松前高 地理総合で松前学と関連図り 地域振興へ主権者教育 12月に町議会で政策提言(学校 2022-10-31付)
行政の思いや町の実態を取材した
【函館発】高校の新学習指導要領で新設された「地理総合」について、松前高校(濵名一博校長)では、独自の教育課程「松前学」と関連させた指導の充実を図っている。地域の課題や活性化を考える単元を切り口に、主権者教育を取り入れた学習を展開。1年生が取り組む「松前学Ⅰ」で「教育支援」「地域の魅力化」など4テーマを設定し、グループ活動で町の政策や課題を探究している。25日には町役場の職員5人を招き、行政から政策の実施状況などをヒアリング。今後、生徒は政策提言をまとめ、中間報告会でポスターセッションを実施する。12月には町議会議員へ提言発表する予定だ。
本年度から年次進行で開始した高校の新学習指導要領では、新たに「地理総合」が新設された。地域調査に関する単元では、生徒がまちの課題を抽出し、特徴に応じた解決策を探究する学習が盛り込まれている。
同校では郷土愛を育み、地域に貢献できる人材育成を目指し、独自の教育課程「松前学」を設置している。1年生が取り組む「松前学Ⅰ」では、本年度新たに「地理総合」の教育課程を活用した学習を展開。政治を考える観点から主権者教育の要素を取り入れた。1年生17人はグループ活動で町の実情を踏まえた実現可能性のある政策を考えている。
テーマは①教育支援②生活支援③移住・定住促進④地域の魅力化―の4分野。生徒はそれぞれのグループで町の総合計画や実施計画などをもとに、町の政策状況を調査。探究活動後、①では「学生向けの施設が少ない課題への解決策」②では「交通手段や買い物の便」③では「生活満足度の高い町にするために」④では「全ての特産品の中から特に力を入れるべき特産品とPR方法」を課題意識に設定した。
25日には、4テーマの政策に携わる町役場職員5人が来校。生徒はテーマごとのグループに分かれ、現状把握に向けた質問を担当職員に尋ねた。
①のグループの生徒は役場職員に対し、高校生に勉強等で利用してほしい施設をヒアリング。「総合センターの開館時間が限られているので、少し困っている」「空き家をリフォームしてカフェを設置すると、予算はどのくらいになるのか」などと、積極的に質問した。職員からは「開館時間については職員の勤務時間などの要因もあり、調整が難しいが参考になる」「空き家のリフォームは電気やガスなどの運営費を考えると大体300万円を超えるかもしれない」など、町の実態に応じた回答が寄せられた。
④のグループの生徒は「ふるさと納税返礼品でウニやアワビが売れているが、町が推奨したいのはどの製品か」と質問し、職員から「町産のマグロもPRしたい」などの意見を聴取。
また、売れ行きを伸ばすための工夫について「SNSの活用ではインスタグラムが一番効果的なのではないか」などと互いに意見を共有した。
その他のグループでは、コロナ禍におけるテレワークを契機とした移住促進方法などについて意見を交わした。
今後は、地域おこし協力隊や他地域の事例などを調査。職員へのヒアリングを含め、町の実情に合った解決策を提言としてまとめる。
11月のポスターセッションによる中間報告会を経て、12月には町議会議員へ政策提言をプレゼンテーションする予定。
生徒の一人、川原巧大さんは④について調査。「インターネット等で町のマグロ祭りなどがよくPRされているため、特産品として推奨する価値があるのではないかと考えた」と振り返り「自分たちが考えた政策がいつか実現すればうれしいが、悪い結果に進まないよう、実効性のある取組を慎重に考えていきたい」と話した。
(学校 2022-10-31付)
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