札幌市小学校長会
(札幌市 2022-06-22付)

 札幌市小学校長会は、研究集録第47集をまとめた。3年度から「学ぶ力」育成部、「豊かな心」育成部、学びの支援部など6専門部でそれぞれ研究を推進。共同研究主題「ともに未来を創造するたくましくしなやかな“さっぽろっ子”を育む豊かで確かな小学校教育の実現」のもと、校長としての役割の明確化や指導性の向上に向けて日々研鑚を積んでいる。ここでは3年度の研究成果を連載で紹介する。

◆副主題:「学ぶ力」を育む豊かで確かな学校経営の在り方

【研究内容】

▼研究副主題の解説

 共同研究主題を受け「学ぶ力」育成を切り込み口とした学校経営の在り方に焦点化し課題とした。

▽実効性の高い教育課程の創造と検証

 地域性を生かすとともに「学校として」「6年間で」子どもを育む教育課程の創造とその実効性を検証する。

▽「学ぶ力」育成に向けた校長の関わりと学校評価に関わる教育の深化

 「学ぶ力」育成に向けた校長の関わりについて、経営組織、教育課程、意識改革の視点から迫り、各学校の実態を踏まえた経営ビジョンの具現化の方策を探る。

▽校長の高い識見と指導性の発揮

 社会に開かれた教育課程、課題に応じた柔軟な組織改革、同僚性の高い教職員の育成等について見識を高め、先見性のある学校創造の実現を目指す。

▼研究の視点

▽視点1 教職員が一体となって取り組む経営組織の構築

・「学ぶ力」を育み、教師力・学校力を高める校長のリーダーシップ

・「学ぶ力」育成プログラムの実行性を高める経営組織と校長の関わり

・教職員が協働で取り組むことで教育効果を高める経営組織

▽視点2 たくましくしなやかで創造性あふれる子どもを育む教育課程の創造

・「学ぶ力」の育成を具現化する教育課程の構築

・「学ぶ力」育成プログラムの実行性を高めるカリキュラム・マネジメント

・社会に開かれた教育課程の実現と校長の関わり

▽視点3 充実した教育活動の構築に向けた教職員の意識改革

・「学ぶ力」育成に関わる授業観・評価観を共有するための校長の関わり

・前例踏襲の体質を改善し、学校評価を軸にPDCAを機能させる校長の関わり

・同僚性や教師力の高い教職員集団を構築するための校長の関わり

【取組の具体】

▼研究体制

 3つの視点に沿い、経営組織グループ・教育課程グループ・意識改革グループを設定し「学ぶ力」育成に向けた校長の関わりの提言をもとに研究協議する。

▼研究の実際

 2年度、コロナ禍において「学びを止めない」状況下における「学ぶ力」の育成を計るための校長の関わりを追究した。

▽「学ぶ力」を育む授業の共有

・校長は課題を見抜いているか

・校長は動いているか

・校長は教師に実感させているか

▽校長の自己評価と授業改善 

・コロナ禍における教育課程編成(再編成)

・校長の意志に基づいた編成

・校長の関わりへの自己評価(自問自答する校長)

▽「学ぶ力」を育む仕組みづくり 

 校長のビジョンを具現化するために、「学ぶ力」の育成を推進する仕組みを構築⇒コロナ禍の先を見据えて、柔軟かつ大胆な組織体制をつくる校長の関わり

【今後に向けて】

▼2年度

 コロナでも教師の授業力を高める校長の指導性の向上

▼3年度

 withコロナにおいて「学びの質を高める」状況下における「学ぶ力」の育成を計るための校長の関わりを追究した。

 学びの質を高め「学ぶ力」の育成を計るためには―

・「ビジョン・戦略・戦術を示す」こと

・「教職員の動きを価値づけ、目的に向かって進み、歩みを止めない」という関わりをすること

 教職員が主体的に動き出すためには

・学校評価から問題点を見いだし「学ぶ力」を育成するための目的を教職員が共有する

・教職員が同じ目的に向かって自らの役割を考え取り組む

 この意識をもたらす校長の関わりが必要であり、そこから具体的な教職員の動きが生まれる。また、一方で教職員の動きを「束ねる」「価値づけていくこと」が校長の関わりとして大事である。

