道 ケアラー支援推進シンポジウム 地域の支援体制確立を 大人が気付いてあげる社会に
(道・道教委 2022-11-17付)

 道は15日、TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前およびオンラインでケアラー支援推進シンポジウム「支える人を、ひとりにしない。」を開催した。ケアラー問題を単独で扱ったシンポジウムは道では初めて。これまでの道の取組を周知するとともに、全道でケアラーを取り残さない地域の支援体制が構築できるよう方策等について考えた。

 会場、オンラインを合わせ全道から約240人が参加。道保健福祉部次長兼ケアラー支援担当局長の野澤めぐみ氏があいさつし「ヤングケアラーは本人に自覚がないため支援ニーズが把握しにくく、道民が一体となって支える体制づくりが重要」と指摘。来年4月からの施行を目指し、ケアラー支援計画の策定を進めていることなどを説明し「本日はケアラーを支援するための地域づくりに焦点を当て議論を深めたい」と述べた。

 続いて高屋正人高齢者保健福祉課長が道の取組について説明。本道は全国より少子高齢化が進展し介護者の負担がより厳しいこと、ヤングケアラーの約8割が誰にも相談した経験がないことなどを述べた上で、周知のためのリーフレット等を学校や医療機関、コンビニ等1万5000ヵ所に配布したこと、教職員に対し講義動画をオンデマンドで配信しいつでも受講できるようにしたこと、児童相談所管内ごとに教育と福祉をつなぐコーディネーターを配置したことなどを説明した。

 続いて6月から江別市内に開設した道ヤングケアラー相談サポートセンターの加藤高一郎センター長が事業紹介。「ホームページやSNS、電話、メールなどで相談を受け付けているが、一層若者とつながれるようなツールを生み出したい」「支援の鍵は大人。気付いてあげられる大人がたくさんいる社会を創ること、元ヤングケアラーが自分の経験を今の子どもたちに発信できる環境をつくることが重要」などと述べた。

 このあと、日本ケアラー連盟代表理事の牧野史子氏が基調講演。小樽市保健福祉総合相談室の中村寿春氏が小樽市の取組を紹介。パネルディスカッション「支え合いのまちづくりに向けて」を行った。

 このうち中村氏は「ヤングケアラー支援には横断的な連携が大切なため、福祉保健部、こども未来部、教育委員会の3部が連携し、課長職をスタッフにした」「子どもの様子がおかしいときはケース支援会議を開き、支援の方向性や役割を調整する」などと説明。

 「日常の高齢者支援や生活困窮支援など、それぞれの担当者が気付き関係機関につなげばヤングケアラーを支援できる」としつつ、担当者の資質や人事異動でスキルを培った人材が離れてしまうことを課題に挙げ、属性や世代を問わない「福祉総合相談窓口」を設置したことを説明。「庁内のつなぎ、関係機関とのつなぎ、地域とのつなぎといった重層的支援体制の整備が必要」と訴えた。

(道・道教委 2022-11-17付)

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