道議会質疑予算特別委員会(6月28日)
(道議会 2022-10-21付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼滝口直人委員(自民党・道民会議)

▼松本将門委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼池野敦教育部長

▼唐川智幸学校教育監

▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長

▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼村上由佳特別支援教育担当局長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長

▼伊賀治康教職員局長

▼荒川裕美教育政策課長

▼山城宏一高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育)

▼髙橋宏明学力向上推進課長兼ICT教育推進課長

▼今村隆之健康・体育課長

▼泉野将司生徒指導・学校安全課長

▼山下幹雄教職員課長

◆ヤングケアラー

Q滝口委員 ことし4月に北海道ケアラー支援条例が施行され、家族の世話をしているケアラー、ヤングケアラーについて、早期発見や相談体制の確保、支援のための地域づくりに向けた取組が始まっている。

 ヤングケアラーを早期に発見するためには、日ごろから子どもたちと関わりのある教職員が、ヤングケアラーについて理解し、子どもたちの状況の把握に努めることが重要と考える。

 教職員の理解を一層深めるためには、ヤングケアラーへの対応について具体的なケースを想定した事例集を作成、活用するなど、教職員に対し周知を図っていく必要がある。どのように取り組む考えなのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 教職員への啓発について。道の条例では、教職員は、ヤングケアラーの状況を確認し、支援の必要性を把握することや、教育等に関する相談に応じるよう努めるとしており、教職員は、ヤングケアラーに関する知識や実情、支援の在り方などについて理解を深めることが重要である。

 道教委は本年度、新たに作成した教職員向け研修資料をはじめ、児童生徒の学校での様子や家族の状況などからヤングケアラーを早期発見するための項目を示したアセスメントシートを各学校に配布し、その活用促進に取り組んでいる。

 今後は、こうした取組に加えて、ヤングケアラーへの具体的な支援をもとに、スクールソーシャルワーカーを講師としたオンデマンド研修資料を作成し、全ての学校に提供するなどして、教職員の一層の理解促進に取り組んでいく。

Q滝口委員 9月14日には、道が江別市内にヤングケアラー専門の相談窓口を新設した。道教委としては、こうした子どもたちへの対応にどのように取り組んでいるのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 ヤングケアラーへの対応について。道教委では、児童生徒が家族に関する不安や悩みを気兼ねなく相談できるよう、24時間対応の電話、メール相談、SNSによる相談はもとより、5月には、1人1台端末等を活用した相談窓口を新設し、ヤングケアラーに関する相談ができることを周知するなど、相談機会の拡充に努めてきた。

 また、ヤングケアラーの中には、家族の世話をすることにやりがいを持ち、悩みや不安を自覚していない児童生徒もいることを踏まえて、道教委としては、夏季休業前には、学校を通じて配布する各種相談窓口の紹介リーフレットに、ヤングケアラーの実情や、不安、悩みの具体例を掲載するなど、相談窓口の活用促進に取り組むとともに、道関係部局と連携協力し、ヤングケアラー専門相談窓口の周知や、オンラインによるヤングケアラー同士の交流機会の活用を促すなど、児童生徒の不安や悩みを受け止められるきめ細かな支援体制の構築に取り組む。

Q滝口委員 学校では、ヤングケアラー本人の意向を踏まえながら、福祉や介護、医療など、市町村の関係機関による支援に確実につなぐことが必要だ。

 学校が関係機関と連携した支援を円滑に行うことができるよう、道教委としては、学校に対しどのように支援をしていくのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 学校と関係機関との連携について。学校が、ヤングケアラーと思われる児童生徒を福祉、医療、介護などの関係機関に適切につなぐためには、スクールソーシャルワーカーとの連携が重要である。

 道教委では、児童生徒や学校の実情に応じてスクールソーシャルワーカーを派遣できるよう、本年度から、アウトリーチ型の派遣によって積極的に学校支援するとともに、スクールソーシャルワーカーの一層の配置拡充に向け、国に継続して財政措置を講じるよう強く要望していく。

 また、関係部局の協力を得て、学校、教育委員会を対象とした関係機関との連携等に関するガイドラインを作成・配布することとしており、今後は、こうしたガイドライン等も活用し、各学校において適切に関係機関との連携体制が構築されるよう、学校や市町村教委に指導助言していく。

