札幌市教委4年度働き方改革表彰成果型受賞校実践内容 負担軽減、作業時間短縮 ICTを効果的に活用し
(札幌市 2022-12-05付)

 札幌市教委は18日、4年度みんなの工夫で学校を変える働き方改革取組表彰事業の表彰式を執り行った(11月29日付8面既報)。事業成果型、事業提案型の各部門で栄に浴した計15校の取組を2回に分けて紹介する。

事業成果型

▼青葉中

 学校へ送付される文書量が多く、文書処理に追われ、本来業務が手につかないという実態があったことから、ドキュワークスを利用することで文書のデジタル化およびサーバー上で管理職・関係職員へ瞬時に回覧できるように事務職員を中心として取り組んだ。これによって、今まで通例的に行ってきた印刷業務が減少したことで特に教頭の事務負担軽減につながった。また、付随して紙とインク代の節約にもつながった。

▼新川中

 ICTを活用した業務の整理と効率化を図るため、欠席・遅刻・早退連絡フォームを作成し、朝の電話対応の負担軽減につなげ、さらに保護者から送られてきた連絡内容を職員室の中型モニターに表示し、担任だけではなく全職員が把握できるようにした。また、教職員間の連絡事項については、大型モニターに表示することで、朝の全体打ち合わせを廃止した。これによって、職員の情報共有に対する意識が高まった。

 このほか、欠席生徒や不登校生徒との連絡手段として、電話だけではなくグーグルクラスルームを利用したコミュニケーションを積極的に推奨し、担任教諭の負担軽減につなげ、各種アンケートを紙媒体から端末回答用フォームへと変更することで、回答側の負担と集計作業にかかる時間が大幅に減少した。

▼東栄中

 働き方改革で何をどう始めて良いか分からないという閉塞感があったが、校長のリーダシップのもと「東栄中学校働き方改革推進要領」を作成し、既に実行された取組と今後の取組が整理されたことで、改革への機運を高め、職員の働き方改革に対する意識醸成につながった。学校評価アンケ―トのデジタル化や旅行的行事の2学期実施等、負担軽減となる取組を進めていったことに加え、取組をパートナー校である3小学校や近隣中学校とも共有し、地域における統一性と一貫性が構築された。

▼真駒内公園小

 児童減による児童委員の不足から、図書の貸し出し補助、また、定期的な図書の整理等を教職員で賄っており、多くの時間が割かれていることが、教職員の働き方改革に関するアンケートで把握できた。

 そこで、個人カードへの変更および定置式バーコードリーダーの導入によって、児童個人の貸出返却システムに変更することで、教員が常に図書室にいる必要がなくなり負担軽減につながった。また、代本板を使用することで、月に1回行っている図書整備作業が児童を中心とした整理作業で済ませることができ、作業時間が大幅に減少した。併せて、図書室のレイアウト変更を行い、児童の貸し出し・返却の動線を整理したことで図書室内の混乱を解消し、司書教諭が児童の読書指導推進にかける時間を確保することができた。

▼発寒東小

 既存のものを有効活用するという視点から、既に導入されていた「みらいスクールステーション」の活用性を見いだし、校内放送・テレビ視聴以外にも休み時間の外遊びの可否連絡や清掃時の残時間表示、避難訓練などの非常時連絡など、児童や教職員への連絡ツールとして活用するとともに、玄関表示にも使用し来客対応に活用した。

▼栄小

 テスト実施後の膨大なパソコンへのデータ入力作業を解消すべく、カラー複合機の導入、正誤読み取り技術を使用した業者テストの導入、丸付け用のペンの購入によって、添削済みの答案用紙をスキャナーで読み込むことで、採点データが自動でパソコンに入力されるようになり、教員の業務負担軽減となった。また、導入したソフトによって、点数に応じたウェブ上の教材社のプリントを抽出でき、個に応じたプリントを印刷できることから、児童への個別支援も同時に行うことが可能となった。

▼手稲東小

 児童生徒の欠席・遅刻連絡等の確認のため、担任が教室と職員室を行き来しなければならなかったが、クロームブックのスプレッドシートを活用することで、全職員がスプレッドシートから欠席・遅刻情報を確認することができるようになった。また、双方向で入力が可能である利点を生かし、担任からの確認完了の返信や連絡がなく登校していない児童の確認要請も発信できることから、職員室・担任の双方が必要な時に必要な情報を確認できるようになり、担任の大幅な業務負担軽減となった。

▼中央小

 若手職員が余裕を持って業務に臨めるよう授業準備の時間を確保すべく、60分授業を取り入れ、日課表の改訂を行った。週3回、1校時を60分授業とすることで、全学年週1コマの削減となった結果、学年学級事務や教材研究など授業準備の時間を確保することができた。

 また、学年教科担任制を導入し、学年内において、専科以外でも担任で教科を受け持ち、他の学級にも日常的に入るようにすることで、学年で注目すべき子どもの特性の共有につながった。また、担任の新型コロナウイルス感染による出勤停止など学級担任不在時にも、学年で対応することが増えたこともあり、担任外の負担軽減となった。

 このほか、校内共有フォルダーの分類を整理し、階層を浅くすることで、データの保存・取り出しの効率化を図ることや、職員室のレイアウト変更を行い、教頭への動線の均等化およびインターフォンを複数設置し、教頭の負担軽減を図った。

▼平岸中

 「職員室にCafeを!」というテーマを掲げ、職員室内にカフェスペースを作ることで、自席とは違う環境で業務を行うことで、時短だけではなく適度なリフレッシュによる仕事の効率化という面からの働き方改革を目指した。

 カフェ内に校務用のランポートを設置し、自席のみならずカフェ内でも校務用ネットワークを使用し作業を行うことができている。また、窓際にハイテーブル席を設置し、グラウンドを眺めながら丸付けやPC作業を行うことができ、快適な作業スペースとして活用されている。さらには、大きなスタンディング席を設けることで、立ったまま仕事ができるという新鮮さや、職員同士の情報交換や軽い打ち合わせなど、交流の場として利用されており、以前よりも職員同士の交流機会が増え、職場環境の改善につながった。

(札幌市 2022-12-05付)

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