道教委 新しい道教育推進計画 22施策の方向性①(道・道教委 2022-09-20付)
【柱1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進】
◆SDGs・ESDの推進
▼施策の方向性
▽SDGs達成のため、子どもから大人まで全ての道民が現代社会における地球規模の様々な課題を、自分事と捉えて解決に向けて考え、行動する力を身に付けるとともに、新たな価値観や行動変容をもたらすESDを推進する
▽環境教育、国際理解、気候変動などの個別分野を持続可能な開発の視点から統合した、分野横断的な教育を全ての学校で取り組み、未来像を予測して計画を立てる力や多面的・総合的に考える力、他者と協力する態度などの育成を目指す
▽学校と地域など多様な主体が連携したESDの実践を通して「北海道SDGs推進ビジョン」に示された北海道の「めざす姿」の実現につなげる
▼主な取組
▽持続可能な社会の創り手を育む主体的・対話的で深い学びの実現
・地域の施設や人材等の教育資源を活用した体験的な学習活動の促進
・SDGsに係る研究などに取り組むスーパーサイエンスハイスクール指定校の先進事例の普及・啓発
▽学び考え行動する環境教育の推進とゼロカーボン実現に向けた環境整備
・持続可能な社会の構築に向けて、SDGsの視点に立った環境教育の推進
・再生可能エネルギーの活用等による環境負荷の低減に資する教育施設への転換
▽多様性を尊重した共生社会の実現に向けたESDの推進
・子どもの発達段階に応じた多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生の実現に向けた人権教育の展開
・SDGsの実現に向けて、異なる文化や習慣を持つ同年代の若者と意見交換を行うなど、高校における協働的な学びの実践
・関係機関との連携による障がい者の学びのニーズや特性に応じた学びの機会の確保および取組の支援
▽包摂的かつ持続可能なイノベーションの推進に資する人材の育成
・産学官が一体となった教育課程の改善を図る職業人材育成システムの強化
・知事部局や関係機関との連携、ICTを活用した在宅就労など多様な働き方を視野に入れたキャリア教育や進路指導等の充実
▽地域と連携しESD推進
・公民館等の社会教育施設を拠点とした、地域活性化や地域創生に向けた取組への支援
・世界文化遺産の保存・活用に対する道民の理解形成と意識高揚を図るための普及啓発の推進
◆幼児教育の充実
▼施策の方向性
▽全ての幼児教育施設において、研修や助言制度の活用が促進され、保育者の働きやすい環境づくりや、幼児の発達の特性や個々の課題に応じた質の高い教育の提供を実現する
▽「教育の始まり」としての幼児教育の意義が社会的に共有され、全ての地域において、各教育主体が子どもを中心に組織的につながる幼児期からの学びの基盤を充実させる
▽家庭や地域との連携の下、保護者が相互に交流し、子育てに関する相談や情報提供などの支援を受け、地域ぐるみで子どもを育てる体制を構築する
▼主な取組
▽幼児教育施設等における組織としての取組の充実
・研修・助言制度や情報提供を通じ、全ての幼児教育施設で、幼稚園教育要領等の趣旨を踏まえた教育活動の展開を促進
・架け橋期の教育の充実を図る「幼保小の架け橋プログラム」の実施や好事例の発信等によって、地域の創意工夫を生かした幼児教育と小学校教育の連携・接続の取組を促進
・研修や情報提供を通じた市町村や小学校における幼児教育や幼小連携・接続の意義の理解促進
▽保育者の資質・能力の向上
・ICTの活用など研修機会の拡充を通じ、保育者が受講しやすい研修の提供
・幼児教育施設の多様なニーズに対応した質の高い研修の提供
・多忙や早期離職傾向の保育者等の現場ニーズに対応した助言・相談機会の提供
▽幼児教育の振興を支える体制づくりの推進
・幼児教育施設や小学校、市町村、家庭・地域、福祉等の関係機関が連携・協働し、子どもの育ちの課題解決につなげる体制の構築
▽家庭や地域における教育・保育の充実
・SNSや3歳児健診等の機会を活用し、保護者へ多様な学習機会を提供
・地域ぐるみで家庭の教育力の向上を図る取組推進
・保護者や幼児等に対し読書の楽しさや重要性について普及啓発を図る取組推進
◆新しい時代に必要となる資質・能力の育成(小・中学校)
▼施策の方向性
