道議会質疑 一般質問(9月16日)
(道・道教委 2022-11-18付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼久保秋雄太議員(自民党・道民会議)

▼沖田清志議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼倉本博史教育長

◆保健・医療体制の充実強化

Q久保秋議員 日本感染症学会はことし前半、南半球のオーストラリアでは、インフルエンザ患者が増加しており、国内では、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2年2月以降、インフルエンザの大規模な流行がなく、集団免疫が低下していることから、秋から冬にかけて、特に子どもを中心に大流行する恐れがあると指摘している。

 新型コロナウイルス感染症と同時に流行するツインデミックと言える状況も懸念される。

 今後に向けて、発熱外来の一層の拡充、インフルエンザを含めて、感染増が懸念される小児用も含めた病床の確保など、保健・医療体制の一層の充実強化が必要と考える。どのように取り組むのか伺う。

A鈴木知事 保健・医療体制の充実強化について。道ではこれまで、保健・医療提供体制確保計画等に基づき、病床や宿泊療養施設の確保とともに、より身近な医療機関で受診できるよう、診療・検査医療機関の指定に向けた一層の働きかけなど、不断に取り組んできた。

 こうした中、道では、この秋以降の季節性インフルエンザの流行も見据えながら、基本的な感染対策の啓発はもとより、新型コロナワクチンとの同時接種も想定しつつ、インフルエンザワクチンの安定的な供給に努めている。

 また、この間、感染拡大のたびに過去最大の患者数を更新する新型コロナウイルス感染症に限らず、冬季に向けては、幅広い発熱患者への対応が想定されることから、病床や診療・検査医療機関のさらなる拡充に向け、引き続き、医師会等とも連携し、医療機関の理解が深められるよう協力要請を不断に重ねつつ、地域の負担軽減の視点から、健康フォローアップセンター等の体制整備も進めながら、新型コロナウイルス感染症への対応と一般医療との両立を図り、治療が必要な方々が適切かつ円滑に医療を受けられるよう、保健・医療提供体制のさらなる充実強化に向け、全力で取り組んでいく。

Q久保秋議員 依然として10代以下の新規感染者も多く発生している中、国は、9月から、5歳から11歳までの小児に対するワクチン接種についても、重症化予防効果が期待できることから、他の接種対象者と同様、予防接種法による努力義務を認めることとした。

 小児が感染した場合、看護等のため、親世代が職場を離れざるを得なくなり、社会的な影響が大きいことから、道としても小児へのワクチン接種を積極的に推進する必要があると考える。道はどのように対応する考えなのか伺う。

A鈴木知事 小児へのワクチン接種等について。国は先般、小児に対するワクチンの有効性や安全性に関する分科会の専門家による知見を踏まえ、予防接種法上の努力義務に位置付けるとともに、3回目の接種を可能とした。

 道ではこれまでも、保護者やその子が十分な理解のもとで接種を検討いただけるよう取り組んできた。

 今後は、こうした新しい情報を盛り込んだ啓発チラシを、市町村や医療機関、小学校、幼稚園等に配布することに加え、民間企業にも協力いただき、子育て世代向けのフリーペーパーに掲出いただくなど、きめ細かな情報発信に努めていく。

 また、今後、インフルエンザの流行期となることから、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能であることなど、最新の情報をタイムリーに提供するなどして、子どもたちが健康で元気に毎日を過ごせるよう取り組んでいく。

◆知事公館

Q久保秋議員 道では、知事公館エリアにある居住区域の活用策や、老朽化が進む道立近代美術館の整備方法などを検討するに当たって、エリア全体の価値を高める観点から、民間事業者の提案を募るサウンディング型市場調査を道教委と共同で行った。

 知事公館や近代美術館を含む緑豊かなこのエリアは、オフィスビルが立ち並ぶ札幌市の中心部にあって、多くの道民に安らぎを与える貴重な空間となっており、このたびの市場調査でも、地域の特性を踏まえ緑地保全を基本としながら、両エリアの一体的な活用を検討すべきとの意見が多く寄せられたと聞いている。

 道は、サウンディング型市場調査の結果等を踏まえ、今後、どのような方向で、どのように検討を進めていく考えなのか伺う。

 また、特に近代美術館については、様々な意見が出ているが、教育長としては、この結果をどのように受け止め、今後どう対応するのか、併せて伺う。

A鈴木知事 知事公館エリアなどの在り方について。このたび実施した市場調査では、民間事業者から、近代美術館の整備方法や、知事公館、緑地や居住区域の活用方法など、数多くの提案をいただいた。

