道議会質疑 文教委員会(8月2日)
(道議会 2022-11-11付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼赤根広介委員(北海道結志会)

▼宮川潤委員(日本共産党)

【答弁者】

▼唐川智幸学校教育監

▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼伊藤伸一学校教育局生徒指導・学校安全担当局長

▼荒川裕美教育政策課長

▼泉野将司生徒指導・学校安全課長

▼今村隆之健康・体育課長

▼木村重成総務部学事課長

▼笠井浩総務部総合教育推進課長

◆いじめ問題

Q赤根委員 ことしに入り小樽市にある北照高校において、昨年6月からことし1月にかけて当時の1年生と3年生の3人が1年生だった部員3人に対し、後ろから蹴ったり死ねなどの暴言を繰り返し浴びせたりしたとして、同校では重大事態に該当するとして4月21日付で道へ報告書を送付したと報じられている。

 本事案については3月に開催された被害者家族による記者会見で、いじめの内容として校内や合宿先で蹴ったり、工具のドリルを顔に近づけたりしたとしており、家族は事案を隠さず公表してほしいと訴えていたが、当時の学校の対応はいじめの有無については調査中としており、極めて悪質と思われる事案にもかかわらず学校の対応はスピード感に欠けるとともに危機感が乏しいと言わざるを得ず、いじめの未然防止や早期発見の措置を適切に講じていたとは言い難いと考える。そこでまず道内の私立学校におけるいじめの認知件数がどのようになっているのか伺う。

 また、いじめ防止対策推進法においては、学校はいじめ防止基本方針を定める義務があるとともに、道条例においては、道は学校法人が法の規定に従いおよびこの条例の規定の趣旨を踏まえ、いじめの防止等のための対策を適切に実施することができるよう情報の提供その他の必要な措置を講ずるとしているが、私立学校におけるいじめ防止等の対策に道はどのように取り組んでいるのか併せて伺う。

A木村学事課長 道の取組などについて。道内私立学校における過去3年間のいじめの認知件数は小・中・高校および特別支援学校を合わせ平成30年度では1073件、令和元年度は1285件、2年度は818件となっている。

 道では、道いじめの防止等に関する条例に基づき、国公私立を問わず学校がいじめの防止等のための対策を適切に実施できるよう必要な措置を講ずることとしている。

 私立学校に対する具体的な取組としては、道独自の実態調査の実施や再発防止策などを参考事例として各学校に対し周知するほか、児童生徒や保護者に対しては道教委と連携し相談窓口の設置やSNSを活用した相談に対応するとともに、実際に相談や通報があった場合には学校に対し適切な対応を促すなどいじめ事案の早期発見、早期解消等に向けた取組を行っている。

D赤根委員 道としては再発防止策などを学校に周知する、あるいは、通報、相談があった際には適切な対応を促すという取組をしているという答弁であったが、残念ながら今回の北照高の事案を見る限りとてもそういった道の取組が生かされているとは思えないような遅い対応だと言わざるを得ない。

 先ほども申し上げたとおり、北照高が重大事態に該当するとして道へ報告書を送付してから既に3ヵ月以上経過しており、しっかりと被害者に寄り添った調査が実施されるとともに、早期に再発防止策が取りまとめられることを期待している。

Q赤根委員 道内における重大事態の発生状況がどのようになっており、そうした事態が発生した際に、道教委や道はどのように対応するのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 本道の重大事態の状況等について。直近の国の調査結果である令和2年度においては、国公私立学校での全ての学校種の発生件数の合計は11件である。

 道教委としてはいじめ重大事態が発生した際は、関係法令や道の条例に基づいて道立学校については知事に発生報告したあと、道いじめ問題審議会において当該事案に関する調査を実施することとしている。

 また、市町村立学校については関係法令や市町村の条例等に基づいて同様の対応をすることとなっており、道教委としては重大事態への対処を適正に行うことができるよう必要な指導助言や援助を行っている。

A笠井総合教育推進課長 重大事態への対応などについて。重大事態が発生したときは関係法令等に基づき、学校の設置者またはその設置する学校はその下に組織を設け事実関係を明確にするための調査を行い、その調査の結果について知事に報告することとなっている。

 道では、道立学校については道教委から、私立学校については学校の設置者等から報告があった調査の結果について当該事案に係る資料の提供を求め、また必要に応じて当事者や学校から説明を聴取するなどの方法によって知事として調査が必要かどうかの判断を行っている。