Q滝口委員 ことし4月、国が公表した小学生を対象に実施した調査の結果では、小学校6年生のうち6・5%が、世話をしている家族がいると回答したことが明らかになった。

 道においても本年度、小学校5・6年生を対象にした調査を予定しているが、昨年行った中学生、高校生を対象とした調査でも、ヤングケアラーが一定程度いることが明らかになった。

 道教委として、ヤングケアラー本人の置かれた状況に応じた支援が適切に受けられるよう、どのように支援に取り組むのか伺う。

A唐川学校教育監 今後の取組について。道が実施した実態調査では、小学生のころから家族の世話を始めたと回答した中学生、高校生がいることから、ヤングケアラーは小学校段階から一定程度いるものと認識しており、今後実施する小学生の実態調査において、さらに実情が明らかになるものと考えている。

 今後、道教委としては、道内4ブロックに、市町村教委や関係機関等で構成する連絡協議会を設置し、道の有識者会議による実態調査の分析等を踏まえたヤングケアラーの実情や支援の現状、学校と関係機関等の連携上の課題などを共有するとともに、道関係部局が児童相談所の圏域ごとに配置するヤングケアラーコーディネーターとの連携協力を強め、関係部局と一体となって、児童生徒の実態に応じたきめ細かな支援体制の構築に取り組んでいく。

◆学校給食の物価高騰対策

Q滝口委員 現在の物価高騰によって、われわれの生活に与える影響も極めて深刻であり、大変大きな課題となっている。

 学校給食にも大きな影響があると思うが、現在、学校給食に与える影響について道教委の認識を伺う。

A今村健康・体育課長 物価高騰による影響について。先般、総務省が公表したことし4月における北海道の食料の消費者物価指数は、前年同月対比で4・6%上昇しており、昨年4月のマイナス1・3%から上がっているなど、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で物価高騰が進んでおり、学校給食費への影響が懸念されるものと認識している。

Q滝口委員 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用について、4月当初に国から通知があったものと承知しているが、当該交付金の概要や活用可能な対象事業について伺う。

A今村健康・体育課長 臨時交付金の概要および活用事業について。当該臨時交付金は、各自治体において新型コロナウイルス感染症の対応を行う中で、国の施策ではカバーし切れない地域の実情に応じた取組を実施するための財源に充てるものとしており、対象事業として、感染症対応や雇用維持、事業継続等に関するものなどとしている。

 こうした中、長引くコロナ禍によって、物価高騰による学校給食への影響や、やむを得ず値上げを検討せざるを得ない状況が考えられることから、ことし4月5日の文科省からの通知において、地方公共団体の判断によって、保護者の負担軽減を図るため、高騰する食材費の増額分の負担の支援など、学校給食の円滑な実施のための事業について本臨時交付金の活用が可能であることが示された。

Q滝口委員 今回の予算には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した事業費を計上している。道教委では、道立学校に対しどのように対策を講ずるのか伺う。

A中澤指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長 道立学校への取組について。道立学校では、特別支援学校および中等教育学校における学校給食、高校の定時制課程における夜間学校給食を実施している。道教委としては、これらの学校給食について、現在の物価高騰下においても栄養バランスや量を保った安全、安心な学校給食の実施が継続できるよう、当該臨時交付金を活用し、食材費の増額分の学校給食費を各学校に支援することによって、保護者の負担軽減を図っていく。

Q滝口委員 学校給食は、設置者の責任によって実施するものとなっているが、道教委としては、市町村に対し学校給食費における保護者負担の軽減に関する取組の推進に向け、取組の実施を促すべき。

 市町村に対しどのように対応してきたのか、また、今回、市町村の当該交付金を活用した取組状況について調査を行っていると聞いているが、その結果についてどのような状況であったのか伺う。

A今村健康・体育課長 市町村の取組状況等について。道教委としては、各市町村に対し、国からの通知を速やかに周知するほか、道教委が道立学校への対応を検討する際に作成した資料を提供するとともに、都市教育委員会連絡協議会、町村教育委員会連合会の協力のもと、市町村の積極的な検討を促してきた。

