PICK UP No.4 札幌市内 学校との連携強化不可欠に
(市町村 2022-12-15付)

ピックアップNo.4
当事者が交流するサロンの会場

 国はことし3月、ヤングケアラー支援に関するマニュアルを策定し、各地で取組が始まっている。札幌市でも当事者同士の交流サロンを開設するなど、支援を本格化させた。一方で、当事者意識がない子どもも少なくない。学校と支援団体の連携強化が今後必要となってくる。

 市が前年度に実施した実態調査によると、中高生のそれぞれ4%ほどが世話をしている家族が「いる」と回答。うち約7割が自身の悩みを「相談したことがない」と答えた。「自分の今の状況について話を聞いてほしい」と回答した高校生も23・5%。このため市は、孤立を防ぐための居場所づくりを進めた。

 ことし10月に開設した、当事者が悩みを打ち明けたり交流したりする無料のサロン。初回は男女5人が参加。スタッフの支援を受けながら自身の状況を吐露した。終了後に「似た境遇の人がいて安心した」「また参加したい」といった声が聞かれた。

 国が策定したマニュアルでは、支援を「気づく」「つなぐ」「支える」の3段階に分けて考えることが重要だとしている。まずヤングケアラーの存在に「気づく」のは、大勢の子どもに接する学校などが担う。例えば、欠席や遅刻が多い、宿題ができていない、忘れ物が多いなどは、サインと捉えることができる。

 サロンを運営するさっぽろ青少年女性活動協会の松田孝さんは「必要な支援につなげるには学校の協力が必要」と、連携の重要性を訴える。

 ヤングケアラーの中には、手伝いと介護の線引きが難しく、負担を認識しづらいことから、当事者意識がないケースも少なくない。協会の別の担当者も「サロンを含め、自ら支援につながれる子どもは限られている」と、難しい現状を明かす。

 市は来年、教員やスクールカウンセラーなど学校関係者のほか、児童福祉施設職員などを対象にした研修会を実施する予定だ。支援の基本的知識などの基礎編と、ロールプレイなどの演習を行う実践編を用意する。市担当者は「研修を通じて共通理解を深め、円滑な連携ができれば」としている。

制服のジェンダーレス化進む

「男子はスラックス、女子はスカート」が一般的だった学校の制服。多様性への対応が問われる近年、札幌市内の中学校でも制服改定の一因となるケースが増えている。共通のブレザー型への変更を含め、女子生徒がスラックスを選択できるようにするなどの動きが広がっている。

「女子用の制服を着るのは違和感があった。“女らしさ”を押し付けられている気分だった」。ある高校生は、スカートを我慢してはき続けた中学時代を振り返る。男女が明確に区別された制服の着用を義務付けられることが苦痛となり、心の重荷になる子どもたちがいる。

全国で制服のジェンダーレス化が進む背景には、文部科学省が平成27年に発出した性同一性障がいの児童生徒へのきめ細かな対応を求めた通知がある。

札幌市教委によると、制服のジェンダーレス化を進める学校の正確な数字は把握していないが「各校で選択肢を増やす動きが広がっている」と認識する。

市立山鼻中学校(熊谷誠二校長)は、ことし4月に入学した1年生の制服を男女共通デザインに変更した。詰め襟学生服とセーラー服から、男女共にブレザー、ネクタイ、スラックスを基本に、スカートを選択できるようにした。機能性とともに、性的少数者に配慮したことも要因に挙げる。

市立宮の森中学校(荒川芳央校長)は新制服の検討委員会を設置し、来年4月の改定に向けて在校生や校区内の小学6年生とその保護者にも希望を聞いた。

 その結果、「男子用」「女子用」という区分は特に設けず、共通のジャケットとスラックス、スカートを選択制に。既製品の白いワイシャツか3色を用意したポロシャツを選ぶ。ニットベストも2色用意し「選択肢を増やすことを意識した。生徒一人ひとりが過ごしやすい制服を選んでもらえれば」(村上有信教頭)という。

(市町村 2022-12-15付)

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