道議会質疑 予算特別委員会(6月28日)
(道議会 2022-11-08付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼平出陽子委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼池野敦教育部長

▼山本純史総務政策局長

▼伊賀治康教職員局長

▼奥寺正史総務課長

▼山下幹雄教職員課長

▼和田宏一教職員育成課長

◆管理職等の人事

Q平出委員 教員の任命権者は、教員が定年退職をすると、年金支給されるまでの間、再任用先を紹介しなければならない。一般教員に対してだけではなく、管理職の教員に対しても紹介しなければならないことになっている。道立高校の管理職が定年退職した場合、再任用を希望する割合を過去5年間にわたって伺う。

A山下教職員課長 再任用を希望する割合について。平成30年度に定年退職した管理職は35人で、うち54・3%に当たる19人が再任用を希望し、令和元年度は退職者33人のうち63・6%の21人、2年度は退職者53人のうち66・0%の35人、3年度は退職者32人のうち71・9%の23人、4年度は退職者36人のうち69・4%の25人が再任用を希望した。

Q平出委員 再任用を希望した管理職のうち、再任用先が前職と同じ校長あるいは教頭、あるいは一般教員に分けて、再任用の割合をこれもまた過去5年間にわたって伺う。

A山下教職員課長 管理職の再任用の割合について。校長で定年退職となった者の再任用としての職については、平成30年度は校長、教頭とも0%、教諭が47・4%、令和元年度は校長、教頭とも0%、教諭が52・6%、2年度は校長が3・3%、教頭が30・0%、教諭が33・3%、3年度は校長が0%、教頭が13・0%、教諭が39・1%、4年度は校長が13・0%、教頭が26・1%、教諭が26・1%となっている。

 また、教頭で定年退職となった者の再任用としての職については、平成30年度は教頭、教諭とも0%、令和元年度は教頭が0%、教諭が100%、2年度は教頭が40・0%、教諭が40・0%、3年度は教頭、教諭とも0%、4年度は教頭が0%、教諭が50・0%となっている。

Q平出委員 管理職として再任用される役付再任用という制度がある。具体的に、なぜ、そのような制度を新設しなければならなかったのか、詳しく伺う。

A山下教職員課長 役付再任用の導入について。学校現場では、各年度の採用者数の不均衡によって年齢構成に偏りが生じ、管理職候補となる中堅層の職員が少ない状況にあることから、管理職としての能力、実績、意欲等を備えた管理職経験者を管理職として再任用することによって管理職不足の解消を図るとともに、学校運営上の課題を解決することを目的として、平成30年度当初人事から導入した。

 近年、教頭受検者が減少しており、教頭の確保が急務となっている。

Q平出委員 なぜ、教頭の成り手がないのか。役付再任用のメリットとデメリットについて伺う。

A山下教職員課長 教頭受検者の減少理由などについて。近年、教頭受検者が減少している要因には、教頭の業務負担やその職責の重さ、広範多岐にわたる業務対応の困難性のほか、ライフスタイルにおける価値観の変化や多様化があると認識している。

 また、役付再任用については、不足している教頭を確保できる、多様な課題に対し管理職としての豊富な経験を活用できるといったメリットがある一方、道教委としては、教頭昇任を目指す若手教員の一層の育成が必要と考えている。

Q平出委員 役付再任用として教頭として任用された者は、高校の場合、大半は全道にある全日制の高校の役付再任用として採用されるのではなく、利便性の良い札幌周辺の学校の教頭、しかも、定時制の教頭として任用されている場合が多いと聞く。なぜそのようなことになっているのか、道教委の見解を伺う。

A山下教職員課長 再任用教頭の配置について。4年度の道立高校の再任用教頭の20人のうち、札幌市、旭川市など、いわゆる特A、A群に指定している市に所在する高校の定時制に配置された者は9人となっている。

 再任用の管理職については、学校の状況のほか、本人の勤務実績、意欲等を考慮しながら配置しており、都市部の道立高校には、多様な課題に速やかに対応できる指導力がより必要であることから、経験豊富な再任用教頭を配置し、同校の全日制教頭が再任用教頭から直接指導を受けたり、日常的なジョブシャドーを行ったりすることができるよう、定時制に配置している事例がある。

P平出委員 再任用の定時制の教頭は、全日制の教頭を指導するために定時制の教頭になったわけではない。定時制の子どもたち、先生たちに対するということで、採用になっているはずだ。