▽全国学力・学習状況調査の結果を系統的に分析し、学力向上に向けた教育活動の検証と改善に全ての教職員が一体となって組織的に取り組む
▽主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進め、新しい時代に必要となる資質・能力の育成
▽ICT等を活用し、発達の段階に応じて、全ての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図る
▽規則正しい生活を送ることによって学習意欲の向上を図るため、子どもの望ましい生活習慣や学習習慣の定着に向けた家庭・地域と連携した取組を促進する
▼主な取組
▽教育課程の実施状況を評価してその改善を図る検証改善(PDCA)サイクルの充実
・各学校段階や学校段階間において育成を目指す資質・能力を明確にし、小学校から高校までの12年間を見通した検証改善サイクルの確立を推進
・各学校管理職のリーダーシップのもとで展開する教育活動の検証と改善
・調査結果の分析に基づく研修会や指導主事の指導助言等により、各学校が学力向上に向けた教育活動の検証と改善を組織的に実践
▽主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
・指導方法や指導体制の工夫等の指導助言による全教員の指導力の向上
・教員向けの研修会や各種資料提供を行うなど、全ての教科等における言語活動の充実
▽ICT環境を適切に活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実
・個々の興味・関心・意欲等を踏まえて、きめ細かく指導・支援することなど、1人1台端末を活用した学習活動の充実
・探究的な学習や体験活動を通じて子ども同士や多様な他者と協働しながら行う学びの促進
▽家庭・地域と連携した望ましい生活習慣、学習習慣の定着
・資料配布や研修会の開催による子どもの生活習慣に対する保護者等の意識向上
・団体、企業等と連携した地域ぐるみの取組の促進
▽言葉を学び、感性を磨き、表現力を高める読書活動
・学校における読書習慣確立に向けた全校一斉読書等の取組の強化
・市町村立図書館や公民館等の施設とボランティア等の連携による子どもの読書に親しむ機会の推進
▽コミュニケーション能力や主体性を育む体験活動の充実
・道立青少年体験活動支援施設等を核とした学校・地域・公立青少年教育施設等との連携強化
◆新しい時代に必要となる資質・能力の育成(高校)
▼施策の方向性
▽生徒が自ら解決すべき課題を見いだし、主体的に考え、多様な立場の者と協働的に議論し、納得解を生み出すことなど、新学習指導要領が目指す資質・能力を確実に育成するため、教科等横断的な教育を実践する
▽生徒一人ひとりに応じて、学習指導を行う指導の個別化および学習活動や学習課題に取り組む機会を提供する学習の個性化を通じて、生徒が個別最適な学びを進めることができるようにするとともに、探究的な学習活動や体験活動などを通じて協働的な学びを充実させる教育を実践する
▽生徒がICTや学校図書館を日常的に活用することによって自ら見通しを立てたり、学習の状況を把握して、新たな学習方法を見いだしたりするなどして、自ら学び直しや発展的な学習を行うことができるよう、成果の共有や学校司書の配置を進め、ICTや学校図書館を効果的に活用する教育を実践する
▽中学校教育までの学習の成果や高校段階における学力の状況を踏まえ、基礎的・基本的な知識および技能を確実に習得させ、これらを活用して解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし社会の一員として多様な人々との協働を促す教育の実践
▼主な取組
▽教科等横断的に資質・能力を育成する校内体制構築
・小学校から高校までの12年間を見通し、義務教育段階の学びを踏まえた高校段階での継続的な検証改善サイクルの確立を推進
・学校教育指導での協議、指導助言を通じ、スクール・ミッションに基き各学校が策定するスクール・ポリシーに示された育成を目指す資質・能力を教科等横断的に育成する取組推進
・道高校教育課程研究協議会等における先進的な取組や好事例の普及・啓発
▽主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
