道教大附属旭川小・中 授業力向上研 小中の多様な指導探る 道徳科3授業で研究協議
(学校 2022-12-07付)

教育大附属旭川小授業力向上研修
教育大附属旭川小授業力向上研修

 【旭川発】道教育大学附属旭川小学校(笠原究校長)、附属旭川中学校(川邊淳子校長)は10月中旬、授業力向上セミナーをオンライン開催した=写真=。テーマ「小・中における“道徳科の多様な指導の手立て”」のもと、事前に動画配信された小学5・6年、中学3年の道徳科の3授業について研究協議。全国から教職員をはじめ、大学職員ら約120人が参加し、活発に意見を交わした。

 公開した授業は附属旭川小・齋藤梓伸教諭による5年生、成田翔教諭による6年生、附属旭川中・平澤香織教諭による3年生の道徳科。参加者はセミナー当日までに、動画配信サイト上に限定公開された授業動画を視聴した。

 齋藤教諭は「心のレシーブ」、成田教諭は「言葉のおくりもの」、平澤教諭は「小さな出来事」を教材に授業を展開。指導の手だてとして、齋藤教諭は道徳行為に関する体験的な学習、成田教諭は問題解決的な学習、平澤教諭は自我関与が中心の学習を披露した。

 はじめに、全体説明で附属旭川小の小原広士教諭が道徳科では「道徳的諸価値の理解をもとに自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深めるといった道徳的価値の自覚を深めるために多様な指導方法を工夫することが求められている」と述べた。

 その上で「これまで小・中共に多様な指導の手だてについて研究を進めてきた。きょうの授業をもとにしながら、皆さんとこれからの道徳科研究の方向性について語り合うことができれば」と伝えた。

 附属旭川中道徳推進教師の嶋田善行教諭による研究概要・公開授業についての説明のあと、ブレイクアウトルームで小・中学校ごとの分科会に分かれて協議。参加者はそれぞれの授業に対する意見を交流した。

 うち小学校分科会では、成田教諭、齋藤教諭が公開した授業に関して説明した。

 このあと問題解決型、体験型の授業は本時のねらいを達成させるための指導の手だてとして有効だったかについてのアンケートを実施。結果をもとにした協議で、齋藤教諭に対し「役割演技を行うに当たって大切にしていることやポイントは」との質問があった。

 齋藤教諭は「動作化(資料の登場人物の動作をまねる)と役割演技をしっかり分けること。それによって登場人物の思いを自ら体験することができ、心情を養う目的に向かうのでは。演じるだけではなく、友達の演技を観察する、その視点も含めて子どもが自分の生活を振り返ったり、自分の価値観を自覚したりすることが大事だと考えている」と答えた。

 成田教諭に対しては「子どもたちから考えを引き出すときの“もうちょっとそれ教えて”など、子どもたちから意見を引き出せるような言葉の選び方が勉強になった」などの意見が上がり、成田教諭は子どもの声を引き出すことについて「発問して終わりでは子どもの本音を引き出せず、議論が活性化しないと考えている。発問にプラスした問い返しが大事。子どもの考えを共感的に受け止め、全体に問い返して広げていくことも意識している」と回答した。

 最後に全体で上川教育局義務教育指導班の菅野裕介主任指導主事と道教育大旭川校の水上丈実特任教授が助言。菅野主任指導主事は齋藤教諭の授業について「即興で役割演技を行うことで問題・課題を主体的に捉える、または素直に考え方を表出しやすい状況を生んでいた」、成田教諭の授業に関しては「子どもたちが自分を見つめ直せるような発問・問い返しをふんだんに取り入れながら授業をしていた」と述べた。

 水上特任教授は内容項目分析の必要性、これからの道徳科の教材研究の在り方、タイムマネジメントについて解説したほか「先生がどのレベルで内容項目をその子たちに理解させれば良いのかというところをきちっと持っていないとなかなか問い返しができない。平澤先生は自分の考えを言わず、広げたり深めたりすることができているので素晴らしい」と評価した。

(学校 2022-12-07付)

その他の記事( 学校)

道徳的価値観醸成へ 岩見沢東小 公開研究会

岩見沢東小道徳公開研会  【岩見沢発】岩見沢市立東小学校(村上咲枝校長)は11月中旬、同校で道徳公開研究会を実施した。同校1~6年生それぞれで公開授業を行ったほか、京都市教委の毛利豊和専門主事が講演。思いやりや感謝...