 知事公館や近代美術館が所在するエリア一帯は、長い歴史の中で築き上げられてきた大変魅力のある場所であり、この貴重な道民の財産をつぎの世代へ確実に引き継いでいくという考えのもと、検討を深めていく必要がある。

 道としては、エリア全体の持つ歴史、文化、環境といった特性を生かし、これまで以上に道民に親しまれるものとなるよう、近代美術館の検討状況を踏まえ、道議会はもとより、道民、民間事業者などから幅広く意見や提案を伺い、関係部局による庁内プロジェクトチームを新たに立ち上げ、検討を進めていく。

A倉本教育長 近代美術館の在り方について。近代美術館は、本道の芸術文化振興の中核を担っており、世代にかかわらず、誰もが気軽に足を運べる交流の場としての機能はもとより、芸術文化と地域を結ぶ拠点として多様なニーズに対応する必要があると考えている。

 このたび実施した市場調査では、近代美術館の整備について、現施設を改修する提案のほか、現地での改築や知事公館エリアへ移転しての改築など、建物の価値や環境負荷、エリア全体の景観などへの配慮、新たな憩いの場などの観点から、それぞれ特徴のある提案をいただいた。

 道教委としては、この提案なども参考に、近代美術館の来館者をはじめとする道民や事業者などから幅広く意見を伺いながら、道民にとって魅力的で誇れる美術館を目指し、近代美術館の在り方に関し検討会議で議論するとともに、関係部局とも緊密に連携し、丁寧に検討を進めていく。

◆児童福祉法改正

Q久保秋議員 先日、国が公表した3年度の児童相談所への児童虐待に関する相談対応件数は、全国で前年度より2615件多い20万7659件、道内においても165件多い6421件と、いずれも過去最多を更新するなど、これまで潜在化していた児童虐待の実態が徐々に明らかになった。

 ことし6月には児童福祉法が改正され、一時保護に司法審査を導入するなど、児童虐待防止対策が強化されたほか、子育て世帯や困難を抱える妊産婦等への支援などが定められた。

 道は、このたびの児童福祉法改正をどのように認識しており、今後どのように対応する考えなのか伺う。

A鈴木知事 児童福祉に関する今後の取組について。今般の児童福祉法等の一部改正によって、国では、保護を要する児童等への包括的・計画的な支援の実施や、入所措置の決定時における児童の意見聴取手続きの整備など、新たな措置を順次講じていくことから、今後、児童を有する家庭や養育環境への支援の充実を図るとともに、児童の権利擁護の取組を着実に推進していかなければならないと認識している。

 道ではこれまで、児童相談所での権利ノートの活用や審議会への中高生の参画といった法改正の趣旨に沿った取組を一部実施してきているが、本年度、道内で乳児の死亡・放置事例が発生していることから、予期せぬ妊娠や産後の養育に不安や悩みを抱える妊産婦や家庭を支えるため、夜間、休日にも対応可能な相談窓口を新たに開設する事業を今回の補正予算で提案している。

 道としては、国の制度設計も注視しながら、法改正の内容に的確に対応できる施策を検討し、全ての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されず、健やかに成長し、安心して過ごせる地域づくりに取り組む。

◆道教育推進計画

Q久保秋議員 現在、道教委では、本道教育の振興に向け、教育基本法に基づき知事が定める総合教育大綱を踏まえ、平成30年に策定した北海道教育推進計画を基本として、個別の施策の方向性を示す幼児教育振興基本方針、読書活動推進計画、特別支援教育に関する基本方針、これからの高校づくりに関する指針によって、様々な施策を展開しているが、これらの計画や方針は本年度、計画期間の最終年を迎えることから、先日の委員会で改正素案が示された。

 将来の予測が困難な時代においても、子どもたちが社会のつくり手としてたくましく生き、豊かな人生を送ることができるよう、必要な資質・能力を育成していくことが必要であると考える。

 道教委としては、今後の教育の方向性を示す新たな教育推進計画をどのような考え方で策定するのか伺う。

A倉本教育長 新たな教育推進計画等の策定について。人口減少社会やSociety5・0の到来など社会が大きく変化する中、子どもたちが様々な困難を乗り越え、多様な人々と協働し持続可能な社会のつくり手として成長できるよう、教育環境の充実に努めることが重要である。