・生徒の可能性を引き出すために、ICTの活用や単元の指導計画の作成・充実を通して、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を推進
・大学、民間企業等と連携し、専門的な見地からの助言を踏まえた学習活動の充実と授業改善の推進、成果の普及・啓発
▽ICT環境を適切に活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実
・ICT機器を活用して情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、個に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供するなど、きめ細かな学習指導の充実
・ICT機器を活用して探究活動の取組の成果を共有するなど、遠隔地の専門家や他の学校・地域や海外との交流などの促進
▽読書活動の充実
・図書委員会を中心の読書推進活動など、読書習慣確立に向けた生徒の主体的な取組や好事例の普及・啓発
・道立、市町村立図書館との連携による読書環境整備や、資料・情報サービスの提供による学習活動充実
◆特別支援教育の推進
▼施策の方向性
▽共生社会の形成に向けて、幼・小・中・高校等においては、特別支援学校との連携によって、子どもの障がいの状態等に応じた教育力を高めるとともに、特別支援学校においては、障がいの状態等に応じた指導や重複障がいのある子ども、医療的ケアが必要な子どもへの指導の充実を図るほか、新たな時代に対応した専門教育・職業教育を推進するなど、連続性のある多様な学びの場の充実に努める
▽特別な支援が必要な子どもやその保護者が、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目のない支援を受けられるよう、保健、医療、福祉、労働等との効果的な連携体制を構築し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援体制の整備を推進する
▽全ての教員が障がいの特性の理解のもと、一人ひとりの子どもの実態に応じた指導法などに関し専門性の向上に努めるとともに、障がいの状態や心身の発達の段階等を踏まえて、特別な支援を必要とする子どもが各教科等の学習の効果を高めたり、障がいによる学習上または生活上の困難を改善・克服することができるようICTを活用した教育を推進する
▼主な取組
▽小・中・高校等における障がいのある子どもの学びの場の充実
・共生社会の形成に向けた「交流および共同学習」のさらなる充実
・特別支援学級や通常学級等の多様な学びの場での一人ひとりの障がいの状態等に応じた指導や支援の充実
・特別支援学校の専門性を生かした小・中・高校等への支援や実践的な研修による指導力の向上
▽特別支援学校における教育の充実
・学校間連携による専門性の高い情報の共有やICTの活用等による多様化する幼児児童生徒の教育的ニーズに応じた指導の充実
・知事部局や関係機関との連携やICTを活用した在宅就労など多様な働き方を視野に入れた就労支援や進学指導等、キャリア教育、進路指導等の充実
・北海道の広域性や時代の変化に対応した特別支援学校の教育環境の体制整備
▽切れ目のない一貫した指導や支援の充実
・特別支援学校等との連携による市町村教育委員会に対するきめ細かな就学相談体制等の充実に向けた支援
・個別の教育支援計画を活用した教育、家庭、医療、保健、福祉、労働等の関係機関との連携の促進
・全ての学校における医療的ケア実施体制整備の促進
▽全ての教員の特別支援教育に関する専門性の向上
・全ての教員を対象とした障がいの特性等に関する研修等による基礎的な知識に関する理解の促進
・特別支援学校教員に対する幅広い知識・技能の習得等による指導能力の育成
・学校内外の専門家や関係機関と連携した研修等による教員の専門性の向上
▽ICTの活用等による教育の質の向上
・子ども一人ひとりの障がいの状態等に応じたICTを活用した授業改善の推進
・最新技術やオンデマンド教材等の活用による訪問教育を受ける子どもへの効果的な学習の推進
・幅広い分野の専門家と連携した研修等による教員のICT活用スキルの向上
・地域と連携した読書に親しむ環境づくりの推進
(道・道教委 2022-09-20付)
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