ほっかいどう学第4回シンポ 電子教材の重要性確認 インフラと人の営み発信へ(道・道教委 2022-11-17付)
ほっかいどう学シンポジウム開会式
ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は12日、札幌ビューホテル大通公園で第4回シンポジウム「GIGAスクールとインフラで創る北海道の未来~ICT活用で、北海道の子どもにもっと北海道を」を開催した=写真=。基調講演、パネルディスカッションを通じGIGAスクールの現状と可能性、学校を超えた社会に開かれた教育課程の展開に向けて情報を交流した。
フォーラムは、北海道が急速な人口減少やグローバル化の荒波を乗り越えていくには「北海道を愛し、よく知り、さらなる発展に貢献する人材の養成が欠かせない」との考えのもと、北海道の魅力や地理、歴史、文化、産業等を「ほっかいどう学」として、子どもから大人まで幅広く学び、地域に関する理解と愛着を深める取組を促進している。
会場、オンラインを合わせて250人が参加した。
開会式では、新保理事長があいさつ。ほっかいどう学を進めている背景に触れ「魅力にあふれた北海道、それを生かして、未来の子どもたちが北海道の主人公となって活躍してほしいとの願いがある」と強調。一方で、北海道に対して「私たち自身が、関心が低いのかなと感じることがある」とし「北海道をつくり、人の営みがそれを支え、インフラがあることで、生活できるということをしっかりと子どもたちに伝えることが大切」との考えを示した。
子どもたちに伝える上では、1人1台端末のGIGAスクールの取組が最適であることを指摘。「私たちが住んでいる北海道をより良くするためにICTを使う、そのために教育、インフラに携わる方々が力を合わせて一緒に進めていくことが重要」と呼びかけた。
来賓では、開発局の石塚宗司局長があいさつ。食と観光などを支える生産空間を持続・維持していくという第8期北海道総合開発計画を説明した上で、ICT技術に言及。「あくまで手段であって目的ではない。人に技術、知識、想像力を残さなければならない。将来に対する想像力を有する人間を育成するための教育を進めていくことが重要」との考えを示し「ほっかいどう学の裾野が広がり、さらに盛り上がることに期待している」と述べた。
このあと、文部科学省初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームリーダーの武藤久慶氏が基調講演した。
講演後、新保理事長をコーディネータ―に、武藤氏、開発局建設部長の谷村昌史氏、旭川市立神楽岡小学校教頭の田村貴史氏、札幌市立伏見小学校教諭の坂本亜姫奈氏をパネリストに迎え、パネルディスカッションを実施した。
第4回ほっかいどう学シンポジウムでは、文科省の武藤氏が「GIGAスクール構想のめざすもの~学校改革の今とインフラ関係者への期待」をテーマに基調講演を行った。グローバルな視点を持ちながら地域の魅力を発信していける「グローカル」な人材の育成や、マストアイテムとしてのICTの活用を訴えた。
武藤氏は「GIGAスクール構想が始まって2年目だが、思ったより使われていない」と懸念を示し「なぜ進めていかなければいけないか」をあらためて説明。
「グローバル化時代に基礎的教育を自治体が進めていく意味は、グローカル人材づくり。グローバルな視点を持ちながら地域の魅力を発信していける人材の育成である。食と観光を強みとしている北海道ならなおさら」と訴えた。
また「ソサエティー5・0の社会では、AIとロボットで代替しやすい職種の雇用が減少し事務職は余剰になる」「ルーティンワークの仕事は減り、ICTを使用する仕事が増える」などとし「日本のデジタル競争力は世界で28位と人材育成が遅れている。デジタルはノートと並ぶマストアイテム。学校は社会を生き抜く力を育むところなのに取り残されたままでいいのか」と警鐘を鳴らした。
また、PISAの調査に触れ「日本の子は数学、科学は世界トップレベルなのに、コンピューターに慣れていない」「デジタルを学びに使わず遊びに使う傾向にある。ゲームに使う時間を少しでも学びに使えないか」と投げかけた。
さらに、単語テストの自動採点や情報収集・分析アプリなど、授業を効率化する様々なICTツールを紹介し「ICTを使えば様々な時間を短縮できる。短縮した時間で地域の課題を扱う余裕ができる。そこで、ほっかいどう学を進めてほしい」と期待した。
続けて北海道など地方への期待として「東京は人口は多いが出生率が低い。東京への一極集中が進むほど人口減少は加速する」「リモートワークやDXがない会社は投資対象から外すとまで言われる時代。住まいや拠点は自由にできる。コロナ禍の変化は地方創生を加速させる」「北海道は毎年人気度がダントツ1位。世界と競争するポテンシャルがある」としつつも「肝心の先生や子どもが北海道のことを知らない。海外資本から熱い視線が注がれているのに、観光業者だけではなく、地域の魅力は何か住民のコンセンサスがないといけない。地域づくりの動機は地域への愛着である」とほっかいどう学の重要性を訴えた。
また、社会に開かれた教育課程、学校内に閉じずに社会と連携しながら目指すところを実現させるなど「新学習指導要領とほっかいどう学は親和性が高い」ことを指摘。
さらに、文科省の協力で7000本もの教育用動画を配信している「NHK for School」について「子どもたちの探究のきっかけになるような魅力的な動画が、プロの手で多数作られている」と積極的な活用を呼びかけた。
「どうか、魅力的なほっかいどう学の動画を、地元のテレビ局などと協力して作ってほしい」と期待した。
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武藤氏はICTのさらなる活用を訴えた
(道・道教委 2022-11-17付)
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