道教委 地学協働活動推進支援会議 道立高のCS導入促進 小中高一貫した教育課程を
(道・道教委 2022-10-24付)

 道教委は19日、オンラインで第2回地学協働活動推進フォローアップミーティングを開いた。宗谷、釧路、オホーツク教育局のプロジェクトチームが北海道CLASSプロジェクトの研究指定校の取組などを発表し情報交流。中では、小・中学校に比べ道立高校のコミュニティ・スクール(CS)導入率が低いことから、局長自らが学校を訪問し設置を提案した事例などが示されたほか「地域の担い手を育てるためには、小中高一貫した教育課程で普段から地域を愛し地域を担う子の育成を」などの声が出された。

 本庁および教育局のプロジェクトチームが情報共有を行うことで、道内全域において地学協働活動の推進を図るもの。

 宗谷局は、CLASSプロジェクトの研究指定校である豊富高校の取組について、釧路・オホーツク局は、それぞれの管内の地学協働の取組について発表した。

 宗谷局は、豊富高について「1年生は地域探究、2年生は進路探究、3年生は発展探究を行っている」「2年生は町商工会の協力のもと、自らの進路について実社会と結び付けて探究できるよう、町内の企業でのインターンシップを実施しており、コンソーシアム会議では“生徒自らが企業にアポイントを取り、複数回実施できるようにすると良いのでは”との意見が出された」と説明。

 また「豊富高は特例校として再編留保の状態であり、募集停止となれば地域は大きな打撃を受ける。大人がもっと教育への関心を高める必要がある」とし、地域住民や企業に情報発信し、地学協働の賛同者を増やしていく考えを示した。

 また地域コーディネーターからの「地学協働を継続するためには、会議の席だけではなく、普段から意見を交換し、気兼ねなく話せる人材でコンソーシアムを構成すべき」との意見を取り入れ、地域の名士ではなく、商工会青年部や役場・振興局の若手職員など、様々な考えや情報が集まるメンバーで構成したことを紹介。

 今後の課題として「継続的に地学協働を進めるためには、学校と地域で課題を共有できるよう地域コーディネーター的存在を増やしていく必要があり、地域への周知に努めていきたい」「地域の担い手を育成するためには、普段の授業でも地域づくりを意識した指導が大切になる。小中高一貫した教育課程や、課題を共有していくシステムが必要」などと述べた。

 最後に、12月3日に地域ぐるみで宗谷の未来、子どもたちの未来について考えるオンライン懇話会「SOYAカンファレンス」を開き、CLASSプロジェクトについて紹介し管内に地学協働を普及すること、12月16日に豊富高が探究成果発表会を開き、町長や教育長を含め地域住民と高校生の意見交換を行うことを紹介した。

 釧路局では、局長がCS導入促進のため阿寒高校、釧路東高校、弟子屈高校を訪れ、5年度のCS導入に向けたスケジュール案と準備委員会の設置案を提案。

 弟子屈高では既存の「支える会」が機能しているのでこれを活用することとし、準備委員会では町長をはじめ町の有識者がCSの必要性や導入の効果について理解を深めたことを説明した。

 また釧路東高の所在地は釧路町だが、釧路市内から登校する生徒が多いことから、教育局が釧路町教委に検討を依頼。町立の小・中学校は本年度からエリア型のCSからテーマ型に切り替えており「ぜひ小中高で連携を図っていきたい」との回答を得たことを説明した。

 釧路局では今後について「道立高校へのCSの導入をさらに働きかけ、導入後も学校運営協議会に出席するなど支援していきたい」などと述べた。

 オホーツク局は、地域の課題として15~24歳の管外への転出率が非常に高いことや、高等教育機関が限られていることを挙げ「中学・高校で地域を愛する心を育み、地方創生の担い手を育成することが必要」と述べた。

 また、同局と振興局が連携し、高校生向けの出前型ワークショップを開催。地域住民を迎えてトークセッションを行い、地域の仕事やオホーツクで働く魅力について語り、ほとんどの生徒が地域の仕事に対する興味が向上したことを述べた。

 中学生には、同局の独自事業である「オホーツクきゅんとしてGOOD」プロジェクトで津別中学校と上湧別中学校が他府県の生徒と交流し、オホーツクの魅力を幅広い視点から受け止めたり、様々な職業人から地域への思いを学んだり、ふるさとオホーツクに思いをはせる心を育んだ。

 津別中では、町の魅力を内外にPRするプレゼンテーション資料やパンフレット、動画などを作成し、ホームページにも掲載。プレゼン発表会の様子もライブで配信した。

 管内のCSは小・中・義務教育学校では124校(100%)だが、道立高では4校(19%)で「8年度までには100%にしたい」との考えを示した。導入に消極的な学校もあることから「高校教育指導班と社会教育指導班が連携し一緒になって指導助言に当たりたい」とした。

 また、小・中・義務教育学校の学校運営協議会についても、学校からの報告事項のみで終わったり、年2回しか開催しなかったり、地域コーディネーターの存在を知らなかったりするなど、形骸化が散見されるため「各校を巡回し、振興局とも協力しながら、地域を愛し地域に貢献する人づくりを支援していきたい」との考えを示した。

(道・道教委 2022-10-24付)

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