 また、道教委では、市町村の対応について過日調査を行ったところ、ことし、既に学校給食費に係る保護者等の負担軽減策を実施しているのは47市町村で全体の26・3%、今後、当該臨時交付金を活用した事業の実施を予定しているのは69市町村で全体の38・5%、実施を予定していない、または未定と回答したのは63市町村で全体の35・2%であった。

Q滝口委員 実施を予定していない、または未定と回答した市町村については、学校給食費に大きな影響が生ずるのではないかと懸念される。

 実施を予定していない、または未定と回答した市町村の理由について伺う。

A今村健康・体育課長 市町村における取組予定について。現時点では、学校給食費の負担軽減対策を予定していない、または未定と回答した63市町村の理由について、今後の物価動向を注視しているという回答が40市町村、庁内で検討中または関係部署と調整中という回答が9市町村、当面は十分な予算を確保しているという回答が7市町村、その他として、臨時交付金を活用せず、市町村費で対応を行うなどの回答が7市町村となっている。

 道教委としては、これらの市町村について、引き続き、取組状況の確認を行うとともに、今後の物価高騰等の状況を踏まえ、適切な対応が行われるよう、必要な情報提供を行いながら指導助言に努めていく。

Q滝口委員 現在の物価高騰の状況については、今後も当面続くことことが懸念されている。

 道教委としては、道立学校や市町村の取組について、今後どのように対応していくのか伺う。

A倉本教育長 今後の対応について。学校給食は、栄養バランスの取れた豊かな食事を提供することで、子どもたちの健康な体をつくることはもとより、食に関する指導を効果的に進めるための教材としても重要な役割を担っている。

 道教委としては、コロナ禍によって物価高騰等が進む中、これまでどおり栄養バランスや量を保った学校給食が提供されるよう、国の総合緊急対策を踏まえ、引き続き、道立学校における学校給食に対する保護者の負担軽減に取り組むとともに、都市教委連や町村教委連の協力もいただきながら、市町村の取組状況に応じて必要な指導を行うなど、国や各市町村、各学校と連携し、保護者の負担軽減と安全・安心な学校給食の提供に努めていく。

P滝口委員 物価高騰がいつまで続くのか見通しがつかない中、保護者負担の軽減などに適時適切な対応策を実施していただくようにお願いする。

◆高校におけるCS導入

Q滝口委員 平成16年の地教行法改正によって制度化されたコミュニティ・スクール(CS)は、29年の改正によって学校運営協議会の設置が努力義務とされた。

 CSは、教育課程の改善充実や特色ある学校づくりなど、開かれた学校運営に大きな効果があり、導入数は29年以降、全国で飛躍的に増加している一方、自治体間や学校種間で取組の差があることが指摘され、教育委員会が計画を策定し、積極的に導入に取り組むことが求められている。

 道内における小・中学校、道立高校および特別支援学校におけるCSの導入状況について、全国の状況と併せて伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) CSの導入状況について。令和3年5月1日現在、札幌市を除く公立小・中学校および義務教育学校では1246校中999校で、道立高校および中等教育学校では192校中24校で、道立特別支援学校では67校中18校で導入されている。

 また、導入率を全国平均と比較すると、小・中学校等については全国平均37・3%に対し本道は80・2%、高校等については全国平均22・8%に対し12・5%、特別支援学校については全国平均26・0%に対し26・9%の状況となっている。

Q滝口委員 学校を取り巻く課題は山積しており、保護者や地域住民等が学校運営に参画する体制を保障するCSの導入は、社会に開かれた教育課程の実現に資する取組であると考える。小・中学校に比べ、より学校区が広範な高校への導入にはどのような意義があると考えているのか。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 高校への導入の意義について。高校においては、社会の形成に主体的に参画するための資質・能力の育成が求められていることから、生徒が多様な大人との関わりの中で地域とつながり、地域の中で学ぶ場を広げていくことが重要である。

 道教委としては、学校区が広範囲にわたる高校においても、学校と保護者や地域住民などの多様な関係者が教育目標や課題を共有するとともに、達成や解決に向けた協議を行い学校運営に参画するCSの導入は、学習指導要領が目指す、社会に開かれた教育課程の実現につながるものと考えている。

