道議会質疑 予算特別委員会(6月28日)(道議会 2022-11-04付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼白川祥二委員(北海道結志会)
▼田中英樹委員(公明党)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼唐川智幸学校教育監
▼山本純史総務政策局長
▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼伊賀治康教職員局長
▼荒川裕美教育政策課長
▼新居雅人義務教育課長
▼今村隆之健康・体育課長
▼泉野将司生徒指導・学校安全課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
◆小中学生の不登校問題
Q白川委員 文部科学省によると、道内で2年度に不登校によって30日以上登校しなかった小中学生は、コロナ禍前の平成30年度比38%増の8873人と過去最多を更新している。コロナ禍の影響があるにしても増え方が多過ぎると思うが、その要因を含め、所見を伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 小・中学校における不登校について。本道の公立小・中学校の1000人当たりの不登校児童生徒数は、平成28年度が約13人だが、29年度は約15人、30年度は約18人、令和元年度は約21人、2年度は約25人と増加傾向が見られており、憂慮すべき状況である。
不登校になった要因としては、これまでは、SNSによる友人とのトラブル、学業不振による不安、生活環境の多様化による生活リズムの乱れなどが挙げられるが、2年度の調査では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響によって、学校生活において様々な制限のある中で、望ましい人間関係を築くことが難しい状況や、登校する意欲が湧きにくい状況などがこれまで以上に生じ、不登校の児童生徒数が増加したものと考えられる。
Q白川委員 コロナの影響で不登校の小中学生の増加が続く中、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持ち、子どもを支えるスクールソーシャルワーカーの活用が期待されている。
文科省によると、道内では、外部支援員らの指導の結果、2年度に不登校だった小学生の32・7%に当たる881人、中学生の31・4%に当たる1937人が再び登校できるようになったという。
道教委として、スクールソーシャルワーカーの配置に向け、積極的に取り組むべきと考える。所見を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 スクールソーシャルワーカーの配置等について。児童生徒の不登校の背景には、家庭での生活に関わる要因もあり、学校、教育委員会は、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーと連携して対応することは、大変効果的と考えている。
道教委では現在、国のスクールソーシャルワーカー活用事業によって、配置を希望した40市町に58人を配置するとともに、道教委でも16人を任用し、配置していない市町村からの派遣要請に対応している。
また、本年度からは、不登校児童生徒の実態に応じて、アウトリーチ型によって積極的にスクールソーシャルワーカーを派遣することとし、効果的な連携を進めているところである。今後も、市町村や学校が児童生徒や家庭の状況に応じて適切に対応できるよう、国に対し、スクールソーシャルワーカーの配置拡充に向けた財政措置を講じるよう強く要望していく。
P白川委員 スクールソーシャルワーカーを含めた外部支援員を積極的に活用しながら、学校以外でも人と人とが触れ合う場を充実させるなど、子どもの社会性を育む環境づくりも必要だということを指摘しておく。
◆教員研修
Q白川委員 5月、教員免許の有効期限を10年と定めた教員免許更新制を廃止するための改正教育職員免許法などの関連法が成立した。
文科省は、7月にも新たな研修制度の方針を示し、都道府県や政令市の教育委員会がテーマや受講頻度などを決めることになるが、その実施に向けて、各教育委員会は、教員の働き方改革に逆行することのないよう、教育現場の実態をよく精査し、実践的かつ過重な負担がかからない内容とすることが重要と考える。所見を伺う。
