八雲町教委 子の読解力向上へ取組 全国学力等調査で成果 授業改善へ中核教員でチーム
(市町村 2022-12-22付)

八雲町教委読解力向上へ取組
八雲町教委読解力向上へ取組

 【函館発】八雲町教委は本年度から、児童生徒の読解力向上に向けた取組を本格化させている。町内各小・中学校の中核的な役割を担う教員で「読解力向上推進チーム」を構成し、公開授業や研修会を通して授業改善の充実に向けた方策を探っている。町教委は「全国学力・学習状況調査やリーディングスキルテストなどの各種調査問題で徐々に成果が表れ始めている」と話している。

 町教委は2年度の全国学力・学習状況調査で文章を正しく読み取ることができない児童生徒の実態が見られたため、3年度から読解力向上に向けた授業改善を各校で試行的に開始。児童生徒の読解力を解析した上で国語を中心とした各教科で、設問のキーワードを正しく理解できるような授業改善を各校で推進することとした。

 本年度は町内全校で取組を本格実施している。中核的な役割を担う教員を読解力向上推進チーム員として位置付け、各校で研究を推進。公開授業の参観や動画配信、研究協議などの研修を活発化させている。

 19日には、本年度第1回となる全体研修会を八雲町立野田生中学校(増田正弘校長)で開催。同校の木村君枝教諭が2年生の英語「Unit6 Resarch Your Topic」(生徒数12人)を公開した=写真=。

 教科書では、登場人物が学級内で映画に関する調査結果をプレゼンテーションする内容が示されており、本文の代名詞が示す意味を考えながらグラフや図等を読み取る学習内容となっている。

 木村教諭はグーグルフォームで設問を設定。代名詞が示す内容や登場人物のプレゼンテーションから正しいグラフを選ぶ問題を自ら作成した。

 グーグルフォームを活用した問題で生徒の苦手な傾向を捉え「As for kind」「According to」などなじみにくい副詞のほか、新しく発出した代名詞を中心に確認。短時間で英語と日本語の意味を繰り返し示すことで言葉の意味を確認させる「フラッシュカード」をデジタルサイネージで示し、生徒の理解度向上に役立てた。

 授業のまとめでは、木村教諭が作成した問題をゲーム感覚で反映できる「カフート」というアプリを用いて学習するなど、ICTを有効活用しながら生徒の学習意欲をかき立てる指導を展開した。

 研究協議では、参加教員約20人がジャムボード上で指導の良さや疑問点などを共有。言語解析力について研究を進める道教育大学旭川校の渥美伸彦准教授が助言し、生徒にとって親密度の低い言葉を明確化した授業づくりを評価したほか、児童生徒に読解力を身に付けさせる指導のポイントを解説した。

 町教委では、こうした研修会の開催のほか「教育のための科学研究所」が提供するリーディングスキルテストを導入している。児童生徒の基礎読解力を判定する試験で、小学6年と中学3年は全国平均と同等以上の成果が表れたという。

 本年度の全国学力・学習状況調査では、中学3年の国語で全国平均を超えており、担当者は「取組の成果が徐々に表れ始めている。読解力向上に視点を当てた授業改善が各校で浸透し“八雲スタイル”を築き上げたい」と期待を寄せる。

(市町村 2022-12-22付)

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