 道としてはこれまでも法の趣旨にのっとり、被害を受けた子どもや保護者に寄り添った対応に努めるとともに、学校に対しては情報提供や適切な助言などを行っている。

Q赤根委員 重大事態が発生した道立学校における再発防止策の実効性の確保についてどのように取り組んでいるのか道教委に伺う。併せて私立学校に対してはどのように取り組んでいるのかについても道に伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 再発防止について。道教委では道いじめ問題審議会において協議した再発防止策に基づき、いじめ重大事態が発生した道立学校に対し、指導主事等による学校訪問等を通じて再発防止に向けた対応状況を把握し、必要な指導助言を行っている。

 また、いじめ重大事態の再発防止に向けて道教委では、道立学校の調査報告書を基に再発防止策に関する校内研修資料を作成して各学校に配布し、活用を促進するとともに、市町村教委を対象とした研修会を実施するなどして再発防止に努めてきた。

A笠井総合教育推進課長 私立学校における再発防止について。私立学校では、学校の自主性が尊重されるため、所轄庁の権限は、私立学校法の規定によって国公立学校と比べて制限されており、知事は教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができるものの、いじめ防止対策推進法においては、学校法人が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならないと規定されている。

 こうしたことから、道ではこれまでも関係法令等の範囲内において、重大事態の当該校に対して、いじめの未然防止、早期発見および早期対応等に真摯に取り組むよう求めているほか、各学校に対し、いじめ重大事態に係る対応や再発防止策などの事例を紹介している。

 道としては今後とも私立学校の自主性を尊重しながら、道教委と連携を強め、学校訪問や研修会など様々な機会を活用し、いじめ防止対策推進法の趣旨を徹底するとともに、重大事態の発生防止のために必要な対策を行っていく。

D赤根委員 重大事態の再発防止についてはいじめそのものの再発防止につながるので、広く周知するとともに、調査結果や報告された再発防止策がいかに実効性を持って継続しているかを確認する作業が非常に重要と思っている。

 その点、道教委においてはしっかりと取り組んでいると思うが、一方で私学については残念ながらそれぞれの私立学校に対するいわゆる指導の権限はその学校法人にあるということで、道として学校法人が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならないため、関係性は微妙なところがあるのかもしれない。

 一方で例えば3年2月16日の私立学校におけるいじめによる重大事態の再調査に係る知事の判断について、学校における再発防止策としていじめの再発防止、未然防止に資するため、年に1度、学校の対応について外部に評価、検討を求める機会を設けるなど再発防止にかなう取組がたくさん盛り込まれている。しっかり実行されているかを検証することが現実の問題だと思う。

 そこで例えば、学校法人や学校がこうしたいじめ再発防止の取組をしっかりとホームページで発信するとか、道に報告してもらうとか、新たな権限を道が学校法人に対し発動するのではなく、協力を要請する形で実効性を確保する取組を検討してほしいと思う。

Q赤根委員 重大事態に関わる取組として、北海道のいじめの防止等に向けた取組プランでは市町村におけるいじめの重大事態の調査組織の設置割合を本年度末までに100%にするという目標を立てているが、現状と課題について伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 市町村での調査組織の設置について。国のいじめ防止基本方針等を踏まえ調査組織は平時から設置しておくことが望ましいことから、道教委ではこれまでも市町村に設置を働きかけており、3月時点では145市町村に設置されている。

 本道では自治体の規模や地域の実情から調査組織の常設や専門家の確保が難しいといった市町村の声もあることから、道教委では市町村においていじめ重大事態が発生した際は、調査組織に必要な専門家の確保に向け職能団体や大学等と連携して取り組むこととしており、全ての市町村での調査組織の設置に向けて市町村教委に丁寧に指導助言していく。

Q赤根委員 プランは本年度いっぱいであり100%達成は現実的には難しいと思うし、プラン作成時に目標を100%と掲げることは否定はしないが、今専門家の皆さんにお願いしなければならないこうした会議体を、この広い北海道の179市町村全てに常設で設置するということが本当に現実的に可能かどうかは一度立ち止まって考える必要があると思う。例えば圏域ごとに広域で運用するとか、公立と私立の共同で運用するとか、持続可能な体制の一つとして全ての市町村に設置することはますます困難になっていく状況だと思う。

