札道研が中学校部会全市授業研究会 思いやりある世界とは 向陵中・奥山教諭が指導
(札幌市 2022-12-06付)

市道徳教育研が全市研
札道研中学校部会全市授業研究会

 札幌市道徳教育研究会(札道研、三上寛晃会長)は11月22日、市立向陵中学校で中学校部会全市授業研究会を開催した。向陵中の奥山裕太教諭が2年8組道徳「気づかなかったこと」(生徒数36人)を公開。物語の主人公の心の変化に触れながら、思いやりや感謝のある世界とは何かを考え合う授業を展開した。

 中学校部会の本年度研究テーマは「生徒の人間としての生き方について考えが深まるような、“問いの在り方”と“対話的な学び”について再考する」。研究の視点に①深い学びがある授業②発問の在り方③対話的な学び―を据え、7年度の道道徳教育研究大会札幌大会に向けて、道徳的価値の自覚を目指す授業や発問、他と比べることで自己の内面を再確認することができる時間とすることを目指した。

 コロナ禍によって3年ぶりに参集開催となった授業研究会には、会員や向陵中教員ら約20人が参加した。

 三上会長は「道徳の授業は、学校全体で進める道徳教育の要として、より一層重要なものとなっている」と強調。生徒のより良く生きる基盤となる道徳性を養うためにも、研究会が今後の授業づくりの一助になることを期待した。

 中学校部会研究部長で平岡緑中学校の田村謙治教諭が本年度の研究テーマ、研究内容を説明したあと、奥山教諭が授業を公開した。

 本時の主題は「人間愛の精神」。人間のいやな面ばかりを見ていた主人公が、周囲にあふれる思いやりに気付く姿を描いた漫画を通して、人間愛の精神について考えることで他者への思いやりや感謝の気持ちを持って行動する態度の育成をねらった。

 奥山教諭は冒頭の範読後、10秒程度沈黙の時間を設け、教科書を閉じるよう指示。「主人公が気づいた“すごいこと”とは何だろう」と問いかけ、ペアで話し合うよう呼びかけた。

 生徒たちから出された「人のことを考えて行動すること」「周りを見て行動すること」などの回答に、奥山教諭は生徒たちの日ごろの行動を思い起こさせ「これは“すごいこと”なの?」と問い返し、主人公の変化を小グループで再度話し合うよう呼びかけた。

 生徒たちは「気付く前は(他人の行動の)一部だけを見て世界が悪だと思ったけれど、(他人の思いやりに触れて)世界の見え方が変わった」「前向きな気持ちに変わった」などと発言。奥山教諭は「優しい人がいなかったら、(考えが)変わらなかったということ?」と問いかけ。生徒たちの「変わるきっかけになったと思う」「自分のためになることがうれしい」などの発表を引き出し、問答を繰り返した。

 奥山教諭は「思いやりが広がったらどのような社会になりそう?」と質問し、グループでの話し合いを促した。生徒たちは「お互いを大切にできる社会」「笑顔の人が増えそう」などと発言。一方で「みんなが他者のために行動していたら、自分の時間がなくなってしまう」「自分を思いやることと他者を思いやることのバランスを付けることが必要だ」「自分を犠牲にしてまでされる思いやりはうれしいのか」などの意見も上がり、思いやりや感謝のある世界とは何かをそれぞれの観点で考え合った。

 授業後、参加者は研究提言や討議を行い、より良い道徳の授業の在り方について研鑚した。

(札幌市 2022-12-06付)

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