道教委 ヤングケアラー支援連絡協 SOS発信できる取組を 道南ブロックで意見交換
(道・道教委 2022-09-16付)

ヤングケアラー支援に係る連絡協議会
渡島グループでは関係者15人が情報共有を図った

 【函館発】道教委は8日から道内4ブロックでヤングケアラー支援に係る連絡協議会をオンラインで順次開催した。このうち道南ブロックでは各管内小・中学校、高校、特別支援学校長会の代表者や福祉関係の行政職員ら約60人が参加。各地域の実情に応じた支援について協議した。「家庭環境把握の難しさ」といった学校現場の課題や「保護者や本人が支援を拒む場合」などの考えられる実態を共有し、関係機関と最適な支援策を話し合った。

 会議はヤングケアラー支援に関わる関係機関の代表者が支援の在り方に関する協議を通して、各地域の実情に応じた支援体制の構築に向けて方向性を検討するとともに、関係機関の連携を強化することがねらい。

 開会に当たり、道教委の泉野将司生徒指導・学校安全課長があいさつ。「ヤングケアラーは置かれている状況によって支援策が異なるため、関係機関との連携のもと、支援の在り方を共通理解する必要がある」と強調。今後の方向性や支援の在り方について参加者に忌憚のない意見を求めた。

 道教委の担当者が、道ケアラー支援条例を踏まえた支援について解説したあと、「ヤングケアラーの支援体制構築のため、各機関が地域において果たす役割について」をテーマに、胆振、日高、渡島、檜山管内の4グループに分かれて各地域の課題や取組の方向性を情報共有。①ヤングケアラーの早期発見の取組②地域における支援体制の構築―の2点を視点に意見を交換した。

 うち渡島管内では15人の関係者が出席。各校種で考えられる実態について、渡島小中学校長会の代表者は「健康観察や出席状況、提出物の遅れ、服装の乱れなどは気付きのポイントになると思う」と分析。状況把握に向け「ヤングケアラーと本人が気付いていない場合もあるため、心のケアを行える環境を整備する必要がある」と話した。

 特別支援学校長会の代表者は「重度の障がいを抱えるきょうだいがいるケースや、本人の体調不良と偽って欠席し、家族の世話をするケースも考えられる。寄宿舎がある学校では、長期で登校しないケースも考えられる」とした上で、個別の特別支援計画による実態把握や放課後デイサービスの職員との連携を支援策として提示した。

 各校種の実態を踏まえ、函館児童相談所の木野洋志氏は警察から報告があった事例を情報提供。母親が統合失調症を患っていた家庭などヤングケアラーに該当するとみられる実例を紹介し、学校外の関係機関の連携の重要性をあらためて強調。

 福島町教委の小野寺則之教育長は「市町村教委は学校と関係機関の懸け橋となる存在。それぞれの立場で見守っているというメッセージを送ることが大切なのではないか」との見解を示した。

 協議後、各地域のヤングケアラーコーディネーターを務める、児童家庭支援センターくるみの支援相談員、大和秀勝氏が助言。各関係機関が果たす役割について「子どもや家庭が限りなくSOSを発信できる取組づくりが必要。各関係機関と多角的に情報共有し、未然防止策を検討していくことで切れ目ない支援体制を構築してほしい」と求めた。

(道・道教委 2022-09-16付)

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