 一方で設置が遅くなればなるほどいじめの調査の正確性はなくなるし、困難さを増していくので、やはりスピード感を持った対応をしていくためには組織の柔軟な設置の在り方、運用の在り方を検討すべきと思うが、見解を伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 調査組織の設置について。道教委では、いじめ重大事態が発生した際は市町村の実情に応じて調査組織に必要な専門家の確保に向け、職能団体や大学等と連携して取り組んできており、今後も市町村の実情を丁寧に伺いながら全ての市町村での調査組織の設置に向けて取り組んでいく。

P赤根委員 現実的にできることを審議会の場などを通じ、公私共に連携して検討を深めてほしいと重ねて指摘する。

Q赤根委員 未就学児への対応について伺う。道のいじめ防止基本方針で、いじめの未然防止に向けて幼児期の教育においても発達の段階に応じ、他の幼児と関わる中で相手を尊重する気持ちを持って行動できるよう取組を推進する、また就学前のガイダンス等の機会を捉え、幼児や保護者に対するいじめの未然防止に係る取組を企画提案するとして、主な取組では一つ目として、発達の段階に応じた幼児教育の充実に向けた関係機関等への啓発、二つ目として幼児期における取組に関する保護者への啓発などとしているが、具体的にどのように取り組んでいるのかは判然としない。

 いじめ防止対策推進法では、未就学児は対象ではないと承知しているが、先月滋賀県大津市では小学2年生の児童が市立保育園に通っていた当時、性別に違和感を抱えていることが原因で他の園児からいじめ行為を受けたと訴えた問題で、市の第三者委員会が、服装をからかう行為など、4歳、5歳児クラスの在籍時に計11件のいじめ行為があったと認定し、保育士を対象にLGBTQや発達障がいへの理解を深める研修を充実させるよう市に答申している。

 第三者委員会の委員長は答申後の記者会見で、保育園でもいじめは起きると認識するスタートになると述べ、被害児童の両親は保育園でもいじめは起きる、園の対応が極めて不十分だったと厳しく指摘しており、訴えが認められたことを評価したいとのコメントを出している。そこで未就学児のいじめについて道はどのように認識し、実態をどう把握しているのか伺う。

A木村学事課長 道の認識などについて。いじめは、幼児期を含め、子どもたちの心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与える深刻な問題であり、未然防止はもとより早期発見と早期解消などの対応が重要であると認識している。

 道では道いじめ防止基本方針において、いじめの未然防止に向けて幼児期の教育においても発達の段階に応じ他の幼児と関わる中で、相手を尊重する気持ちを持って行動できるようにするための取組などを推進することとしている。

 このため道としては、いじめに関する相談窓口を設けているほか各幼稚園などと様々な機会を通じ、情報共有や意見交換を行うなどして幼児に対するいじめに関する実態の把握に努めている。

Q赤根委員 道としてもいじめに関する実態の把握に努めているという答弁であるが、幼稚園や保育園で未就学児に対してもいじめという概念を持って事案に対応していなければ、そもそもいじめの実態把握が現実的には不可能だと考える。

 先ほどの大津市の事例だが、服装等が原因で他の園児からいじめ行為を受け、不登園の状態になったということであり、第三者委員会の調査では元園児や保護者の訴えに対し、園側がよくあるトラブルという認識で保育園でもいじめがあるという認識が欠けていたと指摘するとともに、元園児に関する記録もデータベース化されていない手書きによるものが多く、日誌が廃棄されたケースもあるなど情報共有にも不備があったとして、保育士に知識が不足しチームでの対応もできていなかったとも指摘している。

 こうした大津市の事案のように未就学児のいじめの問題は本道においても十分起こり得るものであり、そのような認識のもと、未然防止はもとより早期認知と適切な対処が図られるよう取り組むべきと考えるが所見を伺う。

A木村学事課長 今後の対応について。いじめの防止等の対策は道いじめ防止基本方針に基づき、学校、家庭、行政などの関係機関が相互に連携協力し、児童生徒に関わる全ての人々が共通の認識を持っていじめの防止等の取組を推進していくことが必要と認識している。

 道としては今後とも幼稚園等との連携を密にしより一層情報共有を図りいじめの実態把握に努めるとともに、幼児を含む全ての子どもたちがいじめに苦しんだり、悩んだりすることなく安心して元気に充実した学校生活を送ることができるよう、いじめの未然防止、早期発見、早期解消などいじめ防止等の対応が適切に行われるよう取り組んでいく。

P赤根委員 幼稚園等との連携をさらに強化し一層の情報共有を図ってほしいと思うが、やはりいじめが起こり得るという意識を持ってトラブルの対応に当たるかどうかで全くその後の組織的な対応などが変わってくると思うので、道としても様々な幼稚園の団体や会合などで認識の確認、あるいは、保育士等の研修の場を通じた事例の紹介などの取組から確実に進めてもらい、未就学児へのいじめの対応がさらに充実するようしっかり取り組んでほしいと指摘する。

