道高校教頭・副校長会アンケート 「教職員の意識」が課題 教科横断型、ICT活用に苦慮
(関係団体 2022-12-15付)

 道高校教頭・副校長会(大谷健介会長)は、「令和の日本型学校教育の構築に向けて」を研究主題とした会員アンケートの結果をまとめた。観点別評価を「全教科で実施している」学校は95・7%に達した一方、教科横断型授業は4割、ICTを活用した学習の全教科での実施は約3割にとどまった。現任校で改革・改善が必要と感じていること(複数回答)は「教職員の意識」が51・9%に上り、同会では「意識改革が進行しなければ、授業改善や働き方改革につながらないことから、最も重要」と分析している

 同会調査研究委員会(成田豪委員長)が①新学習指導要領の全面実施②GIGAスクール構想の取組③働き方改革の取組―の3点について合計22問のアンケート調査を実施。10月に全会員を対象に調査し233人(約68%)から回答を得た。

 ①では、観点別評価を「全教科で実施している」が95・7%に達しており、同会では「各校で実施されており、これから実践を検証し改善・充実を図っていく状況」と分析。ただ「一部の教科で実施」が1・7%、「未実施」が0・9%あり「旧態依然のスタイルから脱却できない教員への指導助言に苦労している様子も一部見られる」としている。

 教科横断型の授業は「実施している」が39・9%、「実施していない」が60・1%と、苦慮している状況が見受けられる。

 ②では、ICT環境の整備が「十分整備されている」が30%、「まあまあ整備されている」が56・2%、「不十分」が13・7%。

 ICTを活用した学習は「全教科で実施している」が33%、「一部の教科で実施」が35・6%、「半数以上の教科で実施」が29・6%、「実施していない」が3・8%。

 ICTを活用した教育についての自校の課題(自由記述)は、教職員については「スキル不足」「苦手意識が高い教員が多い」「研修が必要」「授業準備にかける時間の余裕がない」など。環境面では「全ての教室にワイファイ環境がない」「つながりにくい」などの声が上がっている。

 ③については、全日制の出勤時間が「6時半から7時半」が70・5%、退勤は「18時」「19時」が計55・3%、「20時以降」が32・6%など、勤務実態の厳しさが浮き彫りになっている。

 専門スタッフ、外部人材の活用は、スクールカウンセラーが85%、ALTが72・1%と高いが「本来100%の活用でなくてはならないもので、全道くまなく配置されることが望まれる」(同会)。部活動指導員は48・9%で「制度面、財政面からも外部人材の活用を促進することが必要」としている。

 働き方改革への自校の課題(自由記述)は、業務の精選や仕事の平準化を指摘する声が多数。同会では、能力や意識の高い教員への仕事の偏りを懸念するとともに「勤務時間内に仕事を終了させる意識の低い教員の存在は、管理職にとって大きな負担となっている」としている。

 このほか、学校経営全般に関する質問では、現任校で改革・改善が必要と感じていること(複数回答)は「教職員の意識」が51・9%、「働き方」が45・5%、「観点別評価」が38・6%など。同会では「新学習指導要領がスタートし、変革が多いにもかかわらず、自分事として捉えていない教員が少なからずいる」「意識改革が進行しなければ、授業改善や働き方改革につながらないことから、最も重要であると考えられる」と分析している。

 副校長・教頭として直面している課題(複数回答)は「事務作業の煩雑さ」が38・2%、「不登校生徒への対応」が24・0%、「ICT教育・環境整備」が23・2%などで、同会では「不登校生徒への対応が多様化しており負担が大きい」「ICT活用に対する教職員の意識の低さと活用できる人材不足による特定の教員への業務の集中」などが課題と分析している。

 今後の社会を見据えて、高校として取り組んでいかなければならない最も重要なこと(自由記述)は「地域との連携・協働」「学校の魅力化」「個別最適な学びと協働的な学び」などが挙がっている。

(関係団体 2022-12-15付)

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