道議会質疑 予算特別委員会(6月28日)
(道議会 2022-10-19付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼渕上綾子委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼池野敦教育部長

▼山本純史総務政策局長

▼山上和弘生涯学習推進局長

▼桑原知己社会教育課長

▼山城宏一高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育)

▼中嶋英樹働き方改革担当課長

◆性的少数者

Q渕上委員 性的マイノリティーの生徒が卒業して一歩社会に出ると、厳しい現実にさらされることも少なくない。進路指導の際に、就職に不利にならないようにという観点から、男らしさ、女らしさといったことを含んだ内容の指導をするケースもあると聞いている。

 道内の高校の進路指導の実態について、所見を伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) 高校の進路指導について。高校では、生徒が自らのキャリア形成の見通しの中で、個性や能力を生かして学びを深め、将来の活躍につなげることができるよう、一人ひとりの希望を尊重して、生徒の意欲、適性、能力等を考慮しながらきめ細かな進路指導を行うことが重要である。

 道教委としては、性的マイノリティーの生徒も含めた全ての生徒が、その個性や能力を踏まえた適切な進路指導を受けられるよう、指導主事による学校訪問や、各教育局に配置しているキャリアプランニングスーパーバイザーを通して、各学校で行われている進路指導の状況を適宜確認し、必要な指導助言を行うなど、学校における進路指導の改善充実に努めていく。

Q渕上委員 各学校において性的マイノリティーに関する取組が進んでいるが、一部の熱心な教職員や当事者の生徒を中心としたケースが多いのが現状である。取組を継続するためには、管理職の理解が欠かせない。管理職向けの研修にどのように取り組むのか伺う。

A中嶋働き方改革担当課長 管理職員の研修について。道教委では、性的マイノリティーに関する理解促進のため、学校の管理職員や担当教員などが参加する研究協議会などにおいて専門家による講義を行ってきたほか、管理職員を含む全ての職員を対象に、ハラスメントに関するチェックシートを用いた職場研修を毎年実施するとともに、新任の管理職員を対象とした研修において、性的マイノリティーの方々へのきめ細かな対応などについて説明している。

 今後は、道教委が主催する管理職員を対象とした研修をはじめ、各種会議や校長会の協議会等の様々な機会を通じて研修の充実を図り、その成果の把握に努めていきたい。

Q渕上委員 性的マイノリティーに関して、地域の理解を求めていくことが重要である。どのように配慮し取り組むのか伺う。

A桑原社会教育課長 地域社会との連携について。性的マイノリティーに対する理解が十分ではない周囲からの言動は、悩みや不安を持つ人の心を大きく傷付けることから、地域全体で、性的指向や性自認に関する偏見に基づく言動やアウティングによる被害がないよう、互いの違いを認め合い、共に支え合う望ましい人間関係の構築が必要である。

 こうしたことから、道教委では、市町村教委や学校職員をはじめ、社会教育関係団体等を対象に人権教育指導者研修会を実施し、その中で「LGBTへの理解を深める」といったテーマにも取り組んでいるところ。

 今後は、地域の多くの方々に理解を深めていただき、互いの個性を尊重し、誰もが安心して暮らすことができるよう、研修会の対象者の拡大や内容の工夫により、地域におけるサポート体制の充実を図るとともに、道内市町村において実施している地域住民を対象とした性的マイノリティーに対する理解を深めるための事業や、関係機関・団体による取組等とも連携しながら、地域における理解促進に取り組んでいく。

Q渕上委員 学校で性的マイノリティーに関する取組を進めるに当たり、また、家庭内での理解の促進という点からも、保護者の理解を得ることは重要である。

 例えば、一部の地域では、保護者と教職員の学習会の中で性的マイノリティーについて取り上げ、理解の促進をしている。

 保護者の理解の促進にどのように取り組むのか伺う。

A山上生涯学習推進局長 保護者の理解の促進について。道教委では、性的マイノリティーに対する教職員の理解を深めることはもとより、保護者の理解や相談対応の充実を図ることも重要であると考えており、これまでも、各管内で実施している生徒指導研究協議会において、教職員と保護者が理解を深めたり、対応の充実を図るための協議を行うなどの取組を進めてきたところ。