Q滝口委員 小・中学校に比べて高校への導入が進んでいない。これまで、道内の道立高校への導入について、どのような考え方で進めてきたのか伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) 道立高校への導入の考え方について。道教委では、平成29年7月に学校運営協議会の設置の基本方針を策定し、地域創生の観点から、道立高校が所在する市町村内の小・中学校や地域と連携協働した取組を実施していること、所在する市町村内の全ての小・中学校が学校運営協議会を設置していること、当該市町村内に道立高校が1校である学校を優先することなどを要件に導入を進めてきた。

 また、令和元年には、同一市町村内に道立高校が複数ある場合の取り扱いとして、あらかじめ学校が設定した地域内の全ての小・中学校が学校運営協議会を設置していることとの要件を新たに基本方針に明記し、都市部の道立高校への設置に向けた検討も進めている。

Q滝口委員 これまでCSを導入してきた道立高校では、どのような成果があり、どのような点が課題となっているのか。

 また、今後、問題解決に向けてどのように取り組むのか、併せて伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) 導入した高校での成果と課題について。導入校を対象としたアンケート調査の結果では、全ての学校から、CSの導入によって地域と学校が育成したい生徒像を共有できるようになった、あるいは、地域と連携した地元の行事への参加やボランティア活動などの取組を組織的に行えるようになったとの回答があり、地域と一体となった学校運営について一定の成果が得られている。

 一方、運営上の課題に、協働して学校運営に参画できる当事者意識を有した人材の確保、学校教育活動の地域住民への周知方法の工夫改善、学校運営協議会を円滑に運営するための校内体制の整備などが挙がっている。

 道教委としては、こうした課題を踏まえ、高校が所在する市町村だけではなく、通学可能な圏域を立地上の地域として捉えて行う人材発掘や、市町村の首長部局との連携による地域住民への情報発信、学校運営協議会の効率的な運営などについて、各種会議や指導主事、社会教育主事の学校訪問等を通じ、学校の実情を踏まえた助言を行う。

Q滝口委員 特別支援学校では高校に比べて導入が進んでいるが、これまでにCSを導入した特別支援学校ではどのような成果があったのか、また、今後どのように取り組むのか。

A村上特別支援教育担当局長 特別支援学校の状況について。CSを導入している学校では、地域の清掃等のボランティア活動を通じた地域住民との交流や、商店等との連携による職場体験先の拡充などによって、児童生徒の自立と社会参加に向けた企業等とのつながる機会が拡充されるとともに、障がいのある児童生徒に対する地域への理解促進が図られている。

 今後は、学校管理職を対象とした会議や、指導主事による学校訪問の機会等を活用し、卒業後を含めた児童生徒の学習や生活について、CSの活動を通して地域と共有していくことの重要性や、既に導入している学校や地域の成果を広く普及するなど、全ての特別支援学校における早期の導入促進、ならびに導入校のさらなる教育活動の充実に向けて、引き続き取り組んでいく。

Q滝口委員 これまで導入が進んでいない高校への計画的な設置の促進が求められる。

 道教委としては、今後、道立高校へCSを積極的に導入することを通じて、地域に開かれた高等教育の一層の充実に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。

A唐川学校教育監 高校における今後の取組について。CSは、教育課程の改善充実や特色ある学校づくりなど多くの効果があり、地域と学校の連携・協働を強化するために有効な手立てとして、一層導入を進める必要がある。

 道教委としては、今後、これまで設置の基本方針として示してきた、市町村内の全ての小・中学校がCSを導入していることなどの要件の見直しを行い、総合的な探究の時間などの指導では、多様な方々の参画が大切であることから、地域を問わず道立高校にCSを導入する必要があると考えており、高校教育、社会教育、義務教育を所管する各教育局の指導班が連携してきめ細かな支援に取り組みながら、各高校で導入に向けた検討を加速する。