A中澤指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長 新たな研修制度について。子どもたちが必要な資質・能力を身に付けるためには、教員は絶えず研究と修養に努めることが重要であり、多忙な状況にある学校現場においては、限られた時間の中で、効率的に質の高い教員研修の機会を確保することが必要である。
そのため、道教委では、「学校における働き方改革―北海道アクション・プラン」を踏まえ、研修事業の精選を行うとともに、遠隔会議システムの活用やオンデマンド教材の配信によって、教員が勤務地を離れることなく、各教員の勤務実態に応じて受講できる仕組みを整備するなど、教員の負担を考慮しながら研修内容や実施方法の工夫改善に努めてきた。
新たな研修制度の実施に当たっては、引き続き、こうした取組を継続するとともに、学校の実態を踏まえ、教員の負担に十分留意しながら、今後、法改正を踏まえて示される国からの具体的な方針に基づき、教員の資質向上に向けた効果的な研修となるよう取組を進めていく。
Q白川委員 文科省は昨年12月、2年度に、わいせつ行為、セクハラなど、性的な言動が原因で処分を受けた公立小・中・高校などの教員が前年度と比べ73人減の200人、道内は8人減の8人と発表している。この結果について、同省は、依然高い水準にあると厳しい見方を示している。
こうした中、道内では、最近においても、3月には、教員による女性露天風呂ののぞき事件や校長室での女性への大声による責め立て事件による懲戒処分、さらには、6月、教頭による職員用女子トイレ盗撮事件などが続いている。
今、道教委には、新しい研修制度の前提として、まずは徹底した服務規律の確保が求められていると思うが、所見を伺う。
併せて、学校現場等におけるわいせつ行為や暴力行為などの人権侵害に対して、迅速かつ確実に対応していくためには、道教委独自の取組に加え、例えば、人権の専門機関である札幌法務局の人権擁護部などと人事交流を図るなど、そのノウハウを習得、蓄積するとともに、連携を図りながら、取組をステップアップしていく必要があるのではないか。
A山本総務政策局長 服務規律の確保について。児童生徒を指導する立場にある教職員が不祥事を起こした場合、児童生徒や保護者のみならず、地域住民の信頼を損ない、ひいては教育全体の信用失墜にもつながるため、教職員は、法令順守や綱紀の保持に努める必要がある。
札幌市を除く道内の教職員の懲戒処分件数は、平成26年度の208件から令和3年度の66件へと減少してきているものの、わいせつ事故や飲酒運転などの重大事故が依然として発生している状況であり、不祥事防止に向けたさらなる対策を講じる必要がある。
このため、道教委では、キャリアステージに応じた研修や各学校の職場研修を通じて、服務規律の確保に向けた取組を継続して行ってきているが、今後は、不祥事対策の専門家を研修等に招くなど、より効果的な講義などを通じて、教職員の意識改革を図り、不祥事の根絶に向けて取り組んでいく。
◆教科担任制
Q白川委員 小学校5・6年生を対象に、教科ごとに専門の教員が教える教科担任制が4月から始まっているが、算数、理科、外国語、体育の4教科が本格導入の対象とされたねらいについて伺う。
A荒川教育政策課長 教科担任制における対象教科の考え方について。国の、義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議による報告では、教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導と、中学校の学びにつながる系統的な指導の充実を図ることをねらいとして、教科担任制を取り入れることとし、対象教科の検討に当たっての観点として、グローバル化の進展やSTEAM教育の充実強化に向けた社会的要請の高まりを踏まえ、算数、理科、外国語が示され、体育については、子どもの体力向上に資することから、優先的に対象教科とすることが適当と示された。
Q白川委員 教科担任制の導入によるメリット、デメリットの概要を伺う。
A新居義務教育課長 教科担任制による効果等について。小学校高学年における教科担任制の効果としては、教科の専門性を身に付けた教員の指導によって授業の質の向上が図られること、学級担任以外の教員が指導に当たることによって児童一人ひとりの多面的な理解が深まることのほか、学級担任の授業準備の時間が確保され、より質の高い教材研究をすることができることなどが考えられる。