Q赤根委員 つぎに緊急支援チームについて伺う。道教委では児童生徒への深刻ないじめが発覚した際に市町村教委へ学校の要請がなくても外部の専門家でつくる緊急支援チームの派遣を行う方針を示しており、旭川市のような事案を二度と起こさないためにも実効性を確保していく必要があると考える。

 そこで緊急支援チームはどのようなメンバーで構成・配置しどのような役割を担うのか、基本的な在り方などについて伺う。

A泉野生徒指導学校安全課長 緊急支援チームについて。道教委では学校だけでは解決が困難ないじめ事案に対応するため、市町村教委等の求めに応じて弁護士や臨床心理士等の専門家を学校に派遣する体制を整備しており、今後は事案等に応じてこうした専門家に加え、道教委が任用しているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、指導主事によるチームを編成するものである。

 また、チームの役割としては、学校等に対して生徒指導体制や教育相談体制に関することなどについて具体的な指導助言等の支援を行うものである。

Q赤根委員 この緊急支援チームは、旭川市の事案のように道教委が市教委に対して繰り返し指導したにもかかわらず、いじめの疑いがあるとする道教委といじめの認知に至らないとする市教委では、いじめの認知に関する認識を共有することができない場合においても迅速に対応することが期待されるが、実際の運用については今のところ判然としない。具体の運用についてはガイドラインで定めることと承知しているが、このガイドラインというものがどのような内容となっているのかを伺う。また、旭川市の事案はこの緊急支援チームを派遣する事案に該当するのか、見解を伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 緊急支援チームの運用について。緊急支援チームの派遣については市町村教委との連携協力が重要と考えており、道教委では学校や市町村教委と十分に情報を共有した上で行うアウトリーチ型の支援の在り方について市町村教委や校長会等の関係機関、団体に対して意見照会をしており、今後体制の整備に取り組んでいく。

 旭川市で令和元年に発生した事案と同様のケースについても、こうした考えのもと対応を整理し検討していく。

Q赤根委員 緊急支援チームを機能させていくためには事案に関する情報収集や関係機関との一層の連携強化などが必要と感じる。今後の運用に当たり、課題をどのように認識し、有事の際には迅速かつ適切な対応をどのように図ろうとするのか所見を伺う。

A唐川学校教育監 いじめ問題への今後の取組について。いじめの積極的認知と早期の組織的対応の徹底について、道教委と市町村教委が認識を共有するとともに、学校等において対応等に課題を抱えている場合は学校の対応状況を的確に把握し、市町村教委と連携して学校を支援することが重要である。

 道教委としては、指導主事等による学校訪問はもとより、子ども相談支援センターや1人1台端末を活用した相談窓口等を通じて、事案が深刻化する兆候を把握した場合は道教委と市町村教委が緊密に連携するとともに、緊急支援チームの専門家や地域の関係機関との連携協力によっていじめ問題への対応に適切かつ迅速に取り組んでいく。

D赤根委員 これまでの様々な議論の経過を踏まえたとき、旭川市のような事案でこのアウトリーチ型の支援が実施できなければ、それこそ今までと何ら変わらないので、ぜひ運用の在り方について十分検討した上でより実効性のある体制を取っていただきたいと思う。

 いじめの問題について様々伺ってきたが、今学生たちは夏休みに入っているが、一方でまたコロナの感染者が急拡大している状況であり、夏休み明けも子どもたちの心の状況などつぶさに道教委としても学校と連携して十分注意しながら、悲惨ないじめに端を発するものばかりではなくて自殺対策などにもあらためて今後も十分対応していただきたいと求める。

◆生理の貧困

Q宮川委員 日本共産党道議団として現在アンケート調査を実施しているが、その調査の中でこのような項目を設けている。生理用品を買うのに困ったことがあるかの問い対し、よくある、時々あるとの回答が21・7%。また、別の設問の影響として学業や仕事に集中できないが39・1%、ストレスになっているが26・1%。さらに学校や公共施設のトイレに生理用品を設置することについてどう思うかとの質問には、よいと思うの回答が100%であった。

