函館北日吉小 高学年算数専科指導 小中の連携強化で成果 元中学教諭の視点で指導・分析(学校 2022-12-02付)
日角教諭はデジタル教科書を活用しながら指導した
【函館発】本年度、小学校高学年を対象とした教科担任制が本格導入され、函館市内の学校でも取組が進んでいる。函館市立北日吉小学校(髙田智史校長)では、元中学校数学科教員が高学年算数の専科教員として活躍中。市中学校数学教育研究会(市中数研、奥崎敏之会長)は、同校の授業を参観し、小学校の学習内容に理解を深める研修を開始。中1ギャップの解消に役立てる指導方法を考えるなど、小中連携に向けた強化を進めている。
11月中旬、北日吉小の5年生を対象とした算数の授業では、通分や約分に特化した1分間の小テストが行われた。
指導するのは、半年前まで中学校の数学科教員だった日角朱実教諭。4月から高学年算数の専科教員として、同校に勤務しており、基礎的内容を着実に定着させるため、毎授業の冒頭に実施している。
髙田校長は「日角教諭の指導は児童の反応も良い。授業が分かりやすい、楽しいという声が多く聞こえるようになった」と指導力の高さを実感している。
授業は、市中数研の会員と道教育大学函館校の4年生計10人が研修の一環として参観した。
本時では「仮の平均」を指導。重さの異なる7個の卵について、最も小さい重さの卵を仮の平均値として設定し、他の卵との差の平均を加えることで、本来の平均重量を導き出す内容となっている。
授業参観後の協議で、中学校教員らは「中学1年生で習う内容と小学校の5年生の内容がここまで似ているとは思わなかった」と口をそろえた。
小学校の仮平均では、解が整数であるのに対し、中学校の仮平均は正負の数や小数点を扱うなど、内容がより発展的になっている点を再確認した。
参加者は小中の円滑な接続に向け、小学校の授業で意識すべき点や中学校教員が心がけるべき指導を協議。
日角教諭は「中学校へのつながりが分かるため、重点的に指導するポイントのコツが分かる。整数で解を導く機会が多い小学校と比べ、中学校では分数や小数点による解を求める内容に変わる。小学校では分数指導に力を入れるべきだと感じた」と小学校教員の立場から見えた課題を分析した。
同会が小学校の授業を参観したのは今回が初めて。奥崎会長は「小学校の学習内容や中学生になった際つまずきやすいポイントを分析できる貴重な機会。今後、各中学校区でこうした取組を広げることができれば」と話し、各校区内での小中連携を期待する。
市教委によると、専科教員の加配希望が最も多いのは、実験準備などに時間がかかる理科が6人、外国語が5人、算数が2人と続く。
うち算数はチーム・ティーチングによる加配枠での申請希望も多く、担当者は「各校では担任間の授業交換型による教科担任制などをうまく活用している。各校の実態に応じて効果的に活用を進めてほしい」と話している。
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円滑な小中の接続に向け協議
(学校 2022-12-02付)
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