導入に当たっては、学級担任と連携して、児童の生活上の課題に応じたきめ細かな指導を行うとともに、各教科等との関連を図った教科等横断的な指導が損なわれないよう配慮した指導体制を構築する必要がある。
Q白川委員 今、急がれるのは、教科別の教員、いわゆる専科教員の確保だが、特に町村部の小規模校では、教員数が少ないことから体制づくりが難しい。
現在の確保状況とともに、今後の見通しについて伺う。
A山本総務政策局長 専科教員の確保に向けた今後の見通しについて。国の4年度予算では、教師の確保の観点を踏まえながら、対象とすべき教科の専科指導の取組を円滑に推進できるよう、4年程度をかけて段階的に進めることと示されており、道教委では、本年度、札幌市を除く道内の小学校において約270人の専科教員を配置した。
道教委としては、国の動向を踏まえながら、引き続き必要な専科教員の確保に努めるとともに、小規模校であっても効果的に専科教員を活用することができるよう、地域内の複数の小学校を単位として実施するなど、地域や学校の実情に応じた教科担任制の円滑な実施に向け、取り組んでいく。
◆高校の国語教育
Q白川委員 ことし4月からは、新しい学習指導要領によって、高校の国語教育で論理的・実用的な文章を重視する流れが鮮明になり、原則として、1年生で履修する必履修科目の「現代の国語」と「言語文化」によって、実用的な文章と文学的な文章を扱うものの、来年度以降の選択科目では、「論理国語」と「文学国語」とに切り分けられ、「文学国語」を選択しない生徒にとっては、小説などの文学作品に触れる機会が乏しいまま、高校を卒業する生徒が出てくる可能性が懸念されている。
教育現場からは、指導要領の見直しを含め、現実的で柔軟な対応を取るべきだという声が上がっているが、道教委の見解を伺う。
A唐川学校教育監 高校の国語教育について。学習指導要領の改訂に向けた中教審の議論で、これまでの国語教育においては、教材の読み取りが指導の中心になることが多い点などが課題として指摘されており、今般改訂された学習指導要領においては、話すこと・聞くこと、書くこと、読むことの各領域の指導が適切に行われるよう、教材については、文学的な文章を含む適切な話題や題材を精選し、必要に応じてバランス良く取り上げることが示された。
道教委としては今後、国語で的確に理解し、効果的に表現するなど、言語活動に必要となる多様な資質・能力の育成に向け、文学的な文章や論理的・実用的な文章をバランス良く取り扱い、想像力を働かせたり、論理的に考えたりすることのできる学習が十分行われるよう、各学校に対し、学習指導要領の趣旨を徹底し、国語教育の一層の充実に努めていく。
P白川委員 文科省は、文学作品の掲載が禁じられたわけではないと言うが、受験対策を重視する高校の多くが「文学国語」ではなく「論理国語」を選ぶ見込みで、これでは、文学作品の奥深い世界を味わう機会は減る一方で、若者の読書離れも進みかねない。
物事を読み解く力は、時代や分野を問わず、幅広い素材で学ぶことで深まる。古今東西の作品から様々な価値観を知ることが、グローバル化への対応には欠かせないということを指摘する。
◆部活動地域移行
Q白川委員 中学生の運動部活動の在り方を巡って、6月、スポーツ庁の有識者会議が、休日の指導を民間のクラブや外部の人材に移行させることを柱とする提言をまとめた。
指導者から用具の準備まで全てを校内で賄う自前主義にこだわらず、地域との連携を目指す方向性に異論はないが、提言は、学校施設の利用ルールの策定といった比較的簡単な話から、競技大会の整理、高校入試改革や教員採用の見直しまで多岐にわたっているほか、具体性を欠いたり、自治体に丸投げだったりする事項も多く、これでは現場は戸惑うばかりである。
道教委として、今回の提言に対する所見を伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スポーツ庁の有識者会議による提言について。提言では、運動部活動の地域移行に関する進め方として、休日から段階的に移行し、将来的には平日も移行することや、地域の受け皿となる団体の整備充実、指導者の確保、大会の在り方、学習指導要領の見直し、高校入試の見直し、地域移行の取組が進められている間の学校における部活動の在り方など、様々な項目に関して、現状と課題を分析し、求められる対応の方向性が示されており、今後、スポーツ庁から提言を踏まえた通知が発出されると聞いている。