 これらのアンケートの回答について、どのように受け止めるのか伺う。

A今村健康・体育課長 生理の貧困に関するアンケートについて。厚生労働省においても、令和4年3月に全国3000人を対象とした生理の貧困が女性の心身の健康に及ぼす影響に関する調査を公表しており、その結果によれば新型コロナウイルス感染症発生後から現在までの間に生理用品の購入、入手に苦労したかという質問に対し、よくある、時々あると回答した方の割合は、全体の8・1%、また、これらの者のうち学業や仕事に集中できないという質問に、よくある、時々あると回答した方の割合は、34・1%となっており、こうした結果は委員が示したアンケートの内容とも似たような傾向があり、生理用品を用意できないことによって女性の心身の健康に影響が生じているものと認識している。

Q宮川委員 コロナ禍で子どもの貧困が進行していることの認識、また、児童生徒の貧困対策の取組について伺う。

A荒川教育政策課長 子どもの貧困について。内閣府が昨年初めて実施した全国の中学2年生の保護者を対象とした調査によると、世帯収入の中央値の半分に満たない収入の家庭は12・9%であり、そのうち、新型コロナウイルス感染症の拡大によって世帯全体の収入が減ったと回答した世帯が47・4%となっている。

 道教委としては、家庭の経済状況にかかわらず、等しく教育を受けることができる環境を整備することは大変重要と考えており、就学援助制度や奨学給付金などの各種支援制度の周知や一層の利用促進を図るほか、子どもの居場所づくりの普及や相談体制の充実に向けたスクールソーシャルワーカーの配置を進めるなど、誰一人取り残されることなく、安心して学習に打ち込める教育環境づくりに取り組んでいく。

Q宮川委員 コロナ禍でさらに貧困が進み事態が非常に深刻化していると感じる。より深刻化しているという事態を踏まえ、生理用品を用意できないことおよび心身の影響についてさらに踏み込んで説明いただきたいと思う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 生理用品を用意できない問題について。厚労省が実施した調査の結果によると、生理用品の購入や入手ができないときに交換する頻度や回数を減らしたなどの対処をしたと回答した方について、その半数以上が身体症状の不調を経験しており、また、生理用品の購入や入手に苦労したことが、よくある、時々あると回答した方について、ないと回答した方と比較し、精神的な健康状態が悪い可能性が指摘されていることなどを踏まえると、家庭の経済的な理由等で生理用品が購入できないなどの状況は、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題であり、児童生徒の心身に影響を与えるものと認識している。

Q宮川委員 健やかな学校生活を送る環境整備を行うためにも生理の貧困問題に具体的に取り組む必要性を感じたが、既にトイレに設置している道立学校の成果および課題、他都府県の取組状況について明らかになったことがあれば内容を紹介してほしい。

A今村健康・体育課長 道立高校や都府県の取組等について。生理用品をトイレに設置している道立高校では、これまでのところ、誰でも気兼ねなく自由に使用することができるという成果が得られている一方で、購入予算をはじめ、設置場所の管理方法などへの配慮が必要となることなどが課題となっている。他都府県の状況については、現在、その取組状況を整理している。

Q宮川委員 まず第一に、全校で生理用品の配置をすべきだと考える。第二に、場所はトイレ内に配置すべきだと思う。現在、保健室に配置して、申し出ることでもらえるところもあるようだが、トイレットペーパーのようにトイレに当たり前に設置すべきであり、トイレットペーパーをもらいにいちいち保健室に行くということはあり得ない。生理用品の設置で得られる児童生徒の安心感は何にも代え難いものであり、安心して学校に来られる、安心して授業を受けられる環境整備は重要なことだと考えるが見解と今後の取組について伺う。

A唐川学校教育監 今後の取組について。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、児童生徒の中には、家庭の経済的な理由で生理用品が購入できないなどの問題をはじめ、急きょ生理用品が必要になるような状況や保健室に申し出ることをためらうケースもあるものと承知している。

 このため道教委としては、各学校において一人ひとりの様々な悩みやストレス等の状況を丁寧に把握し、生理用品の入手に困難が生じている児童生徒に対して養護教諭をはじめ、学級担任、スクールカウンセラーによる組織的な支援の充実を図るとともに、市町村教委や校長会、養護教諭で構成する団体、保健福祉部局等と連携を図りながら、道立学校の先行実施状況を整理し、他都府県の事例を研究するなどして、本道の取組を検討していく。

D宮川委員 学校がより安心して過ごせる場所になることは、道教委として目指すべきことだと考える。検討する段階から実践し、一刻も早く生徒に安心感を与えてほしいと申し上げ質問を終わる。

(道議会 2022-11-11付)

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