◆教員確保

Q滝口委員 ことし1月、文科省は、昨年4月の学校始業日時点で、全国の小・中学校、特別支援学校で合わせて2500人以上の教員が不足していたとの調査結果を公表した。

 道内における教員の欠員について、前年度と本年度、年度当初はどうだったのか、また、直近の欠員の状況はどうなっているのか伺う。

A山下教職員課長 欠員の状況について。札幌市を除く道内において、産休や育休の代替教員などを補充できない欠員は、昨年4月1日現在で、小学校22人、中学校13人、高校0人、特別支援学校3人、合計38人となっている。

 ことし4月1日現在では、小学校31人、中学校16人、高校6人、特別支援学校7人、合計60人となっている。

 また、直近の6月1日現在では、小学校16人、中学校11人、高校2人、特別支援学校1人、合計30人となっている。

Q滝口委員 年度当初の欠員によって、学校運営への支障が懸念されている。特に1人しかいない養護教員が不在の場合は、児童生徒が安心して学校生活を送ることができない。

 こうした欠員が生じている原因はどこにあるのか、また、欠員が生じている事態をどのように受け止めているのか伺う。

A伊賀教職員局長 欠員の原因などについて。年度当初の欠員は、自己都合による急な退職や児童生徒の転校に伴う急な学級増、その後の病休等で休職する者や産休、育休を取得する者などの発生で補充が必要となる中、教員を希望する者の減少などによって、新たな教員の確保ができないことなどから生じている。

 教員の欠員は、教員1人当たりの業務負担が増し、長時間勤務や子どもと向き合う時間の減少を招くほか、教頭が授業や校務分掌を担当することになるなど、健全な学校経営に影響を及ぼすものと考えていることから、欠員の解消は喫緊の課題であると認識している。

Q滝口委員 道教委としては、欠員解消に向けて、これまでどのような取組を行ってきたのか伺う。

A山下教職員課長 欠員の解消に向けた取組について。道教委では、ハローワークやホームページ、ユーチューブ、民間の就職情報誌やウェブサイトなどを活用して教員の募集に取り組んでいるほか、本道の魅力や現職教員の声などを伝えるポスターやパンフレットを作成し、全国の教員養成大学等に配布してきた。本年度は新たに道内外の教員養成課程のある大学、退職校長会、校長会などの関係団体を訪問し人材の紹介を依頼するなど、教員確保に取り組んできた。

Q滝口委員 4月28日に開催された都道府県・指定都市教育委員会教育長会議で、文部科学大臣から各都道府県に対して、教員の不足への対応について依頼があったと聞いているが、その内容について伺う。

A山下教職員課長 文科大臣からの要請について。4月28日にオンラインで開催された都道府県・指定都市教育委員会教育長会議において、文科大臣から、教員不足への対応について、特別免許状による多様な活用、退職教員の活用、地元の教員養成大学等との連携協力、教員採用選考検査の改善など、あらゆる手段を通じて教員の確保に取り組むよう依頼があった。

Q滝口委員 専門的な知識や技能を持つ社会人に免許を付与できる特別免許状制度だが、道内の過去3年間の発行件数と主な事例について伺う。

 また、普通免許状を有する者を採用することができない場合に交付している臨時免許状の過去3年間の発行件数と主な事例について、それぞれ伺う。

A山下教職員課長 特別免許状および臨時免許状の発行件数などについて。札幌市を除く公立学校に係る特別免許状の発行状況は、令和元年度は、高校の福祉、特別支援学校の自立活動でそれぞれ1件、2年度は、小学校の英語で3件、3年度は、小学校の理科と英語で各1件、中学校の理科で1件、高校の理科、農業で各1件、看護で2件の計7件、臨時免許状の発行状況については、令和元年度174件、2年度163件、3年度196件となっている。

 また、主な事例として、特別免許状は、病院で勤務経験のある看護師に高校の看護、獣医師の方に高校の農業、理学療法士に特別支援学校の自立活動の特別免許状を授与しており、臨時免許状については、小学校における欠員対応として、中学校教諭の普通免許状を所持する者に、小学校の臨時免許状を授与している。

Q滝口委員 欠員が解消されない状況の中で、今後も産休代替や育児休業、病気休暇の代替の教員が必要となってくると考える。教員確保についてどのように対応していくのか伺う。

A池野教育部長 今後の欠員解消の取組について。道教委では、様々なメディアの活用や大学への訪問による要請などの取組によって、欠員を解消するための教員の募集を行ってきたが、解消に至っておらず、一層の取組が必要である。