 道教委では、本道全体の教育に係る根本の方針を示す北海道総合教育大綱の趣旨を踏まえつつ、自立と共生の基本理念のもと、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出す教育の推進や、教育の質を高める環境の確立、地域と歩む教育の実現を3つの柱とし、本道の児童生徒の課題である学力、体力の向上や、道内各地における地域と学校の連携協働の推進、ICTの活用推進、いじめ防止の取組の充実などの施策を推進する新たな教育計画を策定するほか、質の高い幼児教育の実現に向けた幼児教育振興基本方針や、障がいの状態や発達の段階等に応じた学びの場の充実に向けた特別支援教育に関する基本方針など、個別の計画などの策定を進め、子どもたちの多様な学びを支える本道教育の充実と発展に努めていく。

◆新たな研修制度

Q久保秋議員 ことし5月、教育公務員特例法および教育職員免許法の一部が改正された。

 有効期限を10年としていた教員免許更新制が7月に廃止となり、来年4月からは新たな研修制度として、任命権者が校長や教員ごとに研修に関する記録を作成することや、この研修記録を活用し、校長が教員に対し、育成指標を踏まえて、資質の向上に関する指導助言を行うことが求められることとなった。

 道教委は、これまでの国の動向や本道における教員研修の成果、新たな研修制度の在り方をどのように捉え、今後、教員一人ひとりの資質・能力の向上に向け、どのように研修の充実を図っていくのか伺う。

A倉本教育長 教員研修の充実について。変化の激しい時代において、教員は学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、常に自らの資質・能力を高めることが重要であり、講習に費やす負担軽減や継続的な自己研鑚を図るため、教員免許を10年ごとに更新する制度がこのたび廃止になったことに伴い、これまで以上に主体的に学び続けることができる新たな研修制度を構築することが大切であると考えている。

 こうした中、道教委では現在、経験年数や職位等のキャリアステージに応じた研修をはじめ、ICT活用や危機管理等の今日的な教育課題に対応した研修を実施するなどの工夫改善に努めている。

 今後は、教員のニーズに応じて学ぶ選択型の研修や効率的に学ぶことができるオンライン研修を積極的に導入するほか、教員に求められる資質・能力の目安である教員育成指標を見直し、自ら計画的に研修を進めるための研修履歴の作成およびその活用に関する仕組みを構築するなど、教員研修の一層の充実に努めていく。

◆いじめ問題

Q久保秋議員 旭川市において発生した女子中学生へのいじめ重大事態について、旭川市教委が設置した第三者委員会から最終調査報告書が提出され、市教委から旭川市長に対し、再調査を求める遺族の所見書と共に報告された。

 調査結果については、近く、市教委がその概要を公表し、事実関係や、学校、教育委員会の対応、再発防止策などが明らかになると考える。

 市教委を指導助言する立場にある道教委としては、最終報告を踏まえ、今後、いじめ問題への対応について、どのようにリーダーシップを発揮し、取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 いじめ問題への対応について。いじめは、子どもの命や心を深く傷付ける深刻な問題であり、いじめの積極的認知と早期の組織的対応の徹底について、道教委と市町村教委が認識を共有し、事案の解決に向け取り組むことが重要である。

 道教委としては、旭川市において間もなく公表される最終報告書に示された再発防止策等が確実に進められるよう、今後の推移を踏まえながら丁寧な支援に努めていく。

 また、道教委としても、自らの対応について十分に振り返り、市町村教委との連携の強化などについて課題を整理し、いじめ問題審議会から意見を伺いながら、道関係部局と連携し、いじめ防止基本方針を年度内に改定していく。

 今後、道教委としては、市町村教委、校長会、警察等の関係機関・団体で構成するいじめ問題対策連絡協議会を通じて、基本方針に掲げた早期発見、早期対応等の取組の全道への周知徹底を図り、いじめ問題に一層危機感を持って対応し、本道の子どもたちの命と心を守る取組に全力を尽くしていく。

◆国葬の対応

Q沖田議員 安倍晋三元首相の国葬を巡っては、批判的な世論がある。

 知事が参列すると判断した理由は何か、所見を伺う。

 知事自身が率先して、喪に服する人と服さない人の分断が起きないよう、思想信条の自由に配慮する発信をすべきと考える。所見を伺うとともに、本庁舎、振興局をはじめとした道有施設や道立高校の半旗掲揚など、弔意の強制につながる対応はすべきではないと考えるが、どう対応するのか、知事ならびに教育長に伺う。

A鈴木知事 国葬儀への対応について。このたびの国葬儀は、国の儀式への正式な案内があり、他の日程などとの関係でも出席が可能なことから、知事として対応することとしたものである。