P白川委員 例えば、外部人材に委ねる対象とされた休日の活動は、練習試合や大会に充てられることが多く、選手の調子の把握や起用方法の連絡調整をどうするのか、平日を担当する教員の負担軽減にどこまでつながり、生徒の理解が得られるのかなど、こうした課題にしっかりと対応していく必要がある。
Q白川委員 現場が頭を悩ますのが人とお金の手当てである。
信頼できる指導者をどこに求め、そのための予算をいつまでに幾ら用意するのか、国は、速やかに工程表を作り、全国の自治体に示す必要がある。所見を伺う。
A伊賀教職員局長 人材と予算の確保について。提言では、指導者の確保について、先進的な地域では、スポーツクラブや大学から指導者を派遣している事例や、希望する教職員が兼職兼業を活用し、地域で指導している事例などが示されるとともに、地域移行に伴う新たな経費負担について、保護者の負担が大きくならないよう、国による財源の確保や地域における支援体制の整備などの必要性が示されている。
道教委としては、今後、各地域において検討が円滑に進められるよう、国に対し、先進的な地域の実践事例について、競技ごとの規模や内容、要する経費、その財源の情報を取りまとめて提供することなどを要望していく。
Q白川委員 部活動の地域移行は、運動部に限ることではない。文化系の部活動も同様の問題を抱えており、中には、指導者や練習場の確保がスポーツ系以上に難しいものもある。
こちらは文化庁が改革案を検討しているが、縦割りを排し、一体となって施策を進めなければならない。教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 文化部活動について。現在、文化庁の有識者会議において、文化部活動の地域移行に関して、地域において受け皿となる文化芸術団体等の整備充実や、指導者の確保、大会や会費の在り方、地域の文化芸術団体との連携の方向性など、運動部活動の地域移行に関する検討会と同様の検討事項について、文化部活動の固有の課題がある項目を洗い出すなどの議論が行われており、8月に提言が取りまとめられる予定とされている。
道教委としては、文化庁の動向を見極めるとともに、各地域において、運動部活動および文化部活動を一体として捉え、その地域移行に向けて、実情に応じた検討が早期に開始され、移行が円滑に進むよう、知事部局をはじめ、市町村教委や関係団体と連携しながら取り組んでいく。
◆学校給食
Q田中委員 学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスの取れた食事を提供しているものと承知している。
学校給食の意義について伺う。
A今村健康・体育課長 学校給食の意義について。学校給食は、学校給食法に基づき、教育活動の一環として実施されるものであり、成長期にある児童生徒に栄養のバランスの取れた食事を提供することによって、健康な体をつくるとともに、食に関する知識と望ましい食習慣を身に付けさせ、食材に地場産物を活用することによって地域の文化に対する理解を深め、感謝の心を育むなど、生きた教材として高い教育効果が期待できるものである。
Q田中委員 学校給食の実施にあっては、特に日本の伝統的主食である米飯を取り入れることが重要である。現在の米飯給食の実施状況について伺う。
A今村健康・体育課長 米飯給食の実施状況について。わが国の伝統的な主食である米飯には、望ましい食習慣を形成することや、地域の食文化を通じて郷土への関心を深めるなどの大きな教育的意義があるとから、道教委では、米飯給食の実施回数の目標を週3回以上とし、道産米を使用した給食の推進に取り組んできたところ。令和3年度における本道の小・中学校の平均実施回数は3・1回となっている。
Q田中委員 安全でおいしい学校給食を提供することは、極めて基本で重要なことであるが、学校給食を実施する上で、栄養教諭や給食調理員の役割は極めて重要だ。
栄養教諭および給食調理員のそれぞれの果たす役割について伺う。
A今村健康・体育課長 栄養教諭および学校給食調理員の役割について。栄養教諭は、学校給食に関する衛生管理責任者として、施設設備や食品等の日常的な衛生管理に努めるとともに、献立の作成や調理等に関して、学校給食調理員に指導助言を行うほか、家庭や地域と連携しながら、学校給食を生きた教材として活用するなど、学校における食育推進の中心的な役割を担っている。
また、学校給食調理員は、学校給食の調理の担い手として、学校給食衛生管理基準に基づき、納品された食材の確認、下処理、調理、配食、配送などに従事し、安全でおいしい給食を提供できるよう努めるものとされており、各学校や学校給食共同調理場においては、栄養教諭と学校給食調理員が連携しながら、安全・安心な学校給食の提供と食に関する指導を実践することが求められている。
