道教委 第6回近代美術館検討会議 直営方式求める声多数 今後の運営の在り方など協議(道・道教委 2022-11-16付)
道教委は2日、道立近代美術館とオンラインで、第6回これからの北海道立近代美術館検討会議を開いた。リニューアル後の運営方法の在り方を協議し、構成員からは、指定管理者制やPFIなどは職員の低賃金や収益優先など問題が多いとの指摘が相次ぎ「公共的なものだからこそ税金を使って良質なものを提供すべき」など、現行の直営方式を求める声が多数上がった。
同美術館は昭和52年に設置されことしで45年目。収蔵環境やスペースの狭あい化などの課題が生じており、耐震基準は満たしているが、道の長寿命化診断では「長寿命化に適さない」との診断結果が示された。
検討会議は、これまでの近美の活動を検証し、今後の在り方や役割について専門家等の意見を聞くもの。
この日は、学識経験者ら構成員5人と道教委文化財・博物館課、近代美術館から12人が参加した。
はじめにミッション・コンセプト案の検討プロセスを事務局が説明。道民にメッセージが伝わりやすく、イメージしやすくなるよう「ビジョン」の明確化を検討していることなどを述べ、年内にミッション案を示し、来年度パブリックコメントを実施する考えを示した。
構成員からは「言葉が簡潔で分かりやすいことが大切。小学生に分からないような言葉では広がらない」などの声が出された。
続いて、9月23~25日に近代美術館で実施した道民意見聴取結果について報告。3日間で721人から回答を得たこと、道民からは近美周辺の緑など自然の美しさを生かすことへの期待が高かったほか、駐車場の整備や多彩なジャンルの展示、誰もが楽しめるイベント・企画、ユニバーサルデザインの推進などを求める声が多かったことを説明した。
構成員からは「美術作品以外の社会的価値への期待が多い。生活の一部として立ち寄れる美術館に」「コレクションや常設展も大切。この美術館にはこの作品があるというものがほしい」などの声が出された。
最後に、今後の美術館の運営について、現在の直営方式のほか、官民連携(PPP・PFI)、指定管理者制度、地方独立行政法人化といった手法を、他の都府県の状況などを加えながら説明。また、道では事業費の総額が10億円以上や利用料金の徴収を行う公共施設整備では、PPP/PFI手法の導入を優先的に検討する規程があることを説明した。
構成員からは、指定管理者制について「人件費が削減されがちで低賃金が大きな問題になっており、それで人材が確保できるか」「博物館では不向きと結論が出ている。令和になってから37館が指定管理者から直営に変えている」「公園や駐車場などソフトウエアのない管理的な施設には向いているが、事業をつくっていくところには向いていない」などの声が相次いだ。
また「PFIも、日本博物館協会の事務局長が論文で集客・収入ばかりに目が行くと指摘している。短期的な収益を求めてしまう制度なので、地域・社会に根差す施設には相反する」「独立行政法人方式は、道立6館を合わせたくらいの規模でなければ賄えない」「公共的なものだからこそ税金を使って良質なものを提供すべき」などの声が出された。
事務局は「基本構想や計画をつくってから庁内でPFIと直営を比較検討し、外部のコンサルに委託し市場性等を踏まえて判断することになるが、費用ばかりではなく、ミッション達成にふさわしいかなどを合わせて考えていく」と話した。
(道・道教委 2022-11-16付)
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