 こうした中、ことし7月から教員免許更新制が発展的に解消され、これまで免許が失効、休眠状態になるなど任用できなかった方々も、この制度の改正によって、失効されている方は申請によって休眠状態の方は手続不要で任用できるようになることから、退職教員や失効した免許状を保有する社会人の方々などに、道の広報を活用するなど様々な方法で保有免許の取り扱いについて周知するとともに、臨時免許状をはじめとする教員免許制度を有効に活用していくなど、欠員解消に向けた取組を進めていく。

Q滝口委員 令和5年度の北海道の教員採用選考検査の志願者は、昨年より69人少ない2667人にとどまっており、減少傾向が続いている。

 今後の教員確保に向けて、道教委としてはどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 教員確保の今後の取組について。優秀な教員の確保は、学校教育の質の維持向上を図る上で大変に重要であり、教員が生き生きとやりがいを持って働くことができる職場環境の整備を一層進めるとともに、より多くの方が教員採用選考検査を受検しやすい環境を整備するほか、教員を志願する方々を増やすため、教職の魅力を効果的に発信していくことが必要と考えている。

 このため、道教委では、教員採用選考検査で登録された方々に、採用までに知りたいことを伺い、それに対する情報提供や勤務地の配慮が必要な方への対応等を検討するなど、教員採用選考検査の一層の見直しに取り組むほか、働き方改革の取組を加速させ、成果を広く発信するとともに、高校生や大学生といった将来の教育を担う方々に、教職の魅力を伝えるための小・中学校等での草の根教育実習やインターンシップの取組の充実に努めるとともに、本年度から高校生を対象に、教員になるための素養や意欲を高める学校独自の新たな教科・科目の北海道教員基礎コースを設置するなど、市町村教委や教員養成大学などの関係団体と連携して、教員の確保に全力を挙げて取り組んでいく。

◆道立高校のICT活用

Q滝口委員 道立高校におけるBYODについては、ことし4月に入学した1年生からの活用開始に向けて、生徒や保護者への周知など導入に向けた準備を進めてきたが、全国的な半導体不足で学校が推奨する端末の在庫が十分ではなく、入学に間に合わなかった例があると聞いている。

 道立学校での1人1台端末の導入状況はどのようになっているのか、また、その端末を活用してどのような学習活動を行っているのか伺う。

A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 道立高校における端末の導入状況等について。本道の道立高校では、本年度の新入学生から、生徒の個人所有の端末を持ち込むBYOD方式によるICTを活用した授業を行っている。

 5月末現在で、1年生が在籍する道立高校190校中138校において、学校が端末をあっせんするなどして、全ての1年生が個人端末を所有しているが、在庫不足などの理由によって、まだ所有していない生徒がいる高校では、当面、学校所有の端末を貸し出すなどして端末を活用した授業を開始しており、こうした学校においても、8月末までに1人1台端末の環境が整う予定となっている。

 端末の授業での活用状況は、例えば、クラウド上に小テストを保存し端末で実施している例や、グループ学習において、生徒の意見を端末に入力し生徒同士が共有している例のほか、インターネットを用いた情報の収集や、生徒の活動状況等を画像や動画等によって記録するなどの活用が行われている。

Q滝口委員 道教委では、本年度から新たにGIGAスクール運営支援センター整備事業をスタートさせた。この事業によって、どのように道立学校を支援し、どのような成果を期待しているのか、これまでの実績と併せて伺う。

A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 GIGAスクール運営支援センターについて。道立高校の1人1台端末の導入等に伴い、ICTの利活用促進に向 た支援を強化するため、GIGAスクール運営支援センター整備事業によって、ことし5月から、ヘルプデスク=GIGAトラブル相談センターを設置し、教職員を対象とした専門事業者によるサポートを実施している。

 5月末現在で、ヘルプデスクには、アプリの使用方法や端末のワイファイ接続設定方法、端末の故障修理に関することなど122件の相談があり、トラブルへの対応等を行っている。

