網走市教委等 学力向上フォーラム 子の自発的な姿大切に 大妻女子大・樺山教授講演など(市町村 2022-12-07付)
約170人が参加
【網走発】網走市教委と網走市学力向上推進委員会は3日、網走市立中央小学校で第10回学力向上フォーラムin網走を実施した。市内小・中学校教諭らが開いたワークショップや大妻女子大学の樺山敏郎教授の講演などを通して、新しい時代を生きる子どもたちにとって必要な学力を伸ばしていくために、学校・地域・保護者が一体となって学びを深めた。
フォーラムのテーマは「新しい時代を生きる子どもたちのために、学校・家庭・地域がともに学び、考える」。教職員や保護者、地域住民ら約170人が参加した。
開会に当たり、岩永雅浩教育長は「一人ひとりの子どもたちが豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となるために、これからの学校教育が目指す方向性などについて様々な視点から提案させていただきたい」と話した。また、保護者や地域住民に向け「学校の教職員がどのような思いや願いを持って、日々子どもたちと向き合っているのかを知り、子どもたちの望ましい成長について共に考えてもらいたい」と呼びかけた。
来賓を代表して、オホーツク教育局の野上義秀局長が登壇。「フォーラムで得られた成果を今後の学校運営や授業改善、家庭教育に積極的に活用し、さらなる学力向上に向けた取組にまい進してほしい」と期待した。
ワークショップでは、市内の小・中学校の教師らがテーマごとに10ブースに分かれ、ICT活用や校内研修、複式授業の在り方などについて提案した。
続いて、第二中学校の松尾広樹教諭、東小学校の谷口寛人教諭が、10月28、29日に開かれた全日本教育工学研究協議会全国大会(愛知・春日井大会)の視察報告を行った。ICT教育を先進的に取り入れている春日井市でのICT端末の具体的な活用事例などについて報告した。
このあと、大妻女子大の樺山教授が「学力向上へ導くもの 学びの文脈を創る学級・授業・学校」と題して講演。
教師のあるべき姿について「教えることは、教師自身が子どもの姿に学ぶこと」とし「教師が一方的に教えようとするのではなく、教師が教えたいことが子どもたちが学びたいことであるような授業づくりが必要で、子どもが自分から他人に教えようとする自発的な姿勢を大切にしてほしい」と説いた。
また、社会経済状況(SES)と学力の間の相関関係について「SESが低いからといって、必ずしも全ての子どもの学力が低いわけではない」と指摘。不利な環境を克服するためには子どもの学習時間が大切であるとし「学習時間をしっかりと確保するためにも家庭での学習が不可欠」と伝えた。
最後に、学習者主体の授業を進めるための学びのプラン「学びの山」について紹介。単元の学び全体を山登りに例え、子どもたちが目指すゴールとそのためのルートを見える化したもの。単元に関わる既習事項を麓、単元目標を頂上に設定し、麓から頂上に向けて具体的にどのような学習過程を展開していくのかを記載することで「子どもたちが全体の見通しを持ち、ゴールを目指して粘り強く学びを調整していこうとする態度を養うことができる」とした。
各ワークショップと講師はつぎのとおり。
=敬称略=
▽食べる力を育てる給食時間~家庭とつなげる食育=市栄養教諭部会・平岡直樹、河村綾子、剱持瑞帆、佐藤理香、畠山みほ、小島章菜
▽知的書評合戦・ビブリオバトル~人を通して本を知る 本を通して人を知る=市学校図書館司書・塩野谷愛美、近藤洋子、浜田冴子、小池祐里奈
▽GIGAスクールで授業力UP=谷口寛人、池田栄子、板緑皆子、高田力(東小教諭)
▽学習端末活用術=中元友基(中央小教諭)
▽ICT機器を使ってできること=工藤愛弥(第四中教諭)
▽学校力=伊藤秀哲(第三中主幹教諭)、白岩千枝(第三中教諭)
▽「教わる」から「学ぶ」へ~授業を見直そう=新出哲也(網走小教諭)
▽理科×複式×専科×ICT=長南考寛(白鳥台小・西が丘小教諭)
▽学びによるまちづくり=川上かおり(第一中主幹教諭)
▽地域と連携した総合学習~地元の産業をもっと知ろう=矢口菜穂子(西が丘小教諭)、小嶌優希(地域住民代表)
(市町村 2022-12-07付)
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