(2022-12-14)  全て読む

経産省 政策アイデアコンテスト 斜里高校が最優秀賞 自転車観光施策が高評価

斜里高政策コンテスト最優秀賞  斜里高校(増田康広校長)観光ビジネスチームの生徒たちは10日開かれた経済産業省の地方創生☆政策アイデアコンテスト2022最終審査会で、最優秀賞「地方創生担当大臣賞」に輝いた。新型コロナ感染...

(2022-12-13)  全て読む

日体大附属高支の島﨑校長 総理大臣表彰を受賞 障害者関係功労者 道内現役校長で初

日本体育大学附属高等支援学校島﨑校長「障害者関係功労者表彰」  【網走発】日本体育大学附属高等支援学校の島﨑洋二校長は5日、東京有明セントラルタワーで挙行された「障害者関係功労者表彰」受賞式において、内閣総理大臣表彰の受賞の栄に浴した=写真=。北海道で...

(2022-12-09)  全て読む

網走小 授業づくり研修会 学びの山頂上目指して 9つのフレーム設定し指導

網走小授業づくり研修会  【網走発】道教委の学校力向上に関する総合実践事業中核校の網走市立網走小学校(吉田昌広校長)は2日、同校で授業づくり研修会を開いた。道内小・中学校の教職員ら約130人が参加。研修テーマ「自他...

(2022-12-08)  全て読む

世界遺産を活用した次世代育成事業 縄文人の生活読み解く 鹿部中で外部講師招き授業

鹿部中で外部講師招き授業  【函館発】道教委の縄文時代に学ぶ・世界遺産を活用した次世代育成事業のゲストティーチャー授業が11月29日、鹿部町立鹿部中学校(後藤正弘校長)で開かれた。㈱ジオ・ラボのアートディレクターで、...

(2022-12-08)  全て読む

鳴門教育大院・藤村教授招き講演会 学力・授業観転換が必要 帯広栄小 問題発見力等育成を

鳴門教育大院藤村教授講演会  【帯広発】帯広市立栄小学校(塩田直之校長)は11月22日、同校で鳴門教育大学大学院の藤村裕一教授による講演会を開いた=写真=。市内各校の教職員約30人が参加。GIGAスクール構想の理念を再...

(2022-12-06)  全て読む

進路決定に役立てて 岩農高 林業就業セミナーに参加

空知総振林業就業セミナー  【岩見沢発】岩見沢農業高校(鎌田一宏校長)森林科学科2年生は1日、岩見沢市文化センターまなみーるで開催された空知管内林業就業セミナーに参加した=写真=。36人が出席。講話と林業事業体の個別...

(2022-12-06)  全て読む

第38回寒地技術シンポジウム インフラ整備の意義は 雪対策など題材に5校発表

 北海道開発技術センター(倉内公嘉理事長)は11月30日から3日間、札幌市教育文化会館で第38回寒地技術シンポジウムを開催した。2日目には、ほっかいどう学に関する特別セッションを開催。道内小...

(2022-12-05)  全て読む

札幌学院大 HTBと連携協定 SDGs活性化、情報発信など 次世代人材育成で貢献

札学大とHTB連携協定  札幌学院大学(河西邦人学長)は11月29日、北海道テレビ放送(株)(HTB、寺内達郎社長)と包括的連携協定を締結した。学生を中心としたSDGsに係る諸活動の活性化や、情報発信・共同イベント...

(2022-12-02)  全て読む

函館北日吉小 高学年算数専科指導 小中の連携強化で成果 元中学教諭の視点で指導・分析

北日吉小算数専科指導の取組①  【函館発】本年度、小学校高学年を対象とした教科担任制が本格導入され、函館市内の学校でも取組が進んでいる。函館市立北日吉小学校(髙田智史校長)では、元中学校数学科教員が高学年算数の専科教員と...

(2022-12-02)  全て読む