 道教委としては、本事業によって、教職員が児童生徒から受けた相談や操作上の疑問など、1人1台端末の活用に伴う日常的なサポートを行うことと併せて、相談事例に関する主な質問とその回答を掲載したサイトを開設して情報提供することなどを通し、道立学校における主体的、対話的で深い学びの実現に向け、ICTを効果的に活用した授業の実施を期待している。

Q滝口委員 学習の基盤となる資質・能力の一つとして新たに位置付けられた情報活用能力を育成するためには、指導に当たる教員のICT活用指導力の向上が不可欠である。そのための教員研修の充実が重要な課題となっている。

 道教委では、ICT機器の効果的な活用に向け、教員のICT活用指導力のさらなる向上のために今後どのように取り組んでいくのか伺う。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 教員の指導力の向上について。道教委では、教員を対象にICTを活用した授業づくりなどのICTの活用に関する研修を実施してきたほか、ICT活用指導者養成研修の実施や、学校に対して研修コンテンツを提供するなど支援に努めている。

 前年度実施した道立高校の教員を対象とした調査では、授業にICTを活用して指導することができると回答した教員が35%であり、今後、全教員が授業でICTを活用することができるよう、学校や個々の教員の指導の状況に応じて効果的でかつ希望する時間に研修を行うことができるオンデマンドによる動画の配信など、研修の充実を図ることが必要と考えている。

 道教委としては引き続き、ポータルサイトの研修動画や教科別の事例による研修プランを活用するとともに、指導者養成研修を受講した教員を講師とした校内研修を促進することなどを通じて、各学校で短時間で効果的に研修を実施できる環境を整備し、教員のICT活用指導力のより一層の向上に取り組んでいく。

Q滝口委員 道立高校の1人1台端末が実際にどのように活用されているのか、その状況を把握し、それぞれの成果や課題を明らかにした上で、適切に指導していくことが必要だ。

 道教委としては、今後、ICTを活用した高校教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。

A唐川学校教育監 今後の取組について。情報化の加速度的な進展に伴い、生徒が必要な情報や情報手段を主体的に選択、活用し、新たな価値を創造する力を身に付けることが重要である。

 道教委としては今後、各道立高校に対して、校長会と連携し、活用状況に関するアンケートの実施や、指導主事等の学校訪問を通じて、各学校における1人1台端末を活用した授業の実施状況等を把握するとともに、成果や課題を検証し、優れた事例の提供や、課題に応じた効果的な校内研修の実施を促すなど、生徒の学びの質を高めるためのICTを効果的に活用した個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進め、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を加速させながら、高校教育の一層の充実に努めていく。

◆時間講師の処遇改善

Q松本委員 道立高校に勤務する時間講師の採用人数、地域的特徴、そして受け持ち教科など、直近の雇用実態について伺う。

A荒川教育政策課長 時間講師の人数および担当教科について。道立高校では、体育実技で専門的な指導を要する場合や、芸術教科で多様な科目を開設する場合など、教育課程を展開する上で学校が必要とする際に教職員定数の一部を活用して時間講師を任用している。

 ことし5月1日現在の配置数は126校、507人であり、市に所在する高校では97校、453人、町村に所在する高校では29校、54人となっている。

 また、担当教科については、多い順から、保健体育、外国語、社会、理科となっている。

Q松本委員 教員数全体や配置されている学校数に占める割合はどのようになっているのか。加えて、時間講師に係る年間予算額の推移についても伺う。

A荒川教育政策課長 時間講師の雇用の状況について。ことし5月1日現在の教員数における時間講師の割合は約8%、全道立高校中、時間講師が配置されている学校の割合は約78%となっている。

 また、時間講師を配置するための予算は、平成27年度は約3億3000万円、令和4年度は約3億円となっている。

Q松本委員 時間講師の勤務時間、報酬などの労働条件、就業の実態について伺う。

A荒川教育政策課長 勤務時間数および報酬額について。道立高校で時間講師を任用する際には、任用、給与、その他の身分の取り扱いなどを定めた非常勤講師設置要綱をあらかじめ提示した上で任用することとしており、勤務時間数については、勤務校の校長が定める時間、報酬額は、勤務時間1時間につき2800円としている。

