都道府県教委連 教員不足解消包括的要望(関係団体 2022-06-21付)
全国都道府県教育委員会連合会(浜佳葉子会長)が、13日に末松信介文部科学大臣宛に提出した「教員不足の解消に向けた包括的な要望について」の概要はつぎのとおり。
【資質・能力の優れた教員の確保】
教育の質の維持向上のために資質・能力の優れた人材を教員として確保することができるよう、国において教員の処遇改善やイメージアップの取組、教員を目指す学生等の支援に一層取り組むとともに、特に厳しい状況にある小学校教員確保のため、教員免許状の取得に必要な要件の緩和や、教員採用試験を受けやすい環境の整備等、各都道府県における取組を支援すること。
▽学生等から教員が魅力ある仕事であると再認識され、教員志望者を増加させていくことができるよう、国において給特法等の法制的な枠組を含めた教員の給与制度の見直し等、処遇改善を早急に進めるとともに、必要な財政措置を講じること
▽教職の魅力向上に向け、教員を志す大学生や社会人のみならず、将来教員養成大学への進学を目指す小学生や中学生、高校生およびその保護者への教職の魅力を積極的に発信する啓発キャンペーン活動の展開等、全国規模での広報活動に取り組むこと
▽国において教員志望者に対する奨学金制度を創設し、教員に採用され一定期間正規の職で勤務した場合に奨学金の返済が免除される等、教員志望者の増加に寄与する制度を構築すること。また、教員養成大学の定員について大学等から定員増等の申請があった場合は認可に配慮する等、教員確保のための対策を講じること
▽教員採用選考はその選考内容が筆記や実技、面接等多岐にわたるとともに、各地方公共団体で選考内容が異なり受験者の負担が大きいことから、国において教職に関する筆記や実技等に関する全国共通の選考を実施した上で受験者が希望する地方公共団体の選考を受験することができる採用システムを構築すること
▽5年4月の「地方公務員法の一部を改正する法律の施行に当たり、各都道府県において教職員の定年引上げに円滑に対応することができるよう、教職員の年齢構成等の地域の実情にも十分に配慮した上で定年引上げ期間中に一時的な調整等を行い、安定的な人材確保ができるよう教職員定数の加配措置や必要な財政措置を講じること
【学校における働き方改革の実現】
各学校において働き方改革を一層推進することで、各都道府県および各区市町村の教育委員会が定める「時間外在校等時間」の上限に関する規則等を順守しながら、教員が授業の質を高めるための時間や児童生徒と向き合う時間を確保することによって教育の質の維持・向上や教職の魅力向上につなげることができるよう、国において教職員定数の一層の見直しを図るとともに、学校の指導・運営体制を維持・強化するために必要な財政措置を講じること
▽小学校の学級編制の標準については、子どもたち一人ひとりの教育ニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする体制を整備し、個別最適な学びと協働的な学びを実現するために3年度から5年間をかけて学年進行で35人に引き下げられることとされている。一方、こうした学級編制標準の引き下げによって教職員定数が改善されることは、教職員の校務負担の軽減にもつながることから、教職員が心身両面の健康を維持しながら教育活動に意欲的に取り組むためにも全校種共通で取組を加速させていく必要がある
このため、小学校に加え中学校や高校においても、1学級35人をベースにした教職員定数の改善や研修等定数の基礎定数化による人員増に早急に取り組むとともに必要な財政措置を講じること。なお、学級編制の標準の引下げに当たっては、その財源として習熟度別指導等の加配定数を削減することなく、必要な教職員定数を別途確保すること
▽新規採用教員の指導力の向上やサポート体制の強化による若年層の教員の離職防止に向け、初任者研修にかかる定数の一層の拡充と必要な財政措置を講じること
▽小学校高学年における教科担任制の推進について、国は、中学校教員の活用や授業交換による実施等の方法を示しているが、地域により学校間の距離がある等地理的条件によって中学校の教員の活用が困難なケースがあることや、授業交換では学級担任の持ち授業時数は変わらないこと、小規模校は単学級が多く同学年での交換授業の実施が難しい等の実情がある。専科教員を加配している小学校では、教員の持ち授業時数の軽減や計画的な年休の取得等、働き方改革の観点で成果が挙がっていることから、専科教員の配置拡充に必要な加配措置を講じること。
