウィークｉｎ札幌では、主権者教育を取り上げ「なぜフィンランドの若者は積極的に社会に参加するのか？」をテーマにディスカッションを行った。若いうちから民主的な意思決定を学ぶことや、教師の役割が話題に上がった。

　駐日フィンランド大使館参事官のレーッタ・プロンタカネンさんの司会で、フィンランド国会広報のリーナ・ヘミンキさん、（ＮＧＯ）Ａｌｌｉａｓｓｉ　Ｆｉｎｌａｎｄ若者の社会活動担当のイーダ・ラウリラさんの３人で話し合った。

　フィンランドでは、若いうちから民主的権利や意思決定について学び、高校では模擬選挙を行うこと、小さいうちからクラスのマスコット決定や旅行の席など様々なことを選挙のような形で決めるなど「民主的に決めることを小さいうちから体験できる」ことが特徴に上がった。

　また、国会議員を招いて、どんなことをしているか聞いたり、国会で本番のようなロールプレイをしたり、実際の選挙の２週間前に模擬投票を行うことを説明。「民主主義はフィンランドにとってとても大切。必要なことはみんなでディスカッションすることが大切と知っている」との発言があった。

　「なぜ教育の中に民主的なプロセスを取り込んでいくのか」との問いには「１８歳で初めて投票してから、それ以降の人生はずっと投票するのだから」「突然民主主義をやれと言っても難しい。自分の声を聞いてもらえないという印象を持つと、もう投票には行かない。投票すれば声は届く、意味があるという体験が大切」との声が上がった。

　また「フィンランドでは、他の意見があるという事実を認める。大きく意見が違っても、議論を重ねてから意思決定を進める。少数の意見を排除するのではなく、必ず話し合って結論に近づく」との声があった。

　また、フロアから「日本では、教師が政治的中立を意識し、学校で政治の話をするのをためらう風潮がある。フィンランドではどう教えているのか」との質問が上がり、これに対しては「フィンランドでは、教師が教えるのは個人の意見ではなく、“政治に対し自分の意見を持つことが大切ですよ”というアプローチ。子どもはグーグルなどを使い、政治家の政策や考えを自分で調べるようになっていく。何をどうすべきかは自分で調べて子どもたち自身で気づいていく」と答えていた。

(札幌市 2022-06-21付)