 また、道としては、国葬儀であることや、各府省において弔意表明を実施する予定となっていること、これまでの元総理大臣の合同葬儀等の際における道の対応状況などを総合的に勘案し、道が行政機関として弔意を示すため、本庁および振興局庁舎においては、半旗の掲揚を行うこととしているが、教育庁や市町村に求める考えはない。

 黙とうについては、各個人の自主性に委ねることとし、庁内放送等、職員への周知は行わない。

 こうした道の考え方については、私自身が記者会見の場で伝え、その内容をホームページに掲載しているところである。

 今後とも、道民に対して適切に対応していく。

A倉本教育長 国葬儀における対応について。国では、国葬儀の実施に当たり、国民一人ひとりに弔意を強制するものではないとしている。

 道教委としては、道立学校等に対し、半旗の掲揚を求める考えはない。

◆こども家庭庁

Q沖田議員 来年度創設されるこども家庭庁は、人口減少問題に関して出産一時金の増額など、5年度予算概算要求額は、一般会計、特別会計を合わせて4兆7510億円と公表した。また、喫緊の課題として、保育園や幼稚園に通っていない未就園児と呼ばれる子どもの支援を本格化させる。

 道内においても人口減少が本格化、加速化する中、前述した課題も含め、将来を見据えた安心して子育てできる環境づくりや支援体制の充実強化に向けた知事の所見を伺う。

A鈴木知事 今後の子育て支援の在り方について。道ではこれまで、地域ニーズに基づいて保育サービスの基盤整備を計画的に進め、待機児童数も着実に減少しているが、人口減少地域では、児童数の減少に加え、保育士を含めた子育て支援の担い手不足や地域のつながりの希薄化によって、保育所等に就園していない児童や保護者の孤立化が懸念されるなど、子育てを巡る新たな課題も生じてきているところである。

 こうした中、国では昨年、今後の子育て施策に関する基本方針を取りまとめ、本年度から、未就園児の実態把握や就学前の育ちを支える基本方針の策定に向けて検討を開始している。

 道としては引き続き、待機児童の早期解消に取り組むとともに、新たな国の動きを注視しながら、地域の実情に応じた保育所の運営効率化や他の子育て資源との役割分担などについて、本庁職員が地域に出向いて、市町村や保育関係者の方々と意見交換する機会を設けるなど、未就園児等を含め、適切な子育て支援サービスの体制が確保されるよう取り組んでいく。

◆子宮頸がん検診

Q沖田議員 4月から、子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨が再開されたが、前回は、因果関係が否定できない副反応によって、積極的勧奨はわずか3ヵ月で中止となり、今なお健康被害に苦しむ方がいると承知している。

 そこで、ワクチンではなく、検診という方法での対策が有効と考える。

 子宮頸がん検診について、道内では、自己採取検査を行っている自治体がある。道として自己採取検査に積極的に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。

A鈴木知事 子宮頸がん検診について。本道の受診率は全国に比べ低く、早期発見・治療につなげるため、受診率向上の取組を充実していくことが重要であると認識している。

 子宮頸がん検診については、国の指針によって、医師が頸部の細胞を採取する細胞診検査によって行うこととされているが、一部の市町村では、未受診者に関心を持っていただくことや検診受診のきっかけづくりなどを目的として、自己採取によるHPV検査事業を実施しているものと承知している。

 自己採取による検査は、医師による細胞診検査に比べ抵抗感が少なく、未受診者を検診受診や早期発見につなげる機会となり得ることから、道としては、こうした市町村の取組の効果等を把握しながら、今後行うがん対策推進委員会で協議しながら、未実施の市町村に情報提供するとともに、国が受診促進のために行っている支援事業のメニューに加えることなどを要望していく。

◆教職員の超勤解消

Q沖田議員 道教委は、アクション・プランによる長時間労働の縮減を図ろうとしているが、抜本的な負担軽減策にはつながっていない。

 年間の時間外在校等時間の上限を超過している道立高校教員は、一昨年は52・8%、昨年で57・9%と過半数を超え、違法な勤務実態が常態化しており、道外では健康被害になる訴訟提起もされている。

 道教委として抜本的な負担軽減策を講ずるべきと考えるが、所見を伺う。

A倉本教育長 教員の働き方改革について。長時間労働が十分に改善されず、教員が子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合えない状況は、一日も早く解決すべきであり、教員が生き生きと働くことができるよう、道教委において業務の精選や環境整備を行うなど、学校を支援するとともに、校長がより積極的にマネジメント能力を発揮して業務を見直し、働き方改革を一層進めていくことが重要であると考えている。

