札幌市立高特事務職員会研究大会研究発表概要⑧　旭丘高・中辻氏ら３氏　公費での財務事務担うとは

（札幌市 2023-02-14付）

研究発表Ⅱ

▼研究テーマ＝チーム学校の一員として～札幌市立高校・特別支援学校・中等教育学校事務室のチーム学校への関わり

▼発表者＝市立札幌旭丘高校事務長・中辻拓実、市立札幌山の手支援学校・渡邉壇、市立札幌清田高校・田巻友茉

【事務の共同実施について】

今回、小・中学校の共同実施について詳しく知り情報交換を行うため、円山小学校にある第ｌ学校運営支援室に訪問した。

　事務室の入り口には「札幌市教育委員会第１学校運営支援室」と書かれた看板が設置されている。事務室内は室長１人、事務職員２人分の机があり、壁際には文書棚があり、通常の事務室と同じような室内だが、３人しかいないということもあり、４～７人配属されている高校の事務室より少し狭い様子だった。

　支援室を見学させていただいたあと、相談室で情報交換を兼ねて共同実施についての説明をしていただいた。共同実施の成り立ち、共同実施の施行実施、学校事務職員の標準的な職務内容、共同実施の概要、４年度重点目標（全市共通）、共同実施の成果・課題等について説明があった。

　その中で特に印象に残ったのは、４年度重点目標について。重点目標の一つとして「公費における財務事務を担う」というものがあった。

　具体的な内容としては①予算執行計画の作成②予算執行計画の周知③予算の執行管理④予算執行状況の周知⑤決算書の作成⑥契約事務の担当―があり、共通の目標として定めることで公費に関する事務の標準化を図るもの。

　①③などのような財務事務として重要な部分を占める業務は、どの学校でも行っていることが多いが②④のようなものについては、行っていない学校があったりと、差ができてしまうことがある。そこで、全市共通の目標として６つの項目を定めることで、各校の業務の標準化を図ることができるというものだった。

　高校・特別支援学校では、各校の業務の範囲や進め方などを共有するような機会はあるが、全学校共通の目標を立てて業務の内容を標準化するような取組は行っていないので、とても新鮮に感じた。

　第１学校運営支援室を訪問させていただき、普段、自分たちの事務室では知ることのできない小学校の雰囲気、小・中学校の共同実施の実態等を知ることができてとても貴重な経験となった。

▽高校、特別支援学校事務室と共同実施

　「チーム学校」答申における事務の共同実施に関わる部分や、事務の共同実施に関する国の答申では、直接、高校や特別支援学校の事務室を想定した内容はない。

　答申にある事務の共同実施とは、普段は各校で事務を行っている事務職員が定期的に一つの学校に集まり共同で事務を行うことで、事務の効率化および質の向上を目指し、その結果として各学校では事務職員が今以上に学校経営に参加することが可能になるというものである。

　そして、そのために共同事務室を設置し、事務長を置くことができるとされている。端的に言えば、１人では不可能でも、複数であれば新たな効果を生み出すことができるというものである。

　一方、高校、特別支援学校においては、事務室に事務長が配置されており、複数の事務職員で学校事務を行う事務組織が確立されている。

　そのような事務室という枠組みの中で、高校、特別支援学校では共同実施と同様の効果を生み出すことが可能との理由から、あえて一連の答申に盛り込む必要はないと考えられてきたと思う。

(札幌市 2023-02-14付)