道教委と江差町教委　研修事業　時間と感動を共有して　生活・学習習慣定着へ講演

（道・道教委 2022-11-17付）

金子耕弐氏

　【函館発】道教委と江差町教委は１０日、子どもの望ましい生活習慣・学習習慣定着研修事業兼江差町家庭教育講演会兼江差町ＰＴＡ連合会研究大会を江差町文化会館で開いた。ＦＴオフィス（Ｆａｍｉｌｙ　Ｔａｌｋ　Ｏｆｆｉｃｅ）代表の金子耕弐氏が「この時代の家庭と子育てに必要なこと」と題し、具体的なエピソードを交えて講演。子どもの豊かな情操を育むために「愛情を注ぐ」「時間と感動を共有する」「親としてのリーダーシップを発揮する」の３点をポイントに挙げ、参加者は熱心に耳を傾けた。

　子どもと保護者の意識向上を図り、望ましい生活習慣や学習習慣の定着に向けた取組を推進することが目的。町内のＰＴＡや小・中学校、高校の教職員ら約５０人が参加した。

　講師を務めたＦＴオフィス代表の金子氏は、子育てや家庭問題をテーマとしたラジオ番組のパーソナリティーを務める傍ら、執筆や講演活動に従事している。

　講演で金子氏は「子育ては、親子関係次第で良い方にも悪い方にも進む」と指摘。親の愛情によって子どもの豊かな成長につながることを説明した。

　愛情の重要性を示す歴史的事例として、１６世紀神聖ローマ帝国皇帝のフレードリヒ２世が行った人体実験を紹介。約５０人の乳児に言葉を教えたり、抱いたりせず育てた結果、約半数の子どもが１才未満で命を落とし、成長した場合は重大な心の病を抱えるようになるなど、残酷な結果が検証されたことを伝え、言葉とスキンシップの重要性を強調した。

　また、ネグレクトなどの虐待事案について触れ、４年前に死刑執行された松本智津夫元死刑囚の生い立ちを紹介。盲学校の寄宿舎生活で両親が一度も会いに来なかった松本元死刑囚の苦悩を分析し「子どもは愛情を注がれずに育てられると、怒りを込み上げる。一度でも親からの愛情を感じられる行動があれば、彼はオウム真理教を結成し、地下鉄サリン事件を起こすことはなかったと思う」との見解を示した。

　愛情を子どもに伝えるためのポイントには、愛情を注ぐことのほか、楽しさや悲しさなどの感動を長い年月をかけて共有することや、子どもから尊敬されるような親としてのリーダーシップを挙げた。

　講演後の質疑応答で、参加者からはスマートフォンを利用する際のルールから子どもと信頼関係を築く方法、幼児期の早い段階で保育園へ入園することの心配など、子育てに関する質問が多く寄せられた。

(道・道教委 2022-11-17付)