 道教委としては、恒常的な調査業務の見直し、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材の配置などによって、教員の負担軽減につなげるとともに、本庁や教育局職員による学校訪問等によって、特に長時間労働となっている教員から直接話を聞くなどして、アクション・プランに基づく取組の進捗状況や課題を把握し、改善されていない場合は、校長に対し改善を求め、その後の状況を確認するほか、国における教員の労働環境についての法的な枠組みの検討状況を注視しながら、学校における働き方改革の一層の推進に努めていく。

Q沖田議員 教育長は、取組の進捗状況や課題を把握し、改善されていない場合は、校長に対して改善を求め、その後の状況を確認すると答弁しているが、既にアクション・プランを実行して4年になるのに、悠長に構えていては、適正な労務管理は図られない。

 過労死レベルである月当たり80時間以上の時間外勤務を強いられている教職員は、昨年、最も多い月で2953人、実に全教職員の9・5%に当たる。

 道内では、精神疾患で休職している教職員は2年度で202人、当該年度で42人が退職に追い込まれている。こうした実態を踏まえると、早急に抜本的な対策を講じる必要があると考えるが、教育長の所見を再度伺う。

A倉本教育長 教員の働き方改革について。長時間労働が十分に改善されない状況は、一日も早く解決すべきであり、道教委としてはことし2月に教員が担う業務の適正化に係り、スクラップ・アンド・ビルドを原則とし、必要性が低下している業務などの廃止を求める通知を発出した。

 引き続き、恒常的な調査業務の見直し、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材の配置などによって教員の負担軽減につなげるとともに、本庁や教育局職員による学校訪問などによって、特に長時間労働となっている教員から直接話を聞くなどして、アクション・プランに基づく取組の進捗状況や課題を把握し、改善されていない場合は、校長に対し改善を求め、その後の状況を確認するなど、学校における働き方改革の一層の推進に努めていく。

◆部活動地域移行

Q沖田議員 部活動の地域移行については、平日を含めた完全移行を求めるが、当面は学校現場や子ども、保護者の声を聴取しながら、円滑に土日の移行を進める必要がある。

 各自治体からは、人材確保や施設設備、運営予算に関することなどについて、不安の声が上がっている。

 道教委は、移行に関する具体的なガイドラインやモデル案を早急に示す必要があると考える。今後の展開方策について、スケジュールと共に伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。国の検討会議の提言では、休日の部活動について、概ね達成する目標時期を5年度から7年度までとし、都道府県において、休日の部活動の地域移行に向けた具体的な取組やスケジュールなどを定めた推進計画を策定することとしている。

 道教委としては、国の動向を注視するとともに、生徒および保護者などへのアンケートやパブリックコメントを実施するほか、先進地域の好事例を収集するなどしながら、知事部局をはじめ、市町村教委、関係団体と連携し、市町村の参考となるよう、地域移行の方向性や、地域移行に向けた課題および課題解決に向けた具体的な方策、道の取組のスケジュールなどを盛り込んだ推進計画を本年度中に策定し、準備が整った地域から速やかに取組を進められるよう努めていく。

◆新たな研修制度

Q沖田議員 先日、文科省から公表された新たな教師の学びの実現に向けた方策や教員の資質向上に関するガイドラインでは、研修成果の確認方法として、テストの実施、レポートの作成や、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合は、職務命令として研修を受講させることなどが記載されているが、新たな研修が新たな負担を生み出すことになれば本末転倒である。

 多忙化著しい教育現場の負担軽減の文脈と北海道の研修計画をどのように整合させようと考えているのか伺う。

A倉本教育長 今後の教員研修計画の在り方について。新たな研修制度では、教員が研修成果を職務に生かしながら、教職生涯を通じて探究心を持って主体的に学び続け、必要な資質・能力の向上を図ることが重要であり、このたび国が示すガイドラインでは、各教員が研修履歴を踏まえ、管理職と対話しながら必要な研修を行い、自らの専門性を高めることや、その実施においては、教員の負担に十分留意することが求められている。

 道教委では現在、遠隔会議システムやオンデマンド教材の配信など、教員の勤務実態に応じて負担に配慮しながら受講できる方法を積極的に導入するとともに、受講後アンケートによる研修内容の工夫改善を図るなど、多様なニーズへの対応や受講者の負担に配慮した研修の充実に努めている。

 今後の教員研修計画の策定に当たっては、こうした研修内容や実施方法等の一層の工夫改善を図るほか、働き方改革にも十分留意するなど、主体的で個別最適な研修と負担軽減の双方に配慮した効果的・効率的な教員研修が行われるよう取組を進めていく。

(道・道教委 2022-11-18付)

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