札幌みなみの杜高支　教員職場体験　成果を新城市同へと還元　佐々木教諭　運送業に汗

（札幌市 2022-08-04付）

仕事を体験する佐々木教諭

　市立札幌みなみの杜高等支援学校（田中進一校長）は、生徒の進路指導に生かそうと、企業と連携して教員の長期職場体験を行っている。６月から、市内の大手運送会社の集配所で荷降ろしや仕分けの仕事などを体験する進路指導主事の佐々木香織教諭。「身をもって経験し、生徒に還元していく」と汗を流す。

　７月下旬、佐々木教諭はヤマト運輸（株）札幌八軒営業所に次々と戻ってくるトラックから荷物を降ろし、配送エリアごとに仕分ける作業に取り組んだ。「正確性もスピード感も必要な作業だと分かった」と、生徒が業務に携わる姿をイメージしながら進めている。６月からの約４ヵ月間、学校での業務の傍ら様々な仕事を経験する予定だ。

　同校は普通科職業コース制を導入しており、カフェ運営を中心に「運営」「生産」「外部サービス」の３部門７職業コースを設定。「働く力を育てる学び」を目指している。

　教員による職場体験は、生徒が就職する可能性のある現場の仕事を進路担当の教員が実際に経験することで、職種の専門性を学び、生徒の適正を踏まえた進路指導につなげることがねらい。これまでも夏季休業中を活用して数日の短期間では実施していたが、長期間行うのは今回が初めて。

　ヤマト運輸には、これまで卒業生２人が就職している。また、同社は平成５年に公益財団法人ヤマト福祉財団を設立して以来、障がいのある人の雇用を積極的に進めてきた。「障がいのある人の自立と社会参加のため、学校と企業の思いは同じ」と、同営業所の秋田正人所長らの協力を得て実現した。

　職場体験はことし６月にスタート。はじめは同社の中途採用者らと一緒にオンラインで研修に参加し、企業理念や業務内容を一から学んだ。７月に入ってからは現場に出て、営業所で宅配便の受付や荷物の集配作業、配送トラックに同乗してドライバーの補助として荷物を顧客に届ける業務などを体験した。

　今月は、ＤＭ便や荷物の仕分け作業など、実際に生徒が就労する可能性のある部署に入る。「地域社会との協働による教育を進めるというスクールポリシーを体現したい」と佐々木教諭。「身をもって経験し、得られた成果を生徒に還元していく」と話している。

(札幌市 2022-08-04付)