Q田中委員 食に関する指導や学校給食の管理については、現在のコロナ禍においては制約があるものと考える。そうした中でも、創意工夫しながら取組を進めている事例があるのではないか。
学校給食に関する取組の優良事例、また、その普及に向けた取組について伺う。
A今村健康・体育課長 優良事例とその普及について。各学校や学校給食共同調理場においては、栄養教諭が中心となって創意工夫しながら献立作成や食育に取り組んでいるところであり、本年度の学校給食功績者表彰の被表彰者においては、例えば、地場産物を活用し、地域の伝統ある料理を献立に取り入れるなど、食文化の継承に貢献した事例、食育の一環として、児童に対し、給食の調理工程等を説明するメッセージ動画の作成、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に関連付けて、縄文文化の食を紹介する取組などの優れた実践事例がある。
また、コロナ禍における給食においても、音楽や朗読等を流して、和やかで落ち着いた雰囲気の醸成に努めている実践事例もある。
道教委としては、これらの実践事例について、栄養教諭等を対象とした各種研修会や全道規模の研究大会などで情報提供するほか、道教委のホームページへの掲載等を通して、地域や学校の実情に応じた創意工夫ある学校給食が積極的に実践されるよう努めていく。
Q田中委員 昨今の物価高騰の状況下において、学校給食費の値上げが懸念されるところ。
保護者にも直接影響するものと考えるが、保護者負担の軽減に向けて道教委はどう対応するのか伺う。
A中澤指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長 保護者の負担軽減に向けた対応について。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、物価高騰が進んでおり、学校給食費への影響が懸念されることを踏まえ、道教委では、国の総合緊急対策に基づき、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、道立学校における学校給食に対する保護者の負担軽減に取り組んでいく。
また、各市町村教委に対しては、当該交付金を活用した取組を検討するよう通知するとともに、道教委が道立学校における対応を検討する際に作成した資料を提供するなど、積極的な検討を促している。引き続き、市町村の実態に応じて適切な対応が行われるよう、必要な情報提供を行いながら指導助言に努めていく。
Q田中委員 学校給食は、児童生徒が毎日食べるものであり、衛生管理を徹底する必要がある。また、給食を生きた食育の教材として活用することで、自然の恩恵を受けて生きていること、食事を作る方々への感謝の気持ちを育むなど、教育的効果は非常に高いものと考える。
学校給食を取り巻く状況が厳しさを増す中、安全、安心な学校給食の提供と食育の推進について、今後どのように取り組むのか伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていく上で、食育は、その基本となるものであり、食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付け、健全な食生活を実践することができる力を育成することが重要である。
こうしたことから、道教委では、初任段階研修や中堅職員研修などをはじめ、道学校給食研究大会を開催するなどして、衛生管理の徹底と食に関する指導の充実に向けた指導助言に努めている。
今後は、これらのさらなる充実に取り組むとともに、各学校の取組状況を把握した上で、衛生管理の留意点等について、随時、情報提供を行うほか、食に関する指導などの優れた実践事例を収集し、その普及を図るなどしながら、各学校や学校給食共同調理場において、栄養教諭を中心に、学校給食調理員や関係職員がチームとなって、より一層、衛生管理の徹底や食育の推進が図られるよう取組を進めていく。
◆臨休で無症状生徒への対応
Q田中委員 臨時休業によって学校を休んでいる生徒のうち、発熱等の風邪症状がない生徒についても行動制限があると聞いている。具体的にどのようなことがあるのか伺う。
A今村健康・体育課長 臨時休業中の生徒の行動について。臨時休業の実施に当たっては、各学校において、新型コロナウイルスの感染の拡大を防止するための休業措置であるという趣旨を生徒に理解させ、発熱等の風邪症状がない生徒も、人の集まる場所等への外出を避け、基本的に自宅で過ごすよう指導することとしている。