Q平出委員 再任用は希望したけれども、辞退したというのがある。再任用を断らざるを得ないような理由をどのように考えているのか伺う。

A山下教職員課長 再任用の辞退などについて。高校において、3年度末に定年退職した管理職の再任用希望者は25人で、再任用とならなかった者は9人で36・0%、教諭の再任用希望者は199人で、再任用とならなかった者は53人で26・6%となっている。その理由としては、道教委が提示した配置候補校が希望地域ではないことのほか、申し込み後に他の就職が決まったこと、健康上の理由などがあると聞いている。

 道教委では、教員が多様な経験を積むことと学校の職員構成の適正化を図るため、都市部だけではなく、郡部の学校も経験してもらうこととしているが、都市部から郡部への異動者が少ないことから、郡部の地域2校の勤務経験のない者には、原則として、札幌市や旭川市などの都市部の地域での再任用は行わないこととしている。郡部の学校2校を経験していない教職員は都市部の学校を提示されないことから、再任用の辞退が散見されている。

Q平出委員 役付再任用であってもなくても、単身赴任手当、赴任旅費、通勤手当は支給されるが、寒冷地手当や僻地手当は支給されないと聞いている。

 他県での再任用者の勤務状況はどうなのか。再任用者にとって条件が悪ければ改善しなければならない。そのことについて伺う。

A奥寺総務課長 再任用者の手当等について。再任用者の寒冷地手当や僻地手当については、本道と環境が近い東北6県も、国家公務員の再任用職員制度に準じて支給対象外としている。

 一方で、本道は、積雪寒冷で僻地校が多いことから、再任用教員の郡部への配置を促進し、各学校における教員構成の適正化を図るため、毎年度、国に対し、寒冷地手当や僻地手当などについて財源措置を講ずるよう要望しているところ。

 今後とも、国への要望を継続するとともに、国および他の地方公共団体の職員や民間従業員との均衡を考慮して行われる人事委員会勧告に基づき、制度の適切な運用に努めていく。

Q平出委員 国に対しての要望は10年もやっていると。10年もやっていても改善されないということは、要望の仕方が悪いのではないか。

A山本総務政策局長 再任用者の手当について。道教委では、再任用者の寒冷地手当や僻地手当について、従前から、国の文教施策および予算に関する提案、要望の中で、繰り返し要望してきているところであり、本道の地域特性に応じた処遇改善を行うことができるよう、今後とも粘り強く要望していく。

Q平出委員 それは特出しして要望しているのか。いろいろな改善の要望がある中の一つとしてやるのか、この再任用の場合だけを特出ししてやるのか。

A山本総務政策局長 再任用者の寒冷地手当や僻地手当について。寒冷地手当および僻地手当については、特に重要な事項として、文教委員会と共に、毎年度、国に要望している。

Q平出委員 役付再任用制度については、現場では大変不満の声があると聞く。管理職試験に合格し昇任したかったが、再任用の人が場所を取るので行く場所がなくなった、再任用の人が威張る、自分が再任用で教頭になったら年下の校長に対して上から目線でしゃべる。やっぱり、バランスが悪いということなのだろう。道教委としてはどう考えるのか。

A伊賀教職員局長 役付再任用について。管理職人事に当たっては、必ずしも本人の希望のみではなく、校長や教頭の退職による欠員の状況、勤務実績、勤務年数、さらには、学校の状況などを総合的に判断しており、管理職の役付再任用を含め、全道における道立学校の人事については適材適所の人事に努めている。

 近年、教頭受検者が減少していることから、役付再任用を活用しているところである。

Q平出委員 答弁では適材適所という言葉を使うが、適材適所ではないから議員の耳に入るのだろう。役付再任用は苦肉の策であって、根本的な改善ではないということだ。

 では、義務制の学校の役付再任用はどの程度いるのか伺う。

A山下教職員課長 義務校の役付再任用の割合について。本年度、公立小・中学校の役付再任用者がいる管内は、日高管内が3人で管理職に占める割合は3・66%、根室管内が1人で1・19%、後志管内が2人で1・12%、空知管内が1人で0・53%となっており、その他の管内では役付再任用は行っていない。

P平出委員 いるところは道立高校で、しかも定時制が多いということ。定時制の子どもたちの現場をよく分からない人が再任用で配置されるということで、ますます不満が出てくる、やり方がおかしいということだ。そのような再任用の人たちに対して、役所としては指導しなければならない。

Q平出委員 教育界の今日的課題を理解していない管理職が多いように思う。

 例えば、教員の働き方改革、インクルーシブ教育、人権教育、不登校問題等々の課題について、道教委は、新任管理職に対し研修をしていると思う。総論については、研修に参加すると理解できても、まさかそんな問題が自分の学校には該当しないと思って、ぴんとこないような管理職もいる。そして、そういう問題が起きたときに、自分では解決策が見いだせない、アイデアを出せないということだ。

