札幌市藤野小6年道徳 思いやりのリレーとは NIE授業 新聞記事題材に考察
(札幌市 2022-07-26付)

藤野小NIE授業道徳
公共の精神について考えた

 札幌市立藤野小学校(小菅雄介校長)は20日、6年生道徳科で新聞記事を活用した授業を行った。札幌市電で行われている無料貸し出し傘の返却率が5割となっていることを伝える記事を題材に、思いやりのリレーとは何かを考えさせる学習を展開した。

 授業は、8月23日に開かれる第27回北海道NIE研究大会兼NIE第6回札幌地区セミナーにおける公開授業として、映像視聴されるもの。

 この日は、6年1組(髙橋周教諭、児童数40人)の道徳「暮らしやすい社会のために」の収録が行われた。単元は、市電車内に設置されている無料貸し出し傘の返却率が5割前後で推移していることを伝える新聞記事を題材に、暮らしやすい社会をつくるための基盤となる公共の精神を意識させることを目指した。

 髙橋教諭は冒頭、「思いやりの行動をしたこと、されたこと、見たことがある?」と問いかけた。児童たちは「席を譲っている場面を見た」「重い荷物を持っていたら、ドアを開けてくれた」などと答えた。髙橋教諭は「“思いやりのリレー”とは何かを考えてみよう」と発問した。

 市電の写真を提示し、沿線に中央図書館や住宅街、すすきの、狸小路などの繁華街があることを説明。市電利用者の目的となっている遊びや趣味、買い物、飲食、通勤などとリンクしていることを理解させた。

 その上で、車内の無料貸し出し傘の写真を示し「無料で貸し出していることについてどう思う?」と質問。児童たちは「思いやり」「盗まれそう」などと答えた。ここで、無料貸し出し傘の5割が返却されていないことを伝える新聞記事を読み上げると、児童たちは「ひどい」「どうして返さないんだろう」などと疑問の声を上げた。

 髙橋教諭は、無料貸し出しを続けるべきか、中止すべきかを考えるよう促した。児童たちは「傘が必要だったら、自分たちで用意すればいい」「傘がないと困る人もいるのでは」「ちゃんと返している人もいるのに、返さない人のせいでサービスがなくなるのはおかしい」「(中止になるのは)連帯責任だ」「5割が返ってきているならば続けてもいいのでは」など、様々な考えを発表した。

 髙橋教諭は、北海道新幹線函館開業時に、函館市電でも同様の取組が行われていたことを説明した。函館では、傘の返却率が1割未満だったため、わずか1年でサービスが終了したことを伝え、当時の担当者が「思いやりのリレーが続けば、サービスが続いていたかもしれない」とコメントしたことを紹介。“思いやりのリレー”とは何かをあらためて考えさせた。

 児童たちは「自分のことだけではなく、人のことも考えること」「ルールを守る」「大事に使う」などと発言。髙橋教諭は「市電はみんなのために、利用者はつぎに使う人のためにという思いに支えられているんだね」とまとめた。

 最後に、学んだことをこれからの学校生活でどのように生かしていくのかを考えさせた。

(札幌市 2022-07-26付)

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