なお、加配定数の拡充に当たっては、指導方法工夫改善における習熟度別指導やTT等の加配定数の振替によることなく、必要な教職員定数を別途確保すること
▽学校の働き方改革を踏まえた部活動改革においては、地域における部活動の運営主体となる地域のクラブ等の体制整備や、指導者となる人材の確保、大会の在り方の見直し等、地域でスポーツ・文化活動ができる環境の整備が急務である。このため、地域クラブ等の体制整備への財政措置や、指導者に係る人材バンク設置の促進、文化部の部活動において学校単位に限定された大会参加資格の緩和および教員参加が前提となっている大会運営の見直しに向けた関係団体への働きかけ等、国において必要な取組を推進すること。
また、部活動改革は、これまでの部活動の在り方を大きく転換する施策であり、地域移行を進める上で、保護者や地域、各種団体におけるその必要性等の理解が不可欠である一方で、国の方針やその意義、地域移行に向けた国の支援策が十分に理解されておらず、結果として、取組に地域差が生じる一因となることから、国において積極的な広報を行うとともに、地域のクラブ等に支払う会費や施設使用料、用具の購入経費、保険料等が保護者の負担とならないよう、必要な財政措置を継続的に講じること
▽子どもをめぐる課題が複雑化・多様化している中、教職員を中心とした学校組織から、教職員が多様な専門家と連携・協働する新しい学校観への転換が求められている。こうした中で、教員と多様な専門家の連携による学校運営体制の一層の充実を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーをはじめ、部活動指導員、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)、スクールロイヤー、情報通信技術支援員(ICT支援員)等の教員以外の専門スタッフを高校も含め希望する全ての公立学校に必要人数を配置できるよう、必要な財政措置を講じること
▽教員が児童生徒と向き合う時間や、授業の質を高めるための教材研究の時間等を確保することができるよう、タイムカードや「統合型校務支援システム」の導入促進等、国において教職員の客観的な在校等時間の管理と業務改善・効率化の促進に向けた施策を広く検討・実施するとともに、その経費について、学校規模や地方の財政力によって差が生じることのないよう、十分な財政措置を講じること
【教員免許制度の見直し等】
「教員免許更新制」の発展的解消を盛り込んだ教育公務員特例法と教育職員免許法の改正法施行によって、退職教員や休眠状態の教員免許状保有者等の任用、特別免許状を活用した教員の任用等都道府県における教員不足の解消が円滑に進むよう研修体制や復職に対する援助を行うことを含めた、教員免許制度の見直し等必要な措置を講じること。
▽免許更新制廃止に伴い、過去に免許を取得しながら更新されず休眠もしくは失効した者のうち、旧免許状の取得者で免許状が休眠状態の者については手続きを要することなく回復するものの、旧免許状の取得者で免許状が失効した者および期限が定められている新免許状の取得者で期限を超過したことによって免許状が失効した者については、再授与申請に係る手続きやその費用等の負担が生じることから、手続きの簡素化に向けた見直しを進めるとともに、免許更新制廃止に伴う費用負担等に対する財政措置を講じること
▽特別免許状によって任用した者の教員として必要な資質能力や専門性が十分担保されるよう、国において教職の基礎的な知識等を身に付けられる研修プログラム等を早急に開発するとともに、各都道府県に対し提供すること
▽特に厳しい状況にある小学校教員の確保に向け、中学校の教員免許状の取得を希望する者が小学校の教員免許も取得しやすくなるよう、教員養成段階において小学校や中学校の免許取得に関連する授業科目を一体的に開設することで重複する単位をなくし、総取得単位を少なくする等、教員免許制度の見直しを図ること
(関係団体 2022-06-21付)
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