Q田中委員 進路活動が本格的な高校3年生にとって、臨時休業による行動制限は大会に出場できなかったり、資格取得のための検定が受けられなかったりするなど、不利益を被る可能性もある。
そのようなことがないように配慮することも必要と考えるが、道教委の所見を伺う。
A中澤指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長 生徒への配慮について。国から各大学に対して、新型コロナウイルス感染症の影響によって、特別活動の記録や指導上参考となる諸事項の記載が少ないこと等をもって、生徒を不利益に取り扱うことがないようにすることが通知されており、道教委としては、本通知を各学校を通じて、生徒、保護者に周知し、安心していただけるようにしている。
また、進路等の特別な事情による活動が必要な場合は、陽性者以外の生徒等について、学校医の助言等を踏まえ、学校と道教委で協議の上、個別に対応を検討するなどして、高校3年生が安心して進路目標に向けて取り組むことができるように配慮している。
Q田中委員 高校3年生への配慮については、生徒の状況を踏まえて、主に校長が判断していると聞いているが、学校によって判断に違いがあってはならないものと考える。
そのようなことがないよう、道教委として今後どのように取り組むのか伺う。
A唐川学校教育監 臨時休業に関する今後の取組について。道教委では、臨時休業中の生徒のうち、進路等の特別な事情による活動が必要な生徒については、校長からの要請を受けて、学校と道教委が協議することとしており、学校によって対応に差が生じることのないよう引き続き徹底するとともに、各学校においては衛生管理マニュアル等に基づいた感染症対策の徹底を図り、学習内容や活動内容を工夫しながら可能な限り授業や部活動等の教育活動を継続し、進路目標を達成できるよう、生徒の健やかな学びの保障に努めていく。
◆部活動地域移行
Q田中委員 現在、国の委託を受け、道教委で取り組んでいる部活動の地域移行に関する実践研究事業の取組内容について伺う。また、その事業で得られた成果、課題について、併せて伺う。
A伊賀教職員局長 実践研究事業の内容などについて。道教委では3年度、国の地域運動部活動推進事業を活用し、登別市、紋別市、当別町で、地域の総合型スポーツクラブやスポーツ団体の指導者のほか、兼職兼業の許可を受けた教員が、中学校の野球やバレーボールなどの部活動を休日に指導するなど、地域の実情を踏まえた人材の確保や費用負担の在り方に関する地域移行の推進に向けた実践研究を行った。
保護者や地域の関係者に丁寧に説明したことによって、部活動改革の必要性に関して保護者や地域の方々からの一定の理解が得られたなどの成果がある一方、受け皿となる団体や指導者などの人材や財源を確保すること、保護者の経費負担が増えることなどの課題があった。
Q田中委員 先日の有識者会議で、運動部活動の地域移行に関する提言が出されていると承知しているが、文化庁の有識者会議で行われている議論の内容について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 文化庁の有識者会議における検討事項について。文化庁の有識者会議では、文化部活動の地域移行に関して、地域において受け皿となる文化芸術団体等の整備充実や、指導者の確保、大会や会費の在り方、地域の文化芸術団体との連携の方向性など、運動部活動の地域移行に関する検討会議と同様の事項について議論が行われており、8月に提言を取りまとめる予定とされている。
Q田中委員 文化部活動についても、運動部活動と同様に地域移行が進められるものと考えるが、実践研究事業における文化部活動の取組の状況について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 文化部活動の取組について。3年度に実践研究事業に取り組んだ紋別市では、これまで中学校の部活動で実施していなかった茶道、書道、琴、ダンスについて、市内の中学校3校の合同で、地域の指導者が市の文化施設等で指導する取組を行った。
紋別市からは、施設までの移動手段や移動時間、保護者の経費負担をどうするかといった解決すべき課題はあるものの、教育委員会が主体となって会場の確保や外部指導者との連絡調整を行ったため、教員の負担がほとんど生じなかった、中学校の文化部活動には吹奏楽と美術しかなかったので、生徒に多様な経験をさせる活動の場が広がったなどの成果が報告されたところ。