▽教職員が動き出すために⇒校長は「価値付ける」

・ゴールを示す

・見通しを持たせる

・軌道修正を図る

・自ら動く

 そこで、以下のような研究仮説と視点を持って研究を進めた。

▽研究仮説

 校長が持った問題意識をもとに教職員が同じ方向性をもって主体的に動き出す関わりをすることによって、子どもの「学ぶ力」を育むことができる。

・仕組み・組織づくりの視点から

・カリキュラムマネジメントの視点から

・授業力向上の視点から

 札幌市小学校長会は、研究集録第47集をまとめた。3年度から「学ぶ力」育成部、「豊かな心」育成部、学びの支援部など6専門部でそれぞれ研究を推進。共同研究主題「ともに未来を創造するたくましくしなやかな“さっぽろっ子”を育む豊かで確かな小学校教育の実現」のもと、校長としての役割の明確化や指導性の向上に向けて日々研鑚を積んでいる。ここでは3年度の研究成果を連載で紹介する。

(札幌市 2022-06-22付)

その他の記事( 札幌市)

3年度児童生徒災害共済給付調査 全校種増の7123件 小が授業中、中高課外指導中最多

表  札幌市教委は、3年度児童生徒における災害共済給付に関する調査結果をまとめた。災害(負傷・疾病・障害・死亡)の発生件数は、前年度から全校種で増加。小学校が3534件、中学校が3069件、高校...

(2022-06-23)  全て読む

札幌手稲中央小 札幌市出前授業 水環境守る大切さ理解 生活支える下水道を学習

手稲中央小下水道局出前授業  札幌市立手稲中央小学校(松村隆志校長)は15日、市下水道河川局職員を招いて出前授業を行った。社会科の環境教育の一環。4年生101人が、暮らしを支える下水道の仕組みや役割について理解を深め、...

(2022-06-23)  全て読む

札幌市小学校長会 3年度研究成果 研究集録から 第2回 「学ぶ力」育成部〈中〉

◆副主題:「学ぶ力」を育む豊かで確かな学校経営の在り方 【2年間の取組】 ▼仕組みづくり・組織づくりの視点から   学校組織の中で「教職員組織が主体的に動き出す」共通の問題意識や課題・...

(2022-06-23)  全て読む

札幌市立高・特事務長会 新会長に温泉氏 北翔支援 4年度は研究協7回開催

市立高校特別支援学校事務長会会長温泉永一  札幌市立高校・特別支援学校事務長会は、4年度役員体制および事業計画を決定した。会長には、市立札幌北翔支援学校の温泉永一事務長が新たに就いた。事業計画では、研究協議会を7回開催することなどを...

(2022-06-22)  全て読む

7月15日に研究大会 附属札幌小・中ふじのめ学級 小・中で国語科授業公開

 道教育大学附属札幌小・中学校特別支援学級(ふじのめ学級)は、7月15日午前8時40分から同校で全道教育研究大会を開催する。研究主題「一人ひとりの“わかる”を引き出す授業づくり」のもと、両校...

(2022-06-22)  全て読む

教育課程実践検証協力校の札幌中の島中 CBT活用し健康教育 国研調査官招き研究授業も

 札幌市立中の島中学校(山下和幸校長)は本年度、国立教育政策研究所の教育課程実践検証協力校事業の指定を受け、E―Assessmentに関する健康教育の実践研究を進めている。文部科学省CBTシ...

(2022-06-22)  全て読む

札幌市児相 3年度虐待件数速報値 被害認定2402人 一時保護は829人で過去最多

  札幌市児童相談所は、3年度の市内の児童虐待発生状況(速報値)をまとめた。児相が虐待被害を認定した子どもは2402人で、過去最多だった2年度(2562人)に次いで多かった。虐待などを理由に...

(2022-06-21)  全て読む

5年度札幌市立高推薦入選の受入方針

 札幌市教委が17日に発表した5年度札幌市立高校推薦入学者選抜実施校における「入学者の受入れに関する方針等」はつぎのとおり。 ▼市立札幌旭丘普通科  単位制の趣旨を理解し、本校で学ぼうと...

(2022-06-21)  全て読む

投票すれば声は届く フィンランドの主権者教育

フィンランドウィーク(ディスカッション)  フィンランドウィークin札幌では、主権者教育を取り上げ「なぜフィンランドの若者は積極的に社会に参加するのか?」をテーマにディスカッションを行った。若いうちから民主的な意思決定を学ぶことや、...

(2022-06-21)  全て読む

札幌市立高の5年度入選学校裁量 全校全学科で推薦入試 旭丘、清田で傾斜配点採用

表  札幌市教委は17日、札幌市立高校の5年度入学者選抜における学校裁量事項の概要を発表した。一般入試における学力検査では、市立札幌旭丘高校が数学・理科・英語、市立札幌清田高校は英語で前年度に引...

(2022-06-20)  全て読む