 ことし5月1日現在において、1人の時間講師が1校で勤務する平均勤務時間数は、市に所在する高校で週5・5時間、町村に所在する高校では週4・4時間となっている。

Q松本委員 この単価は、6年前の質問で取り上げたときと同額だと思うが、この時間単価2800円という金額はいつから設定されたものなのか伺う。

 また、本人に対して、この労働条件などはどのように通知しているのか、併せて伺う。

A荒川教育政策課長 任用条件の根拠と通知方法等について。時間講師の任用条件については、道教委会計年度任用職員の取扱要綱および非常勤講師設置要綱において、任用、給与、勤務時間、休暇等の取り扱いに関し必要な事項を定めている。

 また、報酬額は、平成17年度に、類似する職との均衡を図った上で、2800円と定めた。

 任用予定者に対する報酬額および勤務時間などの任用条件については、任用予定の学校の管理職員が説明している。

Q松本委員 報酬が時間単価で設定されていることを踏まえると、勤務時間の対象となる業務がどのように規定されているのかが重要になってくる。

 当然、実際に担当する授業以外にも関連する業務が対象になっていると思うが、まずは基本的な取り扱いについて伺う。

A荒川教育政策課長 勤務時間の対象となる業務について。道立高校の時間講師の勤務時間は校長が定めることとしており、担当する授業時間のほか、担当する授業と密接な関連があり、かつ、他の教員に行わせることが適当でないと校長が判断し、勤務を命じた時間を勤務時間の対象としている。

 例えば、定期試験の作成、採点、成績評価等の時間、特別活動の補助的業務の時間、進学講習を除いた補習授業の時間といったものについては、勤務時間の対象としている。

Q松本委員 2年2月ころから始まった新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大の影響によって臨時休業となった際、一部混乱した状況なども踏まえ、2年3月に各市町村教委などに対して、取り扱いを周知徹底したと思っている。

 現在、新型コロナウイルス感染症は一部落ち着きを見せているものの、全体的な対応ではなく、一部の学校などでは、感染者数や濃厚接触者の状況に応じて学級閉鎖など部分的な休業措置を取る場合もあると思う。現時点における取り扱いなどはどのようになっているのか伺う。

A荒川教育政策課長 臨時休業に伴う対応について。休業期間における、既に勤務を命じている勤務日および勤務時間の取り扱いについては、講師本人と十分協議の上、授業準備や成績評価など、担当する授業と密接に関連する業務に変更した上で、勤務に従事させる対応を行うことなどの取扱いを継続している。

P松本委員 時間講師本人と十分協議した上で決定し、時間講師の方々に不利益が生じないよう、できる限り弾力的な取り扱いを行うべきである。引き続き、適切な対応を進めていただくよう求めておきたい。

Q松本委員 6年前の質疑の中でも生活実態を確認し、その当時、兼業している状況が報告されていた。現時点における兼業の実態はどのようになっているのか。

A荒川教育政策課長 時間講師の兼業の実態について。道立高校の時間講師は、所属長に対し届出を行うことで兼業が可能となっている。

 道教委としては、時間講師が道以外から得ている収入などについては把握していないが、学校の聞き取りによると、市に所在する高校の時間講師のうち45%が、また町村に所在する高校の時間講師のうち52%が、他の学校の講師などを兼業しており、兼業をしていない方の中には、年金受給者や控除対象配偶者等がいるものと承知している。

Q松本委員 時間講師に対する認識を示していただきたい。今後、継続して実態把握に努めて必要な見直し、改善に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。

A池野教育部長 今後の取組について。道立高校において時間講師は、単位数や履修科目を踏まえた教育課程の編成に沿って多様な教育活動を展開し、きめ細かで質の高い指導を行う学校教育活動を支えるための人材として必要であると認識している。

 道教委としては、今後も時間講師の任用に関し、他都府県の実態や類似する職の状況を把握するとともに、校長会から意見を伺うなど適切な対応に努めていく。

P松本委員 処遇改善に向けては、例えば、社会保険の適用の可否や、諸手当の改善に向けた検討、年休取得の促進なども含めて、時間講師の生活実態や職場環境などにも十分配慮した対応を積極的かつ速やかに進めるよう求める。

(道議会 2022-10-21付)

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