 道教委では今後も、多様さを持つ子どもたちへの理解や支援について学ぶ機会がより多くの場面で展開されるよう、PTA連合会や市町村教委に対して働きかけるとともに、子ども相談支援センターに寄せられる電話の中には、保護者に打ち明けられず、悩み苦しんでいる児童生徒からの相談もあるなどの実態も見受けられることから、全ての保護者に対して必要な情報を提供し理解を深めるための家庭向け啓発資料を作成し、PTA研修会等における活用を促進していく。

Q渕上委員 学校内にLGBTQに関するポスターが貼ってあるだけで、あるいは、多様な性の在り方に関する本などが図書館や保健室などに置いてあるだけで、当事者の自己肯定感や安心感につながり、学校全体の理解の促進につながる。

 全ての道立学校に、性的マイノリティーに関するポスターや本などの設置を求める。所見を伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) 啓発資料の設置について。学校においては、児童生徒が互いの違いを認め合い、共に支え合う望ましい人間関係を育む取組を進め、性的マイノリティーとされる児童生徒が安心して学べる環境づくりを進めていくことが大切である。

 道教委としては、啓発資料の作成、配布などを通じて、性的マイノリティーに対する教職員の理解を深め、配慮が必要な児童生徒への適切な支援に取り組んでいるところ。性的マイノリティーなど人権啓発に関わる国や自治体が作成したポスターやリーフレットのほか、各学校で購入した図書を学校図書館や保健室等に設置するなど、その取組の必要性を各管内で実施する生徒指導研究協議会等で周知し、各学校において児童生徒が直接、目に触れる環境づくりが行われるよう努めていく。

P渕上委員 ポスターや図書などが学校にどの程度配置されているか、今後、把握していただきたい。そして、全ての学校に行きわたるようにすることを求める。

Q渕上委員 道はことし3月、企業や団体、自治体の職場の方々が、性の在り方の多様性を理解し、認め合う職場づくりに活用するために、にじいろガイドブックを作成した。あらゆる場を通じて人権啓発を推進するとあり、学校も例外ではない。

 このガイドブックを活用した取組が進めば、教職員をはじめ、学校全体の理解促進につながるばかりではなく、当事者の教職員の離職防止、教職員を志す当事者に勇気をもたらす。ガイドブックをどのように活用していくのか伺う。

A山本総務政策局長 にじいろガイドブックの活用について。一人ひとりが性の在り方の多様性について認識し、学校、家庭、地域社会など、あらゆる場において理解を深めることは重要と考えている。

 このガイドブックでは、性の在り方の多様性や、職場で理解を深めることの重要性、雇用主の取組例などが示されており、道教委では、全ての道立学校および市町村教委に周知し、活用を促したところ。

 道教委としては引き続き、ガイドブックや教職員向け研修資料などを活用し、全ての教職員が各学校で実施する校内研修や、初任段階、中堅教諭、新任管理職などを対象とした研修会など、様々な機会を通じて性的マイノリティーや性の多様性に対する正しい理解を深められるよう、誰もが自分らしく生きられる社会づくりに向けた取組を進めていく。

Q渕上委員 北海道人権施策推進基本方針の中で「人権教育を推進するための研修の実施など、人権に配慮し、一人一人の個性を尊重する教育の充実に向けた取組を推進します」とある。

 幼いころから多様な人に慣れ親しむことができるような玩具や絵本が近くに置いてあることでも理解が深まるのではないか。

 道は、就学前の一人ひとりの個性を尊重する教育についてどのように取り組むのか伺う。

A池野教育部長 個性を尊重する教育の充実について。幼稚園や保育所などの幼児教育施設においては、幼児が自分と異なる様々な個性を持った友達と接することを通して、互いの感じ方や考え方、行動の仕方などに関心を寄せ、それらが行き交うことによって、それぞれの違いや多様性に気付き、認め合うようにすることが大切である。

 道教委としては、こうした幼児期の発達の特性を踏まえ、性的マイノリティーに対する理解や、特別な配慮を要する子どもへの対応、子どもの良さや可能性を見いだす保育者の関わりなど、幼児一人ひとりの個性の尊重につながる保育の在り方に関する園内研修用の資料を提供することなどを通じ、幼児期から全ての子どもたちが互いの多様性を認め合い、共に支え合う人間関係を育むことができる教育の推進に努めていく。

(道議会 2022-10-19付)

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