Q田中委員 道における実践研究事業の取組や国の部活動改革の方向性を踏まえ、今後、進められる部活動の地域移行に向け、道教委はどのような取組を行うのか伺う。
A倉本教育長 部活動の地域移行に向けた今後の取組について。生徒数の減少に伴い、部活動数が減少している現状や、教員の業務負担を軽減し、日常の教育活動の質の向上を目指す観点などから、地域の方々の理解のもとで、子どもたちがスポーツや文化活動を体験できる持続可能な環境を整えることは大変重要である。
道教委としては、都道府県が策定することとなる、休日の運動部活動の地域移行に向けたスケジュールなどを定める推進計画の検討を進めるとともに、国の動きを注視しながら、前年度に3市町で行った実践研究事業の成果や課題などを踏まえ、各地域において実情に応じた検討が早期に開始され、移行が円滑に進むよう、知事部局をはじめ、市町村教委や関係団体と連携をしながら取り組んでいく。
Q田中委員 北海道では、少子化が加速し、地域によっては部活動の維持が難しい状況にあるものと伺っている。スポーツに親しむ機会の確保は重要であり、可能な限り生徒の多様なニーズに応えていくことが必要と考える。
道教委では、こうした課題の解決に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A今村健康・体育課長 運動部活動について。生徒の自主的、自発的な活動によって行われる部活動は、学習意欲の向上や責任感、連帯感などを育むとともに、生徒が多様な学びや経験をする場として教育的意義が高い活動である一方で、近年では、少子化に伴い、競技によっては設置できない部活動が生じている、部員数の不足によって日ごろの練習に支障を来している、競技経験のない教員が指導せざるを得ず、大きな負担となっているなどの課題がある。
こうしたことから、道教委としては今後、中体連をはじめ、高体連や高野連、校長会やPTA等によって構成する部活動関係者会議などにおいて、こうした課題を踏まえた改善方策等について議論を重ねながら、複数の学校による合同部活動の実施や運動部活動の地域移行の取組、地域における多様なスポーツ活動等を推進し、生徒のスポーツに親しむ機会の確保に努めていく。
Q田中委員 地域におけるスポーツの推進を長期的に捉えるならば、運動部活動に取り組む中学生、高校生の時期も含めて、トータルで推進していくことが重要と考える。
スポーツ振興に関わる知事部局と教育庁の連携について、教育長の認識と、今後どのように取り組むのか伺う。
A倉本教育長 スポーツ振興に関する知事部局との連携について。子どもたちが地域の中で様々なスポーツに親しむ環境を創造するに当たっては、関係機関や団体等が日ごろから協力し、スポーツを通じて、健康で豊かな生活の形成や、魅力ある人づくり、地域づくりを目指す北海道スポーツ推進条例の趣旨を共有することが重要である。
道教委としては、知事部局で検討している新たなスポーツ振興に向けた官民組織に参画し、スポーツによるまちづくりや地域活性化の推進に貢献をするとともに、地域の指導者やスポーツ団体等と協力しながら、部活動の地域移行をはじめとする様々な取組を円滑に実施できるよう、知事部局とより緊密に連携していく。
(道議会 2022-11-04付)
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高校づくりに向けた協議体制について質疑が行われた。 これからの高校づくりの指針改定版素案では、市町や一定圏域の単位において、高校の役割分担や定員調整を含む具体的な高校配置の在り方を検討...(2022-10-07) 全て読む
3定道議会予算特別委員会(10月4日) メクビットの導入促進 年度内に全中学校で チャレンジテスト実施も
メクビットについて質疑が行われた。 道教委の堀本厚学校教育局長は、9月現在でメクビットを導入している道内の国公私立学校の割合は27%で、全国の約38%と比べて低い状況にあると答弁。一方...(2022-10-07) 全て読む
3定道議会予算特別委員会(10月4日) 先行事例収集し支援充実を検討 生理の貧困対策
家庭の経済的な理由で生理用品が購入できないなどの「生理の貧困」対策について質疑が行われた。 今村健康・体育課長は、本道における対応を検討するため、先行してトイレに生理用品を設置している...(2022-10-07) 全て読む