 管理職が一人で問題を解決しなさいとは言わない。教頭や一般教員と協力し合い、時には保護者からアイデアを聞くなど、腹を割って話せるような管理職であれば、誰も文句は言わない。問題が起きたときに、どう解決しようとするかが必要だ。その姿は、子どもたちや教員集団は見ている。

 管理職の資質の考え方について、道教委の見解を伺う。

A和田教職員育成課長 管理職の資質・能力について。学校の管理職は、日ごろから教職員との意思疎通や共通理解に努めるとともに、教職員個々の経験や専門性を十分に生かしながら、家庭や地域とも連携を図り、学校の教育活動を推進することが重要であり、こうした管理職のリーダーシップが、学校全体で今日的な学校課題を解決する組織的な力につながると考えており、このような資質・能力を一層、身に付ける必要があると認識している。

 道教委では、北海道における教員育成指標の管理職版を策定し、課題等の把握、協働体制の構築、保護者や地域との協働等、管理職に必要とされる資質・能力を期待される具体の姿として定めており、こうした資質・能力の向上を図るため、今日的な学校課題に係る基本的な考え方やチームとしての学校の実現などに関する研修を、新任校長研修や新任教頭研修はもとより、管理職を対象とした研修で実施し、具体事例に基づく協議や演習などを通じて、学校経営に直接生かすことができるよう工夫しているところ。

Q平出委員 それが一般的な管理職を任用するときの考え方だと思うが、役付再任用の管理職について現場では大変だという苦情が来ている。

 役付再任用については、どのような認識を持って任用しているのか。再度伺う。

A伊賀教職員局長 管理職人事について。特色ある教育活動を展開し、信頼される学校づくりを進めるためには、自らの教育理念を持ち、教職員のリーダーとしての使命感、責任感を有する人材を管理職として配置することが重要であると認識している。

 こうした認識のもと、道教委では、学校経営の安定と充実を図るとともに、学校活性化や特色ある学校づくりを推進するため、また、学校が抱える課題を解決するため、マネジメント能力などを勘案しながら配置することとしており、近年、教頭受検者が減少していることから、役付再任用者を含めて検討している。

 今後も、各学校において特色ある教育活動を推進することができるよう、適材適所を基本とした人材配置に努めていく。

Q平出委員 もし、役付再任用の管理職で、ちょっと現場が困るという場合は道教委の職員が学校を訪問して指導するということでよいのか。確認する。

A池野教育部長 管理職の指導について。年間を通して、学校教育監、または、教育局に所在する主幹などが学校長を訪問して、適宜、指導しており、そうした場合は直ちに指導するなど、適切な対応に努めているところである。

Q平出委員 管理職になったからといって、急に人権問題がよく分からないとか何とかというわけではない。前々からきちんと感性のある人を管理職にしなければならないと思うが、問題が起きたときにどうしたらいいかを一人で悩むのは大変な話だ。

 (人材を)教育するということはどういうことなのか、教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 教育について。教育においては、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家および社会の形成者として、一人ひとりを育てていくことが重要である。

 道教委としては、各学校が、校長のリーダーシップのもとで、教職員が一体となって生徒の可能性を最大限に伸ばす取組を着実に進めることができるよう、新任の管理職はもとより、現任の管理職や中核教員を対象とした研修を充実させるなど、キャリアステージに応じた資質・能力の向上を図るとともに、管理職の適材適所な人事を進めるほか、本庁や教育局の職員が適宜、学校訪問を行い、また、管理職の相談を適切に受け止めながら必要な指導助言を行うなどして、本道の学校力の向上を目指していく。

P平出委員 教員が忙し過ぎるから教頭が大変なのだ。道教委は若い人を育成すると言うが、若い人は現実を見ているので、教頭の試験を受けようとする年齢になっても、誰も教頭の試験を受けようという気にはならない。教頭の成り手がないのだ。だから、苦肉の策として役付再任用という制度をつくった。

 やはり、魅力のある教頭職にしなければならない。教頭は大変だ。しかし、大変さを嫌がる教員はいない、子どもたちに関連する大変さであれば。そんな魅力のある教頭ならば、やってみようかなと手を挙げる人、勉強する人が増える。役付再任用の制度は、そろそろ見直さなければならない。

 ほとんどの管理職は一生懸命やっている。その中で、リーダーシップのない管理職がいるから目立つ。やっぱり、その負の連鎖を断ち切らないと駄目だ。

 現場の職員たちも一生懸命になってやっているが、行政マンの道教委がこうした職場を解消する、このことが必要だと肝に銘じてもらいたい